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神様の恋愛事情。  作者: 563
神様と私の出会い編
2/11

神様を、信用できない


神様って本当にいたんだ。




いや、信じなかったわけではない。だって神様関連のトラウマあるし、いるであろうとは信じていた。だが、いや。こんな若いの?私のイメージってこう、もっと白いヒゲはやしていて杖持ってる………なんか仙人みたいな感じかと、あれ?どうした私。田舎でのストレスか?いや夢?これ夢なの?



って私の馬鹿。簡単にこの人神様って信じてどうする。神様が馬鹿正直に「私、神様だもん」と言ってお饅頭もうないの?と宙に浮きながらひっついて来るわけがない。



…………浮いてる?




「あ、新手の手品ですか?よろしければタネを明かして欲しいです。」

「やだなぁ、美空ちゃん。神様の特殊能力のひとつだよ。」



神様の特殊能力ってなんだよ、意味わかんねーよ。

嗚呼、おばあちゃんたすけて下さい。自称神様に絡まれました、たすけて下さい。もういやだ夢なら覚めて欲しい。こんなフレンドリーな神様が居るはずない。威厳の欠片もないじゃないか。



「失礼なこれでもこの土地をちゃんと守ってるんだよ!」

「な、なんでっ」



心の中読んでるの。



「これも神様特殊能力ね。よろしくね。」



ハートが出てきそうなウインクをして私にピースをしてくる。

なんだろうこの人。



「わかりました、特殊能力は分かったので本当に心を読んでいるならばやめてください。」

「うん、わかった。」



素直に頷く自称神様はおとなしく縁側に座った。黙っていれば綺麗な人だ。そよそよと風が吹いて黒髪が揺れている。神社に何本か植えられている緑色に染められた桜の木を慈しむように眺めている。私は自称神様にこのひと神様なのかなぁ、と思い始めた頃。


遠くから「おーい」と誰かが呼ぶ声が聞こえた。



私と自称神様は鳥居をみた。そこには私がお世話になっている源さんだった。

源さんは私がここに来て色々教えて貰った人で家まで紹介して貰った人で私が一番ここで信用している人だ。




「美空ちゃん、神社綺麗にしてくれたんだねぇありがとうね。儂だけじゃ年でなかなか追いつかんかったんで、たすかるよ」



結構に汚れていたが、建物が意外と綺麗だったのは源さんのお陰だったのか。私は納得しながら、源さんに笑顔で返した。源さんは私の頭を撫でた後、自称神様に目を向けた。



「嗚呼、美空ちゃん春様にあったんだね。ここの土地神さまだよ。」

「………。」

「源さーん。美空ちゃん私の事全然信じてくれないんだよぉ。浮いたし心も読んだのにぃ。」

「春様、美空ちゃんここに来たばかりですから、ゆっくり教えてあげればいいと思いますよ。」




私はここでは一番に源さんを一番に信頼している人だ。"一番に"だ。源さんがこのおかしな自称神様を"神様"と紹介するのか。そんなまさか。私は源さんと神様が親しそうに会話しているのを唖然としてみていると、源さんが困った顔で私を見た。神様は口元を膨らませて着物の袖を弄くっている。




「本当ですな、春様。美空ちゃんはなかなか信用できないようですねぇ。」

「困ったものだよ、ここの人達はすぐに信用してくれたっていうのに。」




なんか私、責められてる感じなんですけど。


自称神様は私の顔を見ながらはぁ、と大袈裟な溜め息を吐いて見せる。私はそれにいらっとしながら見る。今まで恐れ抱いていた神様がこんなはずない。


それを見かねた、源さんは私と神様の手を取って重ね合わせた。



「美空ちゃん、この人はね。ここを守ってくれてる土地神様で春様といってね。今まで眠っていたんだけれど大きな災害があってここを守ってくれたときに目が覚めてしまってこうして居るんだよ。普通神様は人の前には現れないけれど、春様はこうして人の前に現れてみんなを助けてくれるんだよ。」



小さな子を諭すように言う源さんは私をゆっくりと見つめて笑う。私はその視線に負け自称神様をじっと見つめる。自称神様は分かったでしょう?と微笑んでいる。源さんがそういうのならば信じる。



「源さんがいうなら……。」

「よろしくね、美空ちゃん。私の事は春でいいよ。」

「春なんて呼び捨ては無理です。春様とよばせて頂きます。」

「敬語もいいのになぁ、春って読んでよ、美空ちゃん。」

「無理です。」




色々謎ではあるが、神様のトラウマがあるので祟られては困るので信じることにする。源さんは嬉しそうに私の手を撫でた後、「頼まれた物ですよ」とさっきまで持っていたようである袋を神様に渡して立ち上がった。



「儂はここで失礼させていただきますね。」



源さんが私に微笑んだ後、神社から立ち去ろうとする源さんに私も、っと追いかけようとしたが、服の裾を掴まれ、ついて行けなかった。掴んだ先を見ればそれは春様の手で、私は眉をしかめた。前を見ればもう源さんはそこを立ち去っていた。



「私も失礼させて頂きたいのですが、」

「もうちょっと私に付き合ってよ。」

「だってもう日が暮れかけていますし、」

「大丈夫、私が送って行くから。」



ニコッと微笑む春様に私は苦笑いを返す。何が大丈夫だ、貴方と居る方が大丈夫じゃない気がする。まぁいいか、頃合いをみてさっさと退散しよう。神社を綺麗にするという指名は果たしたのだから。






なかなか進まない。源さんのお陰でやっと信じてくれた美空ちゃん。



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