神様と、出会う
はじめまして、はじめました。ゆるっと付き合ってくだされば幸いです。
私は小さい頃からおばあちゃんに「神様をありがたく思いなさい、神様は私たちを見守っているのだから」と躾られてきた。家には神棚があって毎日お供え物と掃除をするのは私の役目だった。
一度、私はそれをサボり、友達と遊びに行った事がある。その時、私は溝にはまり、飛んできたボールに顔をぶつけ鼻血を出してみんなに笑いものにされ、最後には川に落ちてびしょぬれになり、その次の日には風邪を引いてそれが酷くなって入院した。
それ以降、私は心に傷を負い(トラウマ)私は神様がいるかどうか半信半疑だったけれど信じることにした。あの仕打ちはいくら神様でも酷いと思っている。そんな心の傷を抱えお供えは毎日したし掃除も埃一つ、塵一つつかないよう、みんなにひかれるぐらい徹底的に掃除をしていた。
だから、田舎に越してきて私が住む家近くに忘れ去られたような小さな神社があり、その神社があんまりにも汚かったので雑草を抜き。落ち葉を拾い、拭き掃除をし磨いて綺麗になった所で、一日を無駄にし、ここの人は絶対祟られると恐怖を抱きながら二拝二拍手一拝をして「祟られませんように祟られませんように祟られませんように」と呟いてから、昨日買ったお饅頭を置き、私は役目を果たしたと満足し後ろを振り返って見れば、
男が居た。
「やぁ、綺麗にしてくれてありがとう。」
着物を着た若い男は長い黒髪を結んでいてそれを揺らしながら笑顔で私の肩にとんっ、と手を乗せた。さっきまで気配がなかった事におどろきつつ、この人はきっと神社の管理者であろうと判断して眉をしかめた。
「だめですよ、神社綺麗にしないと。神様に祟られますよ。」
経験者の私が言うのだ、掃除、お供え絶対。
私の顔をみてゆるゆる笑う男は、先ほど私が置いたお饅頭を食べはじめた。
な、なんて人だ神様のお供え物を食べるとは、この人はきっと明日風邪を引く。
「ここのお饅頭美味しいよね、一服堂。私も一服堂のお饅頭大好き。ありがとう」
一服堂はこの神社の近所にある有名なおいしい和菓子店でここに来たときにそのお饅頭を食べて感動した。あのこし餡、柔らかい皮。すばらしい……
じゃなくて
「べつに、貴方のために買ってきたわけじゃないんですけど。」
「え?お供えでしょ?私へのお供えでしょ?」
「……神様のですよ、貴方のじゃないですよ」
なにいってんだこの人。数少ない年の近い人と会えたと思ったら(高校生などはいるが二十歳前後はいない)変人に出会ってしまった。
やっぱり神社を掃除するんじゃなかったなぁ、トラウマでつい手を出してしまった。こういうのは地元の人がやるのが一番いいのだ。
カラスがカーカー鳴いている。嗚呼早く帰りたい。
「ねぇ、美空ちゃん」
「なんですか、…………ってなんで私の名前知ってるんですか、」
ひく、ひいた。鳥肌立った。こわい何この人。
私はぐぐっと。一歩後ろに下がりながら男を睨み付ける。すぐに逃げられるように走る準備をしておく。
「え?だって私神様だもん。」
最後の一口のお饅頭を平らげた男はぺろりと舌を出してにっこり笑った。
私はぱっくりと口を開けて男を穴があくほど見つめた。
それが私と神様の最初の接触だった。
うだうだうだうだ、はじまります。