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「お戻りでーーーーお嬢」
「ーーーただいま将騎、あの二人は?」
青年は微かに苦い顔をしたが、直ぐに
「はい、虎徹様は自室に、不知火様はまだーーー」
そう、彼女はそう言って玄関から上がる。
「先にお風呂を頂くわ。それと、これ」
カサッ
薄汚れた紙屑が
差し出される。
「お嬢、これはーーー?」
「調べて欲しいの。出来る限りでいいわ。」
「分かりました、でも先ずは傷の手当てをーーー」
要らない、そう口にするより早く
「姉上、戻られたのですか」
「虎徹、」
ぱたぱた、足音とともに現れたのは、弟の虎徹だ。
精悍な顔が彼女の傷を見て微かに歪んだ。
「傷の手当てを致しましょう。早くこちらへ」
頑固な弟だ。
彼を摺り抜けるなど至難の技だろう。
ため息をついて、生真面目な彼の背を追った。
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「大袈裟ね、傷はそんなに深く無いのだけれど」
「大袈裟にしたくないのでしたら。始めから傷を隠さないで下さい。」
直ぐにハッとなり、
「す、すみません…」
「いいのよ、心配してくれてありがとう、虎徹。」
年相応の笑み
彼女のこんな表情を見れる人数は限られている。
「姉上…」
「私は平気よ。貴方は気にしなくてもいいの。」
「姉上、ですが」
「虎徹。」
遮る言葉。
それ以上に言葉が紡げなかった。
「手当てをしてくれてありがとう。
つかれているでしょう。早く部屋に戻りなさい。」
「ーーはい、分かりました。」
彼が退出したあと、彼女は
一つ息を吐いた。
弟には心配をかけたくない。
これは、ーーーー私の問題だ。




