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転校生
次の日、学校はやけに賑やかだ。
「転校生がくるんだって !」
「そうなんだ、どんな子だろう ?」
今言った『転校生』の話題で持ちきりだ。
転校生なんて滅多に来ない。
皆初めての転校生に興奮しているようだ。
「亮太~、おっはよ~ !」
その声と共に背中に衝撃が走る。
どうやら背中を叩かれたらしい。
「明音、おはよ」
普通に返事をしたものの背中はいっこうに痛みが引かない。
明音はご機嫌で席につき、勉強用具を机にしまった。
「席につけ」と先生がドアを開けながら言う。
それと共にクラス中一斉に席につく。
先生は教卓の前にたち、
「今日は、転校生が来てる。入れ」
クラスがざわつく。
ドアを開けて入ってきたのは見覚えのある顔。
俺は目を疑った。
「転校生の矢神 久美です」
そう、久美だ。
俺は久美を直視する。
明音は俺の視線を追うように久美を見る。
久美は俺の視線に気付いたのかこう言った。
「りょ……う……た ?りょーちゃん ?」
「久美……だよな?」
クラブのざわつきが更に激しくなる。
「やっと会えた」