肛門性格とは
ぼくは、RPGのなかの世界で冒険をしていた。
「あっ、旦那。百円ショップです」ぼくのパーティーのウォリアーが、指を差した。
ぼくたちは、百円ショップに入ることにした。
薄暗い店内で、ぼくたちのようなパーティーが何組か、店のなかを物色していた。
「百円ショップなんかで、なにをするんだ?」ぼくはウォリアーに訊ねた。ぼくは、この世界がどういう法則で動いているのか確かめるのに必死だったのだ。
「なにって、そりゃ」ウォリアーは、ちょっと言いにくそうな表情をした。「百円を十個集めれば、千百円にかえてくれまさあ」
ウォリアーが十枚百円をカウンターに出すと、「はい」と言って店のマスターが、ちょっと大きな百円をくれた。
「へぇ、そ、か。しかし、百円玉をちょっと大きな百円に換えて、それでどうするんだ?」ぼくは、ウォリアーに重ねて訊いてみた。
「そりゃ、旦那」ウォリアーはむすっとした表情をした。「千百円を十個集めれば、一万百円になるじゃあありませんか。そんなこともご存じないんですかい?プリーストって言ったって、常識でさあ。どこの山で籠ってらっしたんです?」
「ちょっと、ごめん」ぼくたちの後ろから、別のパーティーのリーダーが、袋いっぱいのなにかかさばるものをカウンターの上に置いた。
「ほら、あれがそうです。百円玉千枚で、ふつうの百円の十倍の大きさ・重さの、十万百円になるんでさ」リーダーは、仲間と二人がかりで、大きな平たい百円玉を担いで帰っていった。
「……そっか……。」ぼくはまだ、ラスボスが世界そのものである究極百円「ブラックエレメント」であることを知らなかった。