第0話、青年と店主
プロローグだからモブキャラがでしゃばってもいいじゃない。
それは、高校生活最後となる冬休み前日
何時もより少し暖かい日の放課後のことだ。
「俺と冒険トゥギャザーしようぜ!」
…と、友人
クラスメートでもある、渡部 達巳が言ってきたのだ。
何故にそこだけ英語なんだよ、と思ったがスルーしておく。
それよりだ
「…説明を求む」
冒険という単語が聞こえたが冬休み程度の休みで何処に行こうと言うのか
それについての話が先である。
「ん?トゥギャザーって言うのh」
「そっちじゃねぇよ!」
全く…何を聞いたらそっちを説明するんだよ、というか知ってるわ。
「ああ、スマン実はな…」
◆
達巳の話によると、明日とあるゲームの正式サービスが開始されるらしい。
そして冬休みも明日から。
故に、俺を誘ったらしいのだが…
「…もっと早く言えよ」
話が終わり一旦家に帰った俺は
豚の形の貯金箱を叩き割る。
「うわ~マジか…」
1万2千円。
“それ”を買いに行くには心許ない金額。
達巳から話されたゲーム
それは現在最も話題になっている技術
VR
を利用したオンラインゲームのことだった。
VRはつい最近アメリカ軍が一般公開した軍事技術だが。
この革新的な技術は、おもに医療や様々な職場で新人育成に使われているが
それは日本では少数派だ。
何故なら日本でこの技術に真っ先に目をつけたのはゲーム業界だったのからだ。
この技術が発表された時、日本で真っ先に動いたある会社は長年争ってきたライバル会社数社と同盟を組み
瞬く間に、ゲームを作り上げたそうな。
そう、そのゲームこそ俺が今買いに行こうとしているオンラインゲーム
【Dragon Gate Online】
ドラゴンゲートオンライン
日本の有名なゲーム会社達が合同で制作したゲーム。
俺はゲームが好きで、幼いころからアクションゲームをやって来た。
そしてそのゲームの制作会社達に俺が幼いころから支持している会社も参加している
故に、俺は達巳の誘いに乗ったのであった。
◆
冬も終盤になり日が照る時間が短いのか
辺りはすっかり暗くなり
人通りもかなり減っている。
とある玩具店店主がそろそろ閉める時間かと思っていた時だった。
「あ、あの!まだ“VG”ありますか?」
閉店時間ギリギリに駆け込んだのは常連の青年、かなり息を切らしていることから
急いで来たことが伺える。
VG
は、ドラゴンゲートオンラインというゲームの専用機であり。
一週間程前に発売されたばかりだが
その売れ行きは凄まじいらしく正式サービス前に関わらず入手困難となっている
この店でもサービス開始前日の今日の午後、やっとのことで取り寄せたのだ。
この青年も大方今日の今日までVGを探していた口だろう。
「あんたは運がいいな」
私の言葉に軽く反応した青年は、カウンターの前に来て口を開いた。
「あるんです、ねおいくらです、か?」
未だ息を切らしているからか所々で間を入れてそう言った青年に
私はこの店最後の一つになったVGを渡し
彼にこう言った。
「サービスだ1万でいいぞ」
本当は三万円だ。
新技術が使われてある割にかなり安いが
流石に今の懐に二万はきつかったかもと店主は思った。
青年は目を輝かせて
息を整えて言った。
「ありがとうございます!!」
店主は知っていた
彼が幼いころからこの店に来ていたことを。
店主は一番のお得意様にプレゼントという名のサービスをした
一週間遅れの台詞を呟いて。
「メリークリスマス」
たまにはこういうサービスも悪くないな。
―後書き
どうも
運動音痴がVR世界で最速を目指す
の作者です。
上記にある前作は問題が発生したため削除せざるをえませんでした。
突然削除してしまい申し訳ありません
お気に入り登録や評価をして下さった方には非常に申し訳ない気持ちです。
これからは、心機一転この小説を更新していきますのでよろしくお願いします。
ヒャッホゥ!!
↑心機一転