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雪の華  作者: 雨瑠
13/21

12

あれから数日、何も起こらず過ごしてきた。


祖父から言い渡されたのはただ一つ、

“何もしなくてもいい“だった。

「…」

今日も歩いて学園から帰る。

気配は感じられないがおそらくこの間にも彼女に守られているのだろう。


美雨には一緒に帰ろうと誘われたが断った。

アクマの目的が自分だとわかった以上、迷惑をかけるわけにはいかなかった。



自分だって、アクマと戦う訓練はしてきた。

完全な退魔は難しいとしても、並のアクマなら追い払う位は出来ると信じていた。

しかし実際には、追い払う事はおろか全くもって力が及ばない。


小さい頃からずっと変わってない、

そんな自分が歯痒くて仕方なかった。

守られてばかりの私、父と母が生きていればなんと言われただろうか。


父と母は私が七つの時に、退魔中の事故で亡くなった。

朧げにしかない思い出、しかし何より大切な宝物だ。


(……白夜の母さんも)


彼女が生まれてすぐ亡くなったはずだ。

「……」


チャリ…

形見のネックレスが軽い音を立てて揺れた。

同時に




ォオオオンーーー!


「キャア!?」


背後から咆哮。

振り返って見れば既に白夜は交戦中だった。


相手はとても大きなアクマで、なによりその図体にしては動きが機敏だった。

「っ白夜!」

「…」

対して彼女はやけに冷静で、攻撃を一つ一つ丁寧によけていく。

まるで舞うようなその所作に思わず目を奪われた。


「ー!」

一刀、


一つだった体が二つに裂けた。

じたばた、足掻くアクマを

ジリ、

踏みつぶしてそれを見下した。

とても冷たい、零度の瞳で。



「び、白夜ーーー?」

「ーーー」


ーー今度は私がその瞳にうがたれた。

ぞっとするような冷たい視線。

息を詰めたその時、



ザワッ


「!!」

「え」


もう片方の体が動いて、最後の足掻きの様に無茶苦茶に暴れ出した。

その折、アクマがこちらに向かってきて、その腕が私をなぎ払おうとした時、


キィン


体に刻印が浮かび上がり迫ったはずだった攻撃がこちらに当たらない。

正確にはすり抜けたように、と言った方が当たりだろう。


何時もの事だ。

私に攻撃は当たらない。

「………」


ザクッ


改めてもう一度、その体に刀が刺さる。

そのアクマは今度は直ぐに霧散して消えた。



それそれを見て息をつく。


ありがとう、言うために顔を上げてみればーーーー

「白夜、!?その傷ーー!!??」


先程まで傷一つなかった彼女に、いつの間にか血の筋が流れていた。


「一体いつーー?!」

慌てて駆け寄って、傷を確かめようとしたが、

「!触らないで…!」


ばしり、手を弾かれてしまった。

「でも」

「私に構わないで、」


早く帰って、彼女はそう言って後ずさった。

鬼気迫る声にただ従う事しかできなかった。


ごめんなさい、そんな言葉しか出てこなかった。


ーーーなんて弱いんだろう。

なんで何もできないんだろう。


ぐるぐる

頭が、胸がざわついた。







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