外伝 恋愛は押しが大事ですよ
朱莉と巴はみーくんと同じで可愛かった。男の子に可愛いというのは、どうかと思われそうだけど、みーくんはカッコイイというより可愛い、それは幼稚園の頃からずっーとそうで、中学生の頃にラブレターを書いた時も、今もずっと可愛いと思っている幼馴染だ。
視野が狭いまま、みーくんにぞっこんだったので上条君には酷いことをしてしまった。上条君とは小学校の頃からの友達だけど、まさか私のことが好きだったなんて知らなかった。
私発、上条君経由、みーくん行きのラブレターは上条君を傷つけてしまった。
上条君の気持ちを教えてくれたのは、みーくんだった。
「御坂のこと好きだけど、上条がいるからね」
その後に、ゴメンねと一言だ。
「どう思う? マーズ」
上条君のBRのマーズは私とみーくんにとっても大事な存在で、頼れるお姉さんだった。マーズにとって上条君が一番の存在だけど、私たちに対しても凄く優しくしてくれる。赤髪でトレンチコートの頼れるお姉さんは腕を組んで唸った。
「つまりは、椚さんと付き合い始めたから、みーくんは御坂と付き合っても」
「問題ないってことだよね!」
マーズは少しのけ反って、周りに誰もいないのを確認した。
みーくんは上条君との友情を壊したくないから、私と付き合わなかった。私のことを好きだったと言っていたのは、今でも夢にでてくるくらいに覚えているので、私の妄想じゃない。
「声が大きいよ」
「でもでも、そういうことだよね」
「その話、待ったー!」
マーズは周りを索敵していたのに不意をつかれたようで、無い銃を一瞬探していた。声の主は屋上からで、校舎裏でひそひそ話をしていた私とマーズの間に紐で下りてきた。
みーくんの姉の朱莉だった。
「シスターズ参上!」
だが、巴はいなかった。
「なんで屋上にいたの?」
「弟の話には地獄耳なのですよ。可愛い弟の話題には私の最先端技術の耳は逃しません。事実、巴だってそこで隠れているよ」
灯りが指を指した先は廊下で、片目だけを出した巴がいた。
「す、すみません。つい、気になって」
シスターズは本当に参上していた。
そして、残酷な一言を発した。
「残念だけど、我が弟は恋をしています」
私は誕生日を迎えた次の週の日曜日にF3へ向った。『BR』=blood relation。早生まれの私は、とうとうキャラクターメイキングをすることになった。
目の前には、無機物な印象のあるレイという女の人がいた。キャラクターメイキングには時間がかかるけど、私の心は嫉妬がしめていた。
と、言うのも……みーくんが恋をしているのは目の前にいるレイだったからだ。
巴が、「駄目だよ。姉さん、言っちゃあ」
と言ったけど、結局朱莉は教えてくれた。
目の前の科学者丸出しの女性のどこが良いだろうか?
胸奥が燃え上がり続けたまま、私のBRは完成してしまった。
「……これは」
レイが口を閉ざしてしまった。色々思案してから、レイはBRと対面させてくれた。
「あらー、君がみーくん。噂通りに可愛いわね」
私のBRがみーくんの机に昇って体をくねらせた。BRはほとんどが異性になるけど、私のは例外だった。七つの大罪で有名な嫉妬の化身のレヴィアタンだった。蛇女にも見えなくは無いけど、鱗は強靭で触れるとゴツゴツとしていた。そのままの名前だとバレバレなので、「レヴィ」と名付けた。
そのレヴィがご主人様の好きな相手を口説こうとしていた。
「私の弟に触れるな」
朱莉がレヴィにとび蹴りをして、レヴィは隣の机に飛び移った。着地した先では巴が足払いをしようとしたけど、竜の堅い体には通じなかった。
「君、名前は?」
みーくんが二人の姉を抱えて、レヴィに尋ねた。
「レヴィよ」
「へー、誰のBRなの?」
「御坂のBRよ。御坂と違って妖艶でしょ」
「……随分と性格が違うね」
私はこれ以上恥をかかないように、レヴィを捕まえた。
「なにするの、御坂!」
「止めてよ!」
レヴィは私を振り切って、机に着地した。
「私が言いたいのは、ただ一つよ。みーくん!」
「はい?」
「御坂とデートして! 一生のお願い」
レヴィは土下座をした。
いやあああ! 教室で何言ってんの!
「ごめんね、ごめんね、みーくん」
私はレヴィを鞄に突っ込んだ。
「別の良いよ。どこへいく?」
えっ、嘘。
レヴィは鞄から手を出してピースをした。
「押しが大事よ、押しが」
こうして私はみーくんとのデートが決まった。




