一章十話 『同類』
投稿遅れてすみません!遊んでいたわけでないですよ?ええ!ないですとも!ええっと、とりあえず本編へどうぞ!(逃)
「マスター。マスターはやっぱり僕の思った通りの人だね!」
「それは褒め言葉なのか?貶してるのか?」
「褒め言葉に決まってるじゃないか!でもこの子は…」
「気にするな。大丈夫だ例え王国を敵にしてもこんな命を粗末にすることは許せない。まぁ贔屓かもしれないが…」
お姫様抱っこで抱えているのは黒髪の少女。そう紛れもなく元日本人、それも転生ではなく自分と同じ転移者、神の目で確認したので間違いない。しかし体中痣だらけだそれに両足の粉砕骨折、両腕の骨折、左手は切断、刺し傷etcと生きているのも不思議な状態だ。それもこの子が勇者であるからだろう。勇者は簡単には死なない、いや簡単死ねないのだ。無駄に丈夫なせいで。
この子を保護したのは宿屋に帰る途中にある大広場に寄った時のことだった。その時の大広場は何時になく騒がしかった。近付けば近付くほど民衆の声は鮮明になっていき『裏切り者め!』『姫を返せ!』『この罪人が!』など罵倒され石やレンガなどを投げられている人がいた。隣を見るとイヴが神の目でその人を見ていた街中でイヴが使うなど珍しいバレる危険性もある筈なのだが、すると不意にイヴが
「あの子無実なのに…かわいそう…」
と呟いた。その瞬間イヴの声が聞こえたかの様にその少女は少しだけ顔を上げて生気はないがかろうじて見えるであろう右目でこちらを見たそして潰されて声が出ないのにそれでも一生懸命に口を動かして『たすけて』と呟いたのが分かった。その時には自分の体はもう動いていた、その人が、いや彼女が黒髪黒目のこの世界には存在しない日本人の特徴だったこともあるがそれ以前にこんな状態になってまで自分に助けを求める彼女を助けたくなったのだ。イヴの言った"無実"も含めて助けようと思ったのだ。
ー六芒結界ー
使い慣れたその防御魔法で彼女を包む、これである程度は大丈夫だろう。民衆やそれを煽っていた騎士などは急に張られた防御魔法に慌てている。
「誰だ!防御魔法を張ったのは!罪人を庇うなど!」
「罪のない少女がいたぶられるのを眺める趣味は持ち合わせてなくてな」
そういって名乗り出る。別に隠したい訳でもないただ助けたいそれだけなのだ。
「貴様!罪人を庇うとは貴様も共犯だな!ここで討ってくれる!」
そう叫ぶと左手をかざして魔方陣を展開する。
「イヴ、少し離れててくれ。自分の身は守れるな?」
「了解だよマスター。負けるわけないと思うけど気を付けてね。」
「何を喋っている!二人まとめて排除してくれる!聖なる光よ我が敵を穿て!ー光の槍ー」
展開された魔法陣に魔力が集まっていき光の槍の形を型どり始める。詠唱もそうだがこの男随分この魔法に慣れていない。いや使えないものを無理に使っているような。そうか…
「あんたの魔術無理に使ってるな?魔力の色から見て適正は土って所か?無理に光属性の魔術なんて使うなよ?」
「うるさいっ!消えろ!」
そう吠えて光の槍を飛ばしてくるが俺は避けもせず手で弾いて消し飛ばす。この程度の魔術なんて避る必要もない。あくまで魔術は魔法を陣を媒体に使いやすくしたものだ魔力を直接練り上げて施行する魔法に比べて威力に欠ける。まぁ魔術も魔術で良いことも無いわけではないのだが…
「なっ!?弾いた!?」
「あの程度の魔法だぞ?まさかあれで終わりなんて言わないよな?」
この時代の人とはちゃんと戦ってはいなかったためしっかりと試しておきたいのだ。帝国の時は一方的に魔法を放っただけだからな。それに先程から野次馬達の中に混じって不可視の魔法を使って攻撃してきている奴がいる。いまいち位置までは分からないがこの騒動の犯人かもしれない。先程の言葉は聖騎士を名乗るこの男に向けて言った訳ではない先程から俺に攻撃してきている奴へ向けての言葉だ。
「くそっ!なら!ー岩弾ー」
やはり適正は土系統。魔法陣が展開され詠唱すらなく魔術を施行する。
「やはり土系統か…だがな?所詮はメリットを生かされてない魔術だ。」
ー岩弾ー
岩弾が完成する少し前に岩弾は完成するほぼ唱えてから一瞬だ。人の頭くらいの大きさの岩が二つ生成され射出される片方は魔法陣からもう片方はかざしていた手のひらから二つは二人の丁度中間でぶつかり魔法陣から飛んできた岩が四散した
「ちょ!?まっ…!」
ドゴッという鈍い音が男の胸から響いて男はふっとんでいった。露店のテーブルや椅子などを巻き込んでちょっと高級そうなカフェへ突っ込んだ。まぁ完全に気絶はしているだろう。それくらいの加減はした……筈だ。
「あぁあ…逃げられたか…」
ちまちま攻撃していた奴の気配が消えていた。騎士がふっとんだ時に民衆の中に逃げ出した奴がいるのでそれに便乗して逃げたのだろう。惜しかったあいつは魔法使いなのに。
「イヴ大丈夫か?」
「んー?大丈夫だよー?」
返事がした方を向いて見ると死屍累々の山を作っていた。多分持っていた石やレンガをぶつけようとしてきた民衆の方々だろう。いや
「ちょっとまておかしいだろ?何故戦闘の音がしていない?流石に後ろでそんな事してたら俺でも気付くぞ?」
「僕の消音のスキルの効果だよ。それで戦闘の音すらも消してみたよ?実際に消えていたみたいだね?」
「……」
そうだったこいつ死神の時も無音で鎌を振ってくる化け物だった…あれはスキルなのか。てっきり何かの能力か魔法の類いだと思っていたのだが。
「で、逃げられちゃったみたいだね?どうする?追いかける?」
「いやいい応急程度だが追尾の魔法を撃ってあるから大丈夫だ。近付けば次こそ逃さない。」
あまり強めの追尾を撃つと魔力の残留でばれてしまう可能性があるために強力なのは撃てないのだ。特に魔法使いには感知される可能性が高い為魔法を使うと分かりやすい。しかしあの不可視の魔法…気になる。自分が知っている魔法ではないということだ。
「とりあえずその子を連れて帰ろうか」
「うんそうだね。マスターが使える一番強力な回復魔法は?」
「精霊天使の慈愛かな?」
「十分すぎるよね!?というかその魔法は神の領域の魔法だよ!?まぁ神卸しをするくらいだもんね…驚かない方がいいのかな?」
なんか一人で納得されても困るんだが…。しかし精霊天使の慈愛はそのレベルの魔法なのか?ただの最上級魔法だった筈だが?別にルークが回復魔法特化の魔法師という訳でもない、いざとなればこの世界を自分以外永遠に溶けない氷に閉じ込めることも出来るし永遠に燃え続ける灼熱のマグマの海にすることも出来る。
「とりあえず部屋に帰ってから使って貰っていいかな?」
「そうだな…とりあえず帰るか…。」
そう言うと黒髪の少女をお姫様抱っこで抱えて宿屋への帰路へつくのであった。
近々新しい話を書こうと思っています。そしてレグナーレの方ですが更新はほとんどないと思って下さい。レグナーレは一応投稿の練習という感じで書いたので更新ペースが大分空くと思いますのであしからず。これからもよろしくお願いします!