一章七話 『宵闇亭の主』
最近の天気はコロコロと変わりますね…
体調は崩していませんか?
花粉症耐性がないパル猫です!鼻水とくしゃみが止まりません!
名前とギルドランク以外何も記されていないカードを手にして俺は棒立ちしていた。
「ルーク様のカードがほぼ白紙?すみませんがルーク様、隠蔽や欺き系のスキルまたは魔法を試行されていらっしゃいませんか?」
「い、いえ。していません。」
確かに隠蔽や欺き系の魔法は持っているが今は使っていない。
「おかしいですね…一応この紙と羽ペンは特殊でして、紙に羽ペンの魔力で文字を書いているのですが、この紙自体がカードに変わるので記入してないとかじゃないと空白になることは無いのですが。ルーク様はすべてに記入してられたのでそれはないと思います。」
「この羽ペン…」
イヴが神の目を使用して羽ペンを見ているようだ。俺が神の目を使うと使用中目の色が変わってしまうのでバレてしまう。しかしもとから金色の目をしているイヴは使っても感知出来ないほどの微量な魔力が溢れるだけでほとんどバレない。
「多分マスターの魔力量が大き過ぎて羽ペンが壊れてるよ…」
「えっ!?まさか俺のせい!?」
確かに魔力量は桁違いにあるが魔道具なのに魔力を包容しきれないとか魔道具としてどうなんだ?それとは別だがクラリアはイヴの魔眼に気付いているようだ、獣人族は魔力を見る眼は凄いからだろう。しかしクラリアがどんな獣人族なのか分からない。
「イヴ様は鑑定系の魔眼をお持ちなのですね。金色の魔眼は聞いた事がありませんが。」
「僕の魔眼は突然変異でね。色が違うだけでそこらの魔眼と変わらないよ。」
「そ、そうなのですか……」
少し怪しまれてはいるがさほど問題視するほどでもないだろう、なんなら記憶を消すことだって出来るのだから。
「マスター…目が怖いよ…」
「いや、何でもない…」
確かに怖い顔をしていたかもしれない。実際記憶を消すなんて事を考えてはいたのだから。そんな事を考えていると階段方から誰かが降りてくるような音が聞こえた。
「クラリア?どうしたの?紋で私を呼ぶなんて久しぶりじゃない?」
そういってギルド職員専用の階段から降りてきたのは妖精のような少女であった。いや実際にあの尖っている耳と金色の髪に緑色の目……いや両目が赤い?何か両眼系の魔眼か?それでもあの人は森霊種と呼ばれる種族で一般的にはエルフと言われている種族で間違いはないと思われる。エルフは基本的に過去の大戦で自分たちが自治権を獲得したユグドラシア大陸からは出ないと思っていたのだが珍しいこともあるものだ。それに今の王様は人族至上主義みたいな話を聞くしな。因みに奴隷紋は魔力を流すことで自分の主に色んな信号を送ることができるので多分このエルフの人はクラリアの主であるリシーという人なのだろう。
「お初にお目にかかります。ルークと申します。こっちがイヴといいます。」
「私がリシー=ヴェルランド、ここのギルド"宵闇亭"のギルド長をしているわ。」
基本的にあまり奴隷に挨拶させるのはよろしくないらしい。らしいというのもギルドの説明時にクラリアから一般的な奴隷の扱い方というのを聞いていたのだ。色々胸糞悪い話もあったが大丈夫だイヴにそんな事はしない、クラリアもそういう事はされてはいないので一般的と言うか聞いた話と言うかそんなものらしい、クラリアやイヴのような例外もあるといったところだ。実際俺はイヴに挨拶させてもいいのだが気にくわないという人もいるだろうからな、リシーと名乗ったこの少女はそんな事はないかもしれないが。
「あら。礼儀正しいのね?ほとんど冒険者からは最初に会うと『奴隷にしてやる』とか下心丸出しの目線で見られるのだけど…私以外のエルフにあったことがあるのかしら?」
「ええ冒険をしている時にお世話になりました。」
「マスターそうなの?」
エルフ達は基本的に閉鎖的な種族だ。というのもリシーが話した通りに一時期奴隷として拉致されたりしていたので外との関わりはあまり持たないらしい。まぁエルフ達の住むユグドラシア大陸は結構土地的にも豊かでエルフ達が鎖国のような状態でも自給自足は出来るだろう。
「まぁ、本来クラリアの呼び出しは冒険者に絡まれたとかが多いんだけどあなたたちは違うようね?それにイヴちゃんとはまだ日が浅いようだし。それでもあなたがユグドラシアに行ったことがあるほど年の行った冒険者にも見えない…不思議ね?エルフはここ100年程はほぼ鎖国状態なのだけど?」
「まぁ気にしないでください」
「そうね。冒険者は秘密が大事よね」
そんな他愛のない話をしているとクラリアが捨てられた子犬のような目でリシーをイヴが不服な目で俺を見ている。あ、そうかリシーがエルフで長命で長く生きているとはいえイヴよりは年的にも下だからちゃん付けなのが不満なのか。イヴよそれは我慢しろ。そう目で合図するとイヴは渋々と言った風に納得して引き下がってくれた、その間にもクラリアがリシーに耳打ちして事情を伝えていた。ちょっとこちらには聞かれるとまずい話らしい。
「ルーク様ちょっとこれから私の執務室に来て貰ってもいいかしら?あなたのステータスカードを別の作り方をするから。」
俺は特別なステータスカードの作り方をするらしい。簡易的な羽ペンと魔法紙だと先程のように羽ペンに魔力が流れた時に壊れるからだ。相性の問題ではないからな。
「ええ、分かりました。イヴちょっと待っててくれ。クラリアさんちょっと面倒の方をお願いします。」
「ちょっとマスター!?僕を子供扱いしないでよ!」
「任せてください!子供の扱いは慣れています!」
「クラリアさんまで!?」
イヴは抗議の声をあげるがクラリアは本気で子供扱いはしないだろう。それを分かっているのかリシーもクスクスと笑っている。
「ふふっ。面白いわね。クラリアの本気の笑顔を久しぶりに見たわ?」
俺はイヴとクラリアの話を引目にリシーに付いていきその場を後にした。
もう一話続きます!