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剣の墓標、春の城  作者: 銀野
無印
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10036日目


あの子らが出発してから少し間を置き、気心も知れて大分仲良くなった馬(彼女もなかなかはっきりした、気持ちのいい気性だ。前日の夜、思い切って私が魔王だと打ち明けても「じゃあ次から“殿”って呼びますね(笑)」の一言でその後も普通に接してくれた)に留守を頼み、私はこっそりとあの子らの後をつけた。

何日か島内をうろついていた為だろう、あの子らの力量も上がり、私の助けがなくてもさほど危なげなく(ただ、長期戦になると坊主が回復役のくせに打たれ弱いのが浮き彫りになってきていた。そのうち対策を講じようと思う)遺跡の中を進んでいく。

幾つかの仕掛けとフロアを抜け、最奥と思われる場所であの子らの前に現れたのはやはりと言うか兄の方の配下であった。

確か、それなりに腕の立つ(“筆頭四人”というとあてはまらないが、“筆頭七人”になると名前が上がったり上がらなかったりしてくる感じの)男だ。

--正直言って、これくらいの立場の天使になってくると、どれほど修練を積んだところで人間がどうこうすることはできない。

あの子はあんなにも努力しているのに、と。

どこか理不尽な事実を認識しつつ、珍しく向こうがあの子に話しかけて来たので、私は天使側の理屈を理解するべく聞き耳をたてた。

向こうの話と、私の知っている事実を並べて考えたところ、朧げながら最近の天使の所業のわけがわかった。

要するに、先日兄の出した、

「火の玉やら病やら呪いやらを適当なところに落とせ」

という、いい加減極まりない命令が今だ解除されていないことが大本の原因のようだ。

どうも、天使の中でもその命令(“天罰”と表現されていたが正しくないと思う。正確に意図を著すとするなら多分“道楽”が正しい)の解釈が別れ、揉め事が起こっているらしい。

因みにあの子らの前に居るの天使は、命令遵守派のようだった。

いかに兄の命令が正しいかといった感じの口上を長々と天使が述べ、坊主と娘がそれに憤慨し、場はなかなか白熱していたが、兄の意図するところを正しく知っている身としては、ただただ岩影で生温い笑いを浮かべる他無かった。


そして、そうこうしているうちに皆これ以上口喧嘩をしていても埒があかないと悟ったのか、本気で殴り合いが始まってしまった。

前述したが、あの力量差では、向こうが少し本気を出しただけで、あの子らは消しゴムのカスのようにたやすく吹き飛ばされてしまうだろう。

……相手は兄の配下。

少し迷ったが、やはり弱いものいじめはよくないと判断し、私はあの子に加勢することにした。


そして、だ。


……………。


何と言うか。


仮にも“筆頭”と呼ばれる天使が何故適当に放った数個の魔力矢で撃ち抜かれただけであそこまで力が落ち、言っちゃなんだがたかが人間の武器で頭をカチ割られただけで絶命してしまうのか、甚だ理解に苦しんだ。

……多分、兄が部下の育成を蔑ろにしていた為ではないかと思う。

因みに止めを刺したのはあの子だった。

強く育ってくれて、私は嬉しい。



追記。

書きたいことが多過ぎた為か括弧書きがこれでもかと言うほど長く多い読みにくい文になってしまった…。反省。


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