プロローグ
「それぞれの武勇伝」→「あなたの学校生活を教えてください」→「六人の異邦人」
前の二作を消して、当作を入れさせて頂きました。
不束者ですが、どうかよろしくお願いいたします。
「なに? とうとう宇宙会議が?」
灰色の軍服に身を包んだ男は、それまで座っていた席から腰を浮かした。その部下らしい男は敬礼したまま報告を続ける。
「はい、数時間前に開かれ、たった今終わったと通信が入りました」
「あの星の代表は出席していたか」
「はい。密偵からの報告によりますと、フェアーナ国から来ていたそうです」
「なるほどな。ご苦労だった。密偵がこちらに戻ったら、また報告に来い」
「はっ」
カッカッカッカ。軍靴の音が遠ざかっていく。
灰色の軍服の男は振り返り、ソファーに深く腰を下ろした初老の男に笑いかけた。
「お聞きの通りです、お客人。しかも、あいつらが何を話していたかなど、私どもにはお見通しです」
「でしょうな」
同じくにこりと微笑む客を見据え、軍服の男は真剣な口調になった。
「それで、先程の頼みは聞き入れて頂けますか?」
「もちろんですよ。あなた方には借りがある。なんとしてでも返すつもりですよ」
「ありがたい。この星の未来がかかっているのです。どうか、どうか、よろしく…」
「しっかりやりますよ。それにまあ状況的に、私に断るという選択肢はないですしね」
初老の男は笑いながら立ち上がった。
「もうお帰りですか?」
「ええ。色々と準備がありますのでね」
「では、なるべく早く工作員をそちらに送りますのでよろしく」
「その後は、一切こちらにお任せを」
「本当にありがとうございます」
二人はガッチリと手を握った。
外はもう真夜中。幾つものビルが立ち並んでいる中で、最も高い高層ビルでこの二人のやりとりが繰り広げられていたのだった。