第3話、骨vs芋虫
第2話の後書きを
ちょっといじりました
(1月2日)
「…あんたなんで銀貨持ってないのよ」
そう言われたのは
あの激闘(精神)から少し後のこと。
もしかしたらベータ版から仕様が変わって使えるようになってるかも知れないとか似合ってるよとか
慰めを受けてなんとか復活した俺は姉貴達と狩りをすることになり
俺の武器を買いに武器屋に来たときだった。
俺の所持金は
200c
ゲーム開始直後はこんなもんか、と思い姉に足りないことを告げたらそう言われたのだ。
「銀貨?なんだそりゃ」
と言うと呆れたように説明をしてくれる。
「この街に来るとき貰えるでしょう?あんた無駄使いしたんでしょ」
「無駄使いなんてしてないわ、そもそも街に入ってすぐ姉貴達に会ったんだから」
と正直に言うと
「…嘘はついてないわね」
疑いは晴れt
「財布落とした?」
訂正、どうも俺のせいにしたいようだ。
ならば逆に聞いてみるか
「と言うか…そもそも此処に来る途中に誰に貰うんだよ、俺門番としか話て無いぞ」
…あれ何か俺まずいこと言った?
やめて!
その可哀想な人を見る目
やめて!
姉貴が信じられないように言う
「あんた…もしかして骸骨に負けた?」
コマンド
反論←
無言
誤魔化す
逃げる
コマンド
反論
無言
誤魔化す
逃げる←ピッ
あね から は にげられない! ∇
ピッ
あね から は にげられない! ∇
無言←
ピッ
「………」
「負けたのね…イベント戦で…」
カゲヌイ の せいしん に ∇
99999 ダメージ ∇
カゲヌイ は めのまえが まっくらになった ∇
◆
姉の話によるとあの骸骨に攻撃を一撃当てるとイベントが始まって、突如騎士が乱入骸骨を一掃し、自キャラをこの街まで送ってくれるそうだ
その時に選別として10sをくれるらしい。
骸骨は攻撃までの速度が遅く、よほどのことがない限り一撃あてるぐらいは出来る為、負ける奴は、ほぼいないらしい。
その後
「まぁいいわ私が出してあげるから何でも買っていいわよ」
と姉貴が言うが
弟翻訳を使うとこうなる。
「何やってんのよ、可哀想だから買ってあげるけど安いのにしてよね」
…イエスマム
俺は鞭系統で安くて良いものを探すが
どれも銀貨1枚程するのに
たいした攻撃力がなく
1~15ってところだ
参考までに隣の片手剣を引き合いに出すと
値段は同じで、大体20~30位なので
かなり弱いのかもしれない。
だが問題は攻撃力ではない
そもそも【鞭】スキルを持ってない俺は
鞭でダメージを与えられないのだ。
問題とは武器ランクだ
【バインディング】には武器ランクというものが関係しているらしく。
相手の筋力よりこちらのスキルレベルと武器ランクが低いと効果が薄くなり死にスキルになってしまう。
この店の武器では最低でランクF、最高でランクCまで置いてあるが
姉の話によるとランクはAのあとに9がきて一番良いものがランク1になるらしい
そして先程から見ているものは全てランクFである。
最低ランクでこの値段ならランク1はどんな値段なのか…
◆
さて、姉から
「早く決めなさいよ」
というオーラが出始めたので焦り始めている俺だが
比較的安い短鞭では
【バインディング】
が使えないという事実が発覚したために
長鞭を物色しているのだが。
短鞭より上級な武器なのかランクも値段も高く
中々に手を出せずにいた。
そんな時だった。
ふと店の外を見たときに、俺の目に“それ”が映ったのは
道を挟んだ向かいの店
その名も
“道具屋ヨハネ”
この店と同じくNPCが経営している店だ。
その店の中、日用品陳列棚に“それ”があった。
俺は手に持った5sの長鞭を置き
向かいの店へと向かう
道に出た瞬間他のプレイヤーがギョッとしているが気にしない。
俺は“それ”の前に行き情報を見ると、静かに微笑んだ。
∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇
虎縄
ランクA
(素材)
値段:200c
黄色と黒に染めた草を束ね、強度を上げる魔法で強化した縄
△△△△△△△△△△
俺はそれを自腹で購入。
さて、これからが本番だ
姉達が遅れて入ってきたので
姉に“対戦要請”をする。
姉に
「実験だから手伝え」
と言うと不思議そうに対戦を受けるが。
―建物内では対戦できません―
と出たので、店を出てもう一度、対戦要請をした。
◆
始まってすぐ姉は腰に差した刀を抜く。
武器スキル【刀】を持っているのだろう
俺はインベントリウィンドウを呼び出し
中から虎縄を取り出す。
そして、いつの間に接近したのか今正に俺を斬らんという格好になっている姉に
インベントリと同時に開いたスキルウィンドウから
【バインディング】
を選択する
というマニュアル操作でスキルを使用する。
―姉の持つ刀が俺の頭蓋骨に触れる一歩手間で止まる。
「よっしゃ!使えた!」
スキルを使った次瞬
体が勝手に動き、手に持った虎縄が姉貴を見事に縛ったのだ
…両手は見事に塞がってるがな。
これではスキルを解かないと【鞭】スキルで攻撃出来ないし。
インベントリもスキルウィンドウも操作出来ない。
口頭でのスキル発動を試してみたところ
【バインディング】
が優先され発動されないようだ。
つまり俺からは一切攻撃出来ないのだが
姉は違うようで。
「【変わり身】」
口頭でスキルを発動次瞬
縛っていた場所に丸太が出現しており姉を見失う。
俺が【バインディング】を解くと同時に
首に先程より短く反りのない刀が添えられ俺の敗北を告げられた。
「はい、私の勝ち」
「…まいりました」
―クレア様との対戦に敗北しました―
…さて、武器?も買ったところで
俺達は最初通った門へと向かう。
その方角には草原があり
敵が弱めなんだそうだ。
◆
「ピギィー!」
さて、先程から俺が戦っているのは大型犬程はある芋虫で
名をグリーンキャタピラーという。
行動は3パターン
鳴く
糸を吐く
逃げる
こいつは攻撃をすると
ピギィーピギィーと鳴き声を上げて威嚇をしてくる(ただし何も起こらない)
次に口から俺の縄とほぼ同じ太さの糸を吐き
喰らうと一切身動きがとれなくなるが
…同時にキャタピラーも動かなくなる。
そしてダメージ与え続けると逃げに転じるが
…超遅い
どれ位遅いかというと
歩くより遅い…。
という初心者であろうと無双余裕なモンスターである
…が
俺は未だ一匹目と戦闘中である。
理由は勿論攻撃範囲で、先程ついに【聖者の十字架】の持続ダメージが入り
第1段階の鳴き声を聞くことができたのだ。
キャタピラーのが足の遅さがのおかげで判明したのだが
持続ダメージは1秒毎に30
(キャタピラーの体力の10分の1が削れる位)
攻撃範囲は十字架から2センチが良いところだった。
さて、俺はコイツを1人で倒さなければならない
…理由?
姉が
「あんたはレベル上げついでに、そのスキルでも戦える方法を探しなさい」
と言って美羽と草原の奥地へと向かってしまったからだ。
さて、鳴き声をあげている内に2度持続ダメージが入り
第2段階に移行したようで
キャタピラーが糸を吐いてきたが
糸の軌道は直線的なので簡単に避けることができる。
俺は一発目の糸を避けると
キャタピラーの隣、1センチ程に
【聖者の十字架】
を設置する。
それより近くには設置出来ないので少し移動されればダメージは入らないが
俺はそれをキャタピラーの吐いた2発目の糸をわざと喰らうことで回避する。
喰らったときに丁度持続ダメージが入ったがキャタピラーは動じる様子はない。
それから3度目までは動じなかったのだが
4度目のダメージが入ると
俺を縛っていた糸を噛み切り
後ろを向こうとしたことから
第3段階だと思われる
俺は即座に
【愚か者の沼】を発動
俺から半径2メートル程が沼に変わる。
これによりただでさえ遅いキャタピラーは逃げることが出来ず
持続ダメージで削られる。
3度目のダメージが入った時に
小さくピギィ…と鳴き
動かなくなった
どうやら倒したようだ。
五分程戦っていただろうか。
コツを掴むまでダメージを与えられなかったが
これなら何とかなるかも知れないな。
もっと他の使い方も試してみようかと思いつつキャタピラーのドロップを探す。
「あれ?何にも落とさなかったのか?」
周りにアイテムらしきものはなく
キャタピラーの亡骸が静かに横たわる他、木で出来た粗末な十字架が2本建っているだけだ。
「…次行くか」
見つからない物は仕方ない
そう結論づけると
俺は別のキャタピラーを倒し向かった。
◆
初勝利から1時間程後のことだ
キャタピラーや他のモンスターを倒し続けていると
いつの間にか随分と奥地まで進んで来たらしい
先程まで疎らにいた
キャタピラーや最初の方にいた敵を遂に見つけることが出来なくなってしまった。
「どうするか…」
度重なる試行錯誤で
他の奴に引けをとらない戦術も見つけた。
スキルレベルが上がった。
ここらへんの敵にも勝てるかも知れないな…
と考えていた矢先のことだ
「キャァァァア!!」
すぐ近くに見える森から
少々のような悲鳴が響く。
…行くべきだろうか?
1、俺は弱い、行っても二の舞になるだけ。
2、もしかしたら勝てるかもしれないだろ。
「……いいや3だ
俺にしか出来ないことがある!!」
そういって森へ駆け込んで行く。
この時、俺は忘れていた
自分の姿がスケルトンそっくりだということを…
∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇
カゲヌイ
総合スキルレベル10
生命力20
持久力25
魔法力40
筋力5
頑強5
感情5(+15)
技量5(+25)
信仰5(+10)
《固定スキル》
なし
《セットスキル》
【陰縫い】
lv1(0/50)
《技量+5》
【バインディング】
lv4(1/120)
《技量+20》
【聖者の十字架】
lv2(67/80)
《信仰+10》
【愚か者の沼】
lv2(20/80)
《感情+10》
【魔力】
lv1(0/1)
《感情+5》
△△△△△△△△△△
―後書き
第1回!!
色々解説コーナー!!
このコーナーは名前通り
色々解説しちゃうよ!
ってコーナーだよ。
よし早速いってみよう!
(通貨)
このゲームのお金は三種類あるよ!
まず一番安い銅貨!
通称c
次に一番使う銀貨!
通称s
で、一番高い金貨!
通称g
1000cで1s
1000sで1g
以上!
次いってみよー!!
(鞭の威力について)
鞭はそもそも武器じゃ無いんだよねー
家畜の躾に使う道具から始まってるからね
拷問に使えるのもその激しい痛みの割に低い非殺傷能力のおかげだよー
(ただしショック死は多い)
まあ、それだけじゃなくゲームシステム的に鞭は行動を阻害するスキルが多くて
中距離から一方的に攻撃できる可能性があるんだよねー
その関係で威力は低めに設定されてるってわけよー。
(縄について)
武器じゃありません。
故に攻撃力も耐久力も設定されていません
スタッフの悪ふざけで、装備できるアイテムがいくつか存在しますが
未だそれを知るプレイヤーはカゲヌイを除いていません。
カゲヌイは【状態模写】を押した為に手に持つだけで装備できますが、他のプレイヤーは装備ウィンドウを開きインベントリから取り出して装備しなければ装備出来ません。
所持している武器アイテムは装備ウィンドウを開いた時に一覧で出るため
わざわざそんなことをするプレイヤーはいなかったようです。
アイテムにもランクがあり
生産職はランクが高いアイテムを素材にすることでよりよいアイテムをつくることができるため
そのためのランクという認識が一般的です。
(武器スキルについて)
作中で少し触れましたが
鞭でダメージを与えるためには
【鞭】のスキルが必要で
片手剣でダメージを与えるためには
【片手剣】のスキルが必要になります
武器の種類毎に対応したスキルがあり
戦闘職なら装備して当然のスキルです
魔法や一部スキル以外ではこれなしにダメージを与えられないため
DGOではこれらを総称し
攻撃スキル
と呼びます。
(スキルについて1)
【聖者の十字架】の持続ダメージには
ステータスが影響しません
スキルlvに依存して威力があがります。
なおこの持続ダメージは敵の防御力の影響を受けません。
スキルレベルが2になり
攻撃範囲が3センチに伸びました。