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死霊魔術師の何が悪い?  作者: 礼賛
8/26

モンスター考察 その1 ゴブリンとコボルトについて

 今回の話を書く為に前の話に修正を加えました。

 最後の一文だけですが、確認した上で読んで頂ければ矛盾が出ないと思います。

 ゴブリン。

 それは人型の魔物の中で1、2を争うほどの最弱のモンスター。

 150cmにも満たない小柄な体躯と、貧弱な筋力、色々と足りない知能など、弱い理由を挙げればきりがない。

 正直に言えば10歳の子どもでも、短剣一本もあればゴブリン1体ならば十分に対応できるというほどに弱い。

 灰色狼グレイウルフは倒し方さえ知っていれば10歳児でも倒せるかもしれないが、ほとんどの場合では恐らくそのスピードに対応し切れずに殺されるだろう。スピードに対応できれば問題は無いが…。


 そして何よりも灰色狼グレイウルフとゴブリンとの大きな違いは武器の差だろう。

 灰色狼グレイウルフには獲物を噛み殺し、倒す為の爪も元から有しており、この爪や牙は時として武具の材料になることもあり、低ランクモンスターの武装としては優れている方だろう。


 一方で、ゴブリンの武装を見るとこれまた貧弱の一言に尽きる。

 凡そのゴブリンが装備している武器は木の棒(棍棒ではない)や棍棒といった原始的な物となっている。

 防具はさらに酷い状況だ。一応、腰に巻く布だけは着けているが、防御力は脅威の0。はっきり言ってただ隠すだけの物だった。中には狩りに成功したのか、灰色狼グレイウルフなどの獣型モンスターや野生動物の毛皮をまとっていることもあるが、一部のゴブリンに限られる。


 ちなみに力の差を表すとこんな感じだろうか。

 小型草食動物<ゴブリン=小型肉食獣≦灰色狼グレイウルフ<越えられない壁<大型肉食獣


 簡単に言えば食物連鎖のヒエラルキーの最下層の一歩手前といったところだろう。



 さて、ここまで聞くとゴブリン狩りは簡単に思われる。

 だが冒険者にゴブリン狩りについて簡単か否かを聞けば、ほとんどの冒険者が「否」と答えるだろう。

 理由を問えばこれも同じ答えが帰ってくるだろう。すなわち「数が多過ぎる」だ。

 そう数だ。ゴブリン退治で一番注意すべきは数の問題だった。


 ゴブリンの繁殖力は高く、1ヵ月もあれば元の倍の数になるだろう。しかも他種族である人間を使っての繁殖も可能である為、女性が襲われることも多々あった。

 そんなに繁殖が早ければこの大陸をゴブリンで覆い尽くせそうだが、その能力の低さゆえに短いサイクルで生まれても成長する前に他の獣やモンスターに襲われたり、冒険者の間引きにあることもあり、爆発的な繁殖には至らないでいる。


 だがそんなゴブリンだが実は初心者冒険者から、中堅レベルまでの冒険者まで幅広い層での死者を出す要注意モンスターとして扱われてる。

 繁殖によって増殖したゴブリンを相手取ると、まず初心者PT(パーティー)では全滅必至。中堅冒険者でも練度やPT(パーティー)編成によっては全滅もあり得る程だった。

 特にゴブリンは単体での行動をせずに、まとまった数が同時に動くために、下手に刺激して群れ全体を呼び集めてしまうこともざらだった。


 想像できるだろうか?

 四方八方からゴブリンの大群が押し寄せ、まさに数の暴力として緑の大群が赤い血の花を咲かせる。

 実際、ゴブリンの間引きに失敗したことで、ゴブリン暴走(スタンピード)が起きた結果、村や町まで消滅した事例さえある。


 たかがゴブリン、されどゴブリンだ。舐めて掛かれば死ぬ運命が待っている…

 しかも、元が弱いためにLvが上昇しやすく、ある程度まで育つと進化バージョンアップが起きて、上位種になることもあるので、侮れなかったりもする…



 そのゴブリンとよく一緒に話題上がるのが、コボルトだ。

 コボルとはゴブリンと同じ位の大きさのモンスターだが、パッと見はまさに二足歩行の犬といった感じだ。

 筋力などではゴブリンよりも劣るが、最弱ランキングでは5、6位と言ったところだった。

 理由はその見た目にそぐわぬ器用さと知能が理由だ。


 知能ではゴブリンが洞窟などの自然発生したものを住居として使うのが精々だが、コボルトは自分たちで住居を作り、畑を耕すなど最低限とは言え文化的な暮らしを営んでいる。


 器用さでは先にも挙げたが、生活面では布などを織る技術や木を切り出して家を組み上げるだけで無く、戦闘面では荒く鋳造された剣や斧を使ったり、木や動物の腱や骨を利用した弓を使って遠距離攻撃をしてくるなど、ゴブリンよりも多彩な攻撃を行って来る。


 また、ゴブリン同様数が多いのも特徴でゴブリンが短いサイクルで1匹ずつ生むとしたら、コボルトはゴブリンの出産より3倍以上時間が掛かるが多産傾向にあり、一度に5、6匹生むことが殆どだった。ただし、ゴブリンの様にいつでも繁殖可能という訳では無く、発情期があるため年に2度のシーズン以外でが増加することは無い。


 それでも多産であれば周りに大きな被害が出そうなものだが、ゴブリンとは違いコボルトによる暴走(スタンピード)が起きることは無かった。

 それもコボルトとゴブリンの性格の差が良く分かる事例だった。

 ゴブリンは他種族の雌つまり人間とも生殖が可能であることと、知能が単純である為にある意味では非常に好戦的だった。

 一方のコボルトは臆病かつ争いを好まない性格であること、そして自分たちで出産回数を抑制するなど知能もある為だった。

 またゴブリンが幾つもの系統に進化バージョンアップし、下位、中位、上位などの幾つものクラスを経ることが出来る一方で、コボルトはたった一度の進化バージョンアップしか出来ず、成長の底が極めて浅いと言われていることも原因の1つだった。





 と言う話を冒険者や本から仕入れてきたので、ゴブリンの骸骨スケルトンとコボルトの骸骨スケルトンを手に入れることで、PT(パーティー)が上手く機能する筈だ。

 本来ならばまずは群れからはぐれたゴブリンを探さないといけないのだろうが、その知能の低さゆえに実は一匹ずつ釣り出すのは非常に簡単だったりする。

 

 まずやることは唯一つ。

 こっそりと回収していた灰色狼グレイウルフ骸骨スケルトンの食べ残しの肉を焼いて待つだけだ。匂いに惹かれて3、4匹程度までのゴブリン集まれば、こちらでも十分に対処できる数だ。


 その為にもまずは火を熾して焼肉を作ろうかな。

 

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