水に沈み、ぼくは泡になって融解する
夢をみた
ぼくが泡になるゆめ
泡にとける、ゆめ
ぼくは中学生で スクール水着を着ていた
体にピタリと張りつくラインがきもちわるい
プールのきらいな生徒だった
ともだちのいない生徒だった
あつい、さんさんとした太陽の下
みんなポチャンポチャンとぷーるにつかる
ぼくはだるくてボチャン、とはいる
休み時間まであとさんじゅっぷんさんじゅうきゅうびょう
いちびょう、にびょう
ここからでるまでのじかんをかぞえる
二十五メートルをなんびょうでおよぎきるか
かぞえるために待つ列の
うしろの女の子たちのさざめき声がきもちわるい
くるしくて、くるしくて、がんばって
泳ぎきったあとみんな並んだぷーるさいどで
せんせいが のこりはじゆうですよー、あそんでいいですよ
という声が よろこぶ子たちの歓声が
頭の中をはんすうする
女の子たちがまた大きな水槽に
ピシャピシャ音たて飛び込むよこで
わたしは休もうか ぐらぐらとおもうけれど
ひとりのぷーるさいどはめだつので
ふゆかいなちょうおんぱにやかれてしんでしまうので
おおきなみずのかたまりにはいる
することもなくプールのまんなか
女の子たちはとぶ はねる さかなになっていた
ほかのさかなたちとたわむれながら さかなになっていた
ひれもえらもないぼくは さみしくなって
ひとりにげこむみずのなか
抱えたみずはぼくをずぶずぶとしずませる
ぶあついみずのさんまいごしに
たいよう照らす いっぱいのあわにめをあける
くらくら水の天井へとのぼり ちいさくなって
しゅわしゅわとほうまつときすほしのようなあわたちが
そのきらめきが あんまりにもきれいだったので
ぼくはひとつをつかもうと てをのばして
ぼくからたちのぼるあわに気づく
ゆびさきから ふくりふくりとふくれるあわに
ぼくからはなれ こまかくなってきえてくあわに
うれしくて あわになるようで あわになっていくようで
しゅわしゅわふわりとあわになるぼくが
ゆびさきから てくびから うでから
とけていくかんかくがうれしくなって
ほっといきついたそのとき
ぼくを見るさかなと瞳がかち合い 目が醒めた
ぱちり瞳をあけたプールサイドで 魚でない女の子たちがわたしをかこむ
目をあわせられずに俯いた髪から 薄い塩素水の匂いがたちのぼる
夢から醒めたわたしはさみしくなって
ぽとりとひとつなみだをこぼした
長すぎたかも、とちょっと反省。