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【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?  作者: ナロー


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27/98

27 ぱらぱら


 数秒待っていると、窓枠のようなもの……ウィンドウに文字の羅列が表示され始めた。その文字列に視線を動かしながらホースが口を開く。


「なるほど、この写真を撮った者の名前はジャックといい、開発されたばかりの小型携帯式カメラで撮影されたようです。他には……」

「…………」


 リズはピンと閃いた。


「あの、ウィンドウの文章をいちいち読むのって大変じゃないですか? この写真みたいに、画像や映像として出力することってできたりします?」

「画像……写真のように二次元媒体として写し出すということですか?」

「そうですそうです」


 リズはこくこくとうなずいた。ホースが答える。


「魔力消費はより多くなりますが、確かにそのほうが分かりやすいですし、リーゼロッテ様も見ることができますね。しかし、画像は分かりますが、えいぞうとは……?」


 この異世界では、ようやく写真が登場して、貴族や金持ちの間で普及し始めているのだ。『映像』という概念を知らないのも無理はなかった。

 リズは説明を試みる。


「えーっとですね、簡単に言うと、写真や画像を何枚も重ねたり並べたりして、高速で動かして、写真や画像のなかのものが動いているように見えることです」

「……はぁ……?」

「ちょっと待ってくださいね」


 リズは鞄から一冊のノートを取り出す。授業で使っているノートであり、そのページの端には小さな絵が描かれていた。不真面目にも、授業中に描いていた絵だった。


「この絵の部分を見ててください」

「…………」


 小さなイルカの絵であり、上手いなとホースは思った。まさかリズが授業中に描いているとは、彼は気づいてはいないようだったが。

 そしてホースが見つめるなか、リズはページの端をぱらぱらとめくっていく。それぞれのページの端に、微妙に異なるポーズをした小さなイルカの絵が描かれているわけだが……ホースの目線からは、まるでその小イルカが元気に動き回っているように見えた。


「……っ……⁉ ⁉⁉⁉⁉」


 ホースが目を丸くして、愕然とした表情を浮かべた。小イルカの絵とリズを何度も交互に見て、心底驚いた声を上げる。


「凄い……! リーゼロッテ様は絵の動物に生命を与える魔法が使えるのですか……⁉」

「えっ⁉ いえっ、違いますけど……⁉」


 ホースがあまりにも驚いた顔をしたので、逆にリズのほうも驚いてしまった。まさかこんなに驚かれるとは思わなかったのだ。


「これはそういう、絵が動いて見えるようにする手法?方法?なんです。微妙に違うポーズの絵を描いて、それを高速で動かすと、絵が動いて見えるんですよ。目の錯覚?みたいなものです」

「…………」


 リズから手渡されたノートの端を、ホースも慣れない手つきながらぱらぱらとめくっていく。やはり小さなイルカが元気に動き回っているように見えて……それを自分の手で再現していることに、ホースはよりいっそう驚きの表情を濃くするのだった。



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