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「草薙さんねぇ、確かに影も薄いし、あまり目立たない人よね。」
「そうなのかな、クラスが違うからあまり分からないんだよね」
帰りながら、美雨とそう話していた。
「何かしちゃったんじゃないの?」
「うーん…それが覚えていないんだ、」
「分家だっけ、やっぱり色々あるんじゃないの?」
「そう、なのかな」
今まで考えたこともなかった。
いわれてから初めて気にした。
「それより、明日は大丈夫?」
「え?な何だっけ」
「至力のテスト、また団体戦だけど、失敗しないようにね」
「分かっているわよ、それにそんなことなら刹那達に言ってよあいつら前に突っ走り過ぎなんだから」
「俺がなんだって」
「うわ!何処から湧いてくるのよ、もう」
振り返れば刹那と真司の姿。
いつの間にと嘆息する
「突っ走るのはお前だろ?お前にだけは言われたく無いね」
「な!何よそれ」
「まあ同感ね」
「右におなじってかどっちもどっち」
「「こいつと一にしないで」」
にらみあう二人。
美雨と真司は嘆息した。
「そういえば鏡夜は?一緒じゃないの」
「あぁ、部活が長引いているんだと、」
他愛ない話をしながら家路を辿る。
そして、昨日のあの通りに近付いたとき、
また、嫌な予感がした。
キィン
耳鳴りがする。
「恵里香、どうしたの」
周りのみんなは気づいてないようだ。
「な何でもな」
ーミツケター
「え?」
声がした。
何重にも重なった不思議な声が。
「きゃぁあ!?」
「恵里香?!」
急に叫び声を上げた彼女、みれば彼女の影から黒い手が伸びていて、それが足を掴んでいた。
「何よこれ――」
おなじだ、昨日と。
「美雨、下がってろ!」
背中の木刀を抜いて刹那かそれを振り下ろす。
ガキィン
あっけなくその手がちぎれ、まるでしばらくはとかげの尻尾みたいに蠢いていたが徐々に動かなくなり霧散してきえた。
「何よ今のは、」
言い終わる前に、影が蠢いて昨日と同じような姿を形取る。
「アクマ―――?!」
「マ、マジかよ」
「ど、どうする」
「どうするって、やるしかないだろ」
「マジで?でもどうやって、昨日は破魔の矢も効かなかったのに」
「とにかく、隙を狙って攻めるしかねぇ、恵里香、美雨、援護を頼んだぜ。」
「ち、ちょっとまってやっぱ危な―――」
キィン
―ミツケタ、ミツケタ
甲高い声、脳に直接響いてくるかのような。
「痛っ」
「ちょっ、どうしたの恵里香?!」
くらり、かしいだからだ、
「どうしたのって、聞こえ無いの?」
あの声が―――
ミツケタ、ミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタ
「ひっ」
危ない、直感がそう告げていた。
「行くぜ真司!」
「お、おう!」
待って、言葉が喉に引っ付いたように声が出ない。
「はっ!」
刹那の一撃が黒い体に刺さる。
しかし
ヌルッ
太刀はその体に呑まれるように沈んでいった
「な、っマジかよ」
「刹那!」
ついで真司の一撃も、同じように呑み込まれていった。
ズルっ
引き抜いた後には、傷一つ浮かんでいなかった。
「やばいって、早く逃げよう!」
「何言ってんだ俺たちはこの為に修行してきたんだろ?もう一度、行くぜ、真司!」
「分かった!」
「ちょ!恵里香、援護よ!」
「え?!ああ、もう」
半場やけになって弓矢を取り出す。
美雨もまた呪札を手にする。
しかし
攻撃の通らない相手、力の差は歴然だった。
「ハァハァ、マジかよ、なんなんだよコイツ」
ズルっ
ゆっくりとそいつが近づいて来る 。




