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私立一之宮学園〈特科〉  作者: ヲトオ シゲル
これは14日間のおはなし。
7/83

御一行様。








いつもの顔ぶれはいつもと変わらない、中身の無いにぎやかな食事風景を繰り広げる。

いつも生徒のいない遅めの時間帯。

〈特科〉であるというだけで目立つのに、ビジュアルが個性的である上に、基本的に5人と1体で行動していては、目に付けば噂したくなるのは仕様のない事。


奇異な目で見られるのも、遠巻きにざわざわされているのもどうという事は無いが、逆に仲良くしてこられては面倒事が増える。

だから食事の時間はいつも自然と極力人の多い時間帯を避けて行動していた。


食堂に人がいない訳ではない。

ちらほらと生徒はいるが、みなひとりで思い思いの時間を過ごしている。

大抵そんな生徒は他人に関心がないので、こちらを気にする様子もみせない。




午後の授業が終了の鐘が鳴る前に、御一行様は食事を終えて、食堂を後にする。


〈特科〉の最近の流行は、自転車だ。

都がひとりで自転車に乗れるようになりたいと言い出したのが始まりだった。


その前はインラインスケート、キックボード、その前はバイクや車だった事もあった。ただエンジンが付いているものについては、他の生徒への影響と危険だからという理由を取って付けられ、榊にこっぴどく叱られた。

何故そんな移動手段が必要かというと、〈特科〉の校舎から現在利用している食堂が、何か楽しみがないと徒歩ではそこそこキツい距離だから。





どう見てもサイズが合っていない自転車を、都は立ったままこいでゆく。


すぐに大きくなるからと、自ら大人サイズの自転車を選んだ。


特科の校舎に帰る石畳のゆるい坂道を、体を左右に揺らしながら自転車をこぐその姿は、少し気の毒そうで、かなり可愛い。あえてそこは本人には内緒にしているけど。

まだ小さな肩や背中の上を木漏れ日の水玉模様が素早く通り過ぎてゆく。



その後ろにはリュカと琴野の乗った自転車と、双子の乗った自転車があとに続く。


「ごらんよ、和隆。あっちは派手だね」


何が言いたいのか分かっていながらも、リュカはなんだよ、と史隆を横目で見た。


「前カゴに大きな人形を乗せて、後ろに女の子を乗せた金髪の外国人が自転車をこいでいるよ」


自転車の前かごに乗ったコッティの髪の毛はふわふわと、とても気持ちがよさそうに風に揺られている。

人形なので表情は変わらないが、悪くはない気分でいる。

その証拠に琴野の腕の中ではなく、前かごに入れられても、文句はひとつも出なかった。琴野に微笑みかけられながらかごに入れられては、文句の出ようもない。


にやにやと笑う史隆の自転車から離れながら、リュカはため息と一緒に吐き出した。


「そっちは男ふたりで地味だもんな、ふたりとも同じ顔だし」

「なんだよ!俺たちの顔が地味だって言ってるみたいだぞ!」

「そう言ってるんだよ」


リュカは自転車のスピードを上げる。あっという間にスピードにのって、先を行く都をも追い越した。


上り坂でふたり乗りではあっても、少しばかり能力を発揮したリュカの足に史隆は追いつけはしない。

後方で聞こえるブーイングに短く笑いながら、特科までの坂を一気に上っていく。







その特科の教室には珍しく担任と、珍しいお客様が待っていた。








次回、え?ネタバレてね?


これ、だいたい物語中盤か、終盤で出るやつじゃね?


のやつです。

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