表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?  作者: ナロー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/98

95 右手の王紋に懸けて、


 答えないリズに神父が問いを重ねる。スクエアもリズのほうを見て、内心で早く答えて終わらせろと毒を吐いていた。

 そう、この誓いの言葉に答えることで……肯定の返答をすることで、すべては確定する。確定してしまう。


 たとえそれが表面的な言葉であったとしても、本音を押し隠した事務的な言葉だとしても、この場にいる全員がそれを聞き、証人となる。既成事実が成立してしまう。

 しかし、だからといってリズには拒否する権利も、反抗心すら、いまは持てていなかった。


(……リズさん……)

(……リーゼロッテさん……)


 夫人とヴォクス氏が固唾を飲んで見守るなか……リズが口を開く。


「……わたしは……」


 彼女がすべてを決定する言葉を言おうとした、そのとき。閉じられていた教会の入口の扉がバン!と勢いよく開かれた。


「待ってください!」

「「⁉」」


 リズやスクエアを含めて、その場にいた全員が扉のほうへと振り返る。そこにいたのは、昼間の眩い外光を背にして、肩で荒い息をする――。


「フォースさん⁉」


 思わずリズが声を上げる。その言葉通り、そこにいたのは壮年の姿に変装しているフォースだった。

 急いで走っていたのだろう、頬から顎に流れていく汗を腕で拭いながらフォースが言う。


「……どうやら……ぎりぎり……間に合ったようですね……」


 スクエアが怒りの叫びを上げた。


「貴様! どういうつもりだ! いまは神聖な結婚式の最中だぞ!」


 使用人達のほうへと向いて。


「おい! 早くあいつをつまみ出せ! 早くしろ愚図共!」


 しかしその叫び声に言い返したのは、息が荒いながらもフォースの落ち着いた声だった。


「いいえ。糾弾されるべきはあなたのほうです。スクエア様……いえ、スクエア=ヴォクス」

「何だ貴様! たかが御者のジジイの癖にこの俺に刃向かうのか!」

「確かに私はヴォクス家の御者として雇われていますが、その前にこの王国の第一王子でもあります」

「何をデタラメなこと言ってやがる! 貴様はただの」


 フォースが自分の顎に手を触れて、びりびりと変装魔法による表皮を剥がしていく。その下から現れた素顔に、その場の全員が驚愕の顔を浮かべた。

 正体を知らなかった者達は、御者としてのホースが本当は王子のフォースであったことに驚き……正体を知っていた者達は、いまここで正体を明かして良いのかと驚愕する。


「な⁉ き、貴様は、その顔は!?」


 スクエアもまた驚愕していた。まさかという焦慮の色が顔に表れていた。

 フォースが右手を握りしめ、その手の甲がその場の全員に見えるように胸の横に掲げてみせる。


「私の名はフォース=オルト。この王国の第一王子にして、次期国王です。そしてこの右手の王紋に懸けて、リーゼロッテ様を不義の結婚から救い出しに参りました」

「……ッ⁉」「……っ……!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ