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ごぉ!!
アクマが咆哮する。
耳鳴りで頭がどうにかなってしまいそうだった。
「うっ」
「このままじゃあ埒があかねぇ、」
「刹那一旦引こう!私たちが適うレベルじゃいわ!」
「っくそ」
美雨はそう言って、一枚の呪札を取り出した。
「破」
掛け声とともに呪札が光り、アクマの目を眩ませた。
「今のうちにーーー」
ガッ
「きゃあ?!」
無茶苦茶に振るわれた手が美雨の体を吹き飛ばす。
「美雨!」
あわてて駆け寄るが、早くも視界を取りもどしたアクマがこちらに迫ってくる。
「………っ!」
美雨、声をかけたが反応がない。
刹那達が慌てて駆け寄ってくる。
しかし、間に合わない。
もうダメだと目を閉じた瞬間、
「――」
ザクッ!
グオオォ
銀の光がアクマを一閃する。
シュウウ…
(ミツケタ)
霧散したアクマ。
後に残ったのは
「白夜……?」
刀を手に
立つ彼女の姿 。
どうしてあなたが、
そんな簡単な問いしか口にする事ができなかった。
対して彼女は問いに答える様子はなく、刀を鞘に収めて、
何時もみたいに冷ややかにこちらを見て、
「弱い。」
「え、」
吐き捨てるように言って背を向けた。
そしてそのまま歩き出した彼女、
「ま、待ってよ白夜」
その背中に追いすがる。
どうしてあなたがここにいるのかとか、
あのアクマは何だったのかとか、聞きたいことは山程あった。
しかし彼女は一度も振り返る事も無く、その場を後にした。
しばらくは呆然とその背中を見ていたが,
「う」
「美雨!」
慌てて駆け寄る。幸い擦り傷程度で済んだようだ。
刹那達も無事なようだ。
それを見てホッと息をつく。
そしてもう一度彼女の去った方向を見詰める。
「………」
予感がした。
何か、大きな事が始まりそうな予感が
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ギリッ
強くり締めた拳は、赤い雫を地に散らせた。
どうして
「どうしてあんなやつに、」
ぼそり、呟いた言葉は誰に届く事も無く風に消えた




