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「で今日はどうするの?このまま帰るの?」
「うん、そうしようかな、美雨は部活?」
「そうね、」
などと話しながら、日常が過ぎていく。
今日も、明後日も
そう信じていた。
「―もう、雨降るなんて聞いてないっつーの!」
バシャバシャ、靴が頭が思い切りぬれる。
突然の夕立に辟易しながら悪態をつく。
大体の生徒達は寮生活なのだか、家が近いため自宅から通っている。
こんな時ばかりは寮生活が羨ましくなる。
―――――――――――――――――
ゾクッ
「…!?」
嫌な、感じがした。
肌が粟立つ、背筋が凍る
「な、に?」
立ち止まり辺りを見渡す。
この感じ、覚えがある。
アクマ――
「な、何で」
確かにのあたり一帯はアクマが出現しやすいが、一応は街全体に結界が張り巡らされている為、生半可なアクマは出現してもすぐ活動出来ずに消滅する筈、
それに強力な力を持つアクマなら管理局が察知してすぐさま先遣隊が送られてくるはずだ。
(だ、大丈夫よ、きっとこっちには気づいてな)
―――――――
ゾルッ―――
「!!?」
眼前の街道の角から、ソレは現れた。
真っ黒い体、赤い目
それは、訓練でよく目にしたアクマの姿
ただ一つ違うのは、それが――――ホンモノだって事だ 。
ドクン、ドクン、
心臓が高鳴る。
のっぺりとした顔、球体のような体に不揃いな手足がついたそれは、こちらに気づいた様子で、のっそりと近付いてくる。
―結界を抜けてきたアクマに今の私が勝てるなんて思っていなかったから少しでも距離をとってその隙に逃げ出そうと考えた。
(落ち着いて、何時もの演習みたいに―――)
鞄をあさって、呪札をとりだす
バサリと中身が溢れたが気にする余裕はなかった。
「お、御!」
キィン
札がひかり、中心の円から“弓“が現出する。
これが私の武器だ。
それを手にして
改めてアクマに向き直る
本来なら私の立ち位置は後方、前線に出るなんて囮でもない限り訪れない。
カタカタ
知らず手が慄える。
(やるしか、ない)
キィイ
手から光の筋が生じ、次第に矢の形を取る。
ギリッ
その矢を番える。
「…つっ」
黒い手が、迫る。
「ひっ、」
堪えきれず、手が弓を離してしまった