偽者
その頃、グリーン星では…。
倉庫で倒れていた少年の身元を確認すると、なんと国賓の1人エイザク・ブルネウであることが判明した。
レオーナ星で本物のエイザク・ブルネウが発見された事でグリーン星は大いに動揺した。
直ちにエーディス星の政府及びブルネウ家に連絡を入れたところ、双方からは「エイザクはレオーナに確かに送り届けた」と言う返事が返ってきた。エーディス星の関係者とレオーナの主要人物がきっちりと握手を交わすシーンもあった。
「レオーナからグリーン星までは特にトラブルもなく直行だ。となるとすり替えは間違いなくレオーナ星で行われた」
本隊隊長は忙しなく机の前を行ったり来たりした。国賓4名は一度、レオーナで身体検査を受けた後にグリーン星へと向かっている。
「何か手落ちがあったのか?! レオーナ出星前の検査がいい加減だったのではあるまいな!」
「いいえ、レオーナ星で指紋認証も顔認証も行っておりました!」
エイザクをレオーナ星に迎えに行った兵士曰く、偽エイザクの身体的特徴は間違いなく本物のそれと合致していたという。
整形していたとしか考えられない。しかも指紋まで。
「この徹底ぶり…。偽エイザクは何者なのだ」
「単独の犯行…ではないと思われます」
「どこかの星がバックについている可能性が高いな」
「ーッ! 木星人…でしょうか?!」
レオーナ星には銀河連盟外の星の人間の立ち入りは一応許されている。ならば木星人も…と兵士は考えたらしかった。
彼は怯えた表情をしたが、隊長は少し考えてから首を振った。
「レオーナは銀河連盟の中心だ。木星人などという犯罪者集団は受け入れないし、また侵入を許すほど警備は甘くない」
「ではどの星の…」
それは今調査中だ。
エイザク・ブルネウからの聞き取り、レオーナ入星者リストの確認を現在は行なっている。今回の件に関しては責任はグリーン星ではなくレオーナ星にあるので、レオーナ星政府が主体となって調査を行なっている。
グリーン星で行うことは、フェアーナ滞在中の偽エイザクの動向のチェックだ。軍の情報が漏れていないかを確認しなければならなかった。
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ちなみに最近、予備隊訓練所のゲンネーから緊急の連絡があった。
予備隊訓練所に侵入者が出たらしい。いくつかのデータが盗まれた可能性があるとか。その侵入者は取調べ中のフリージー星人を救出して現在は所在不明である、とのことだった。
だが、予備隊もそのまま事件を終わらせはしない。監視カメラには顔がバッチリ映っていたのでなんとか身元を割り出すと、フェアーナ在住の科学者・ライパミーナドであることが判明した。
本隊の兵士が自宅に取調べに入ろうとしたが、そこは無人で長らく空き家になっていた。近隣の住民曰く「出入りしているところはほとんど見ていない」とのことだった。
ーー
「偽エイザク。フリージー星人を救出した容疑者ライパミーナド」
本隊隊長としては、2つの事件が同時期に起きたことが気になって仕方がない。なんらかの繋がりがあるのではと勘繰っていた。
だから今、ゲンネーにライパミーナドという人物に対して徹底的に調査させている。彼の実家、所属していた学校、研究内容などなど。ゲンネーは本来なら更迭ものだが、状況が状況であるし侵入者の身元を判明できたこともあって彼には恩赦を下した。
最も重要なデータが盗まれたわけではない、というのも幸いな点の一つだ。
その内容は、もちろん現在製作中の最強兵器のことである。
木星人を殲滅するための兵器だが、その実験体となる木星人はいない。どの星も木星人の捕虜は取ったことがないのだ。
そこで予備隊兵士を星外に派遣して、木星人と体の構造が似ている太陽系の住人をグリーン星に連れて来させた。だが例の地球人の彼女以外の人間はまだ到着していない。
このままだと実験なしで兵器を使うことになるだろう。
まだ問題はあった。
国賓4名の行方は依然として知れないのだ。
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物資が届いた後で天王星、カルメヂ星、冥王星に謝罪を込めて彼らが行方不明である事を告げた。
結果、天王星はグリーン星への支援の打ち切りを告げ第六王子の捜索を始めた。カルメヂ星からは支援を継続するかどうかも含めてなんの返答もない。
冥王星からは代わりの国賓がすぐに来てくれることになった。
彼らはもともとグリーン星と取引関係にあったので、支援を打ち切ることは考えていないようだった。
一刻も早く国賓を取り戻すため、土星や冥王星に連絡をとって木星人の船が通過したかどうか確認したが、何も見ていないという返答が返ってきた。
まだ木星人と異邦人がフェアーナに潜んでいるのではと捜索を続けているが進展は何もない。
各人の思惑が交錯する、怒涛の第4章がいよいよ開幕!!




