1話
普通の朝に、普通の日。
何もない、ただ仲間がいるから通う学校
ジリリリリ
うるさい目覚まし時計の音で目を覚まし
それからしばらく布団の温もりを感じるのが私の幸せな時間
ゴソゴソと携帯を取ってとりあえずメールを確認する
うわ。朝4時にケータからメールきてるし、何してんのアイツ
〜何してる〜?〜
バッカじゃない、寝てるし。
ケータはただの同級生、ただ何回振られても諦めないストーカー?みたいな奴
うるさくって、乱暴で、頭悪いし、でも何故か人気あるんだよな〜。
う〜ん、布団の中で体を伸ばして深呼吸する、気持ちイイ〜
外寒そうだなぁ、う〜布団から出たくない。
すぐ起きるかあと5分、いや3分だけこの温もりを味わうか考えてたら
あ〜でもシャワー浴びなきゃ
またケータからメールが来た。
なんだろ、、
〜起きてるか?外みてみ〜
うう〜起きるかぁ〜、うーん
あくびしながら足をピーンと伸ばした、お、これも気持ちいいなぁ
ベットから出ると、ちょっと寒かった、もう11月かぁ。
カーテンを開けると眩しくて、外にはケータが居た。
しかも手振ってるし
寒い朝の独特な匂いと、ケータのニコニコ顔がちょっとだけよくて
ドキってした
「おはよ〜。いい場所見つけたんだ〜早く行こうぜ〜」
まだ、朝6時。
こんな時間に迎えに来る?普通
「シャワーまだだし」
「いいから、早く来いって。寒いんだから急げよ」
何言ってんのよ、まったく。
勝手に来て急げって勝手な奴
あ〜でもこれってちょっと憧れてたなぁ、ケータじゃなかったらよかったのに
「20分!」
「20分?それじゃダメだよ〜10分でできんだろ」
偉そうに
「もう!とにかく待っててね!ご飯おごってよね!」
ケータは黙ってコンビニ袋を見せてくれた、気が利くじゃん
シャワー浴びに部屋を出ると母さんが妙な笑顔。。。だりぃ
「なによ、彼氏?青春だね〜」
「違うよ、あいつは、、、私の信者かな、今日は朝ご飯いらないから、貢物があるそうだから」
母さんが驚いた顔をしたのが楽しくて笑ってしまった
ダッシュで用意して髪が乾かないまま外にでた。
「おっせ〜」
「うるさい、いきなり来てなによ」
私が、自転車を出すと
「あ、今日は俺の後ろに乗れよ」
「はぁ?何言ってんの?帰りどうすんのよ」
「責任もって送ります!」
私は無視して、自分の自転車にまたがった
「うわぁ、マジっすか可愛くねぇ〜」
「でも好きなんでしょ?」
意地悪だったかな
「うん、好きだ」
思わず、顔が赤くなるくらい真っ直ぐ目が合って固まってしまった
ケータも流石に恥ずかしそうで
「行こう」
だけ言って、一人で行き始めた
私は、ちょっとドキドキしながらついて行った
ちょうど後ろから見るケータは
朝に照らされたサラサラの髪が、自転車をこぐ度に揺れて
なんだか、不思議な感じだった。
学校に通じる道を、ちょっと外れて付いたのは
草がボウボウに茂った何も無い場所
「ここがいい場所?」
機嫌悪そうに言うと
「こっちこっち」
手招きしながらケータは草原に入っていった
身長170cmのケータの腰くらいまである草を
ケータは足で踏み鳴らして私の道を作ってくれた
その道の先が光って見えて
草原に入るとそれが何かわかった
「きれい。。。。」
そこは真ん中だけ、池になっていて
朝日が反射して、まるで池がクリスタルのように綺麗だった
「次の対戦場探してて見つけたんだ、本当は朝の5時がベストなんだ」
「対戦場?」
「ああ、俺とお前の対戦場。もう4回ふられてるしなこれで最後、ダメなら諦めるよ」
ああ、そういう事か
でも、今日は本気だな どうしよう。。
別に好きな相手がいるわけじゃないけど
ケータは体育の気をつけの体勢からペコッと頭を下げた
「第一印象から決めてました!お願いします!」
。。。何?第一印象からっていまさら言うセリフ?
「あれ?知らない?ねるとん紅鯨団、とんねるずの番組なんだけど」
知らないよ、、、というかちょっと迷ったのにコレで完全に答えは決まった
ちょっとガッカリして私は引き返した。
10Mくらい離れてから
「おーい!答えは!?」
「。。。保留」
保留にしてあげたのは、一応頑張ったから
一瞬だけドキっとしたし
「早く行こうよ」
と、振り返って見たケータは、また朝日に照らされてまたちょっとカッコよかった