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プロローグ
「……ぅ…………」
突然に小さく呻いて、顔を押さえ俯く彼女に
周囲を取り囲んでいた数名の女子生徒が後ずさる。
「何コイツ、いきなり―」
「意味分かんな…」
ドロリ、床に落ちたそれを見て何人かが悲鳴をあげた。
「血…!?ヤダ!まだ何も―――」
「ちょ、大丈夫――」
「っ触っちゃ駄目だって、やっぱこいつおかしい!」
一斉に彼女達が走って行った。
放課後の空き教室に、走るあしおとがむなしく響いていた。
―――――――――――
プルプル…
ピ、
「はい、」
「はい、了解致しました すぐ―」
一方的な電話
一方的な内容
一方的な切り方
「………」
何時もの事だ、本家からの電話は。
ぐい、
そでで乱雑に流血をぬぐう。
カチャリ、携帯を閉じてポケットへしまう。
顔を上げれば夕焼けに染まった教室が目に付く。
彼女は無表情のまま息を一つ吐いて―――
そして、一歩踏み出した。