24 信じてもらえた
リズの説明を後押しするように、クラスメイトの一人が声をこぼした。
「そーいや、俺の知り合いの金持ちの使用人にも、そーいう真面目な奴がいたなぁ。その知り合いが出かけるところにことごとくついていって、あれこれ口出ししてくんだってよ。あまりにしつこいみたいで知り合いも辟易してたっけ……」
そのクラスメイトが肩をすくめて、周りにいた者達が、お前金持ちの知り合いいたのかよ⁉とびっくりした声を出す。
リズの正直な説明とそのクラスメイトの言葉もあって、教室内では誤解が解けていく雰囲気が漂っていた。
(よかった……信じてもらえた……)
リズがほっと胸を撫で下ろしたとき……しかしそこで大きな声が上がった。さっきの不良学生のうちの男子の声だった。
「はっ! み、見え透いた嘘なんかついてんじゃねーよ! 証拠は出てるし俺だって見たんだぜ! そいつがうれしそうな顔で買い物してんのをよ!」
「そ、そーよそーよ! アタシだって見たんだからね!」
女子の不良学生も声を上げる。
……やっぱりか……。リズが冷静につぶやいた。
「あなた達が写真を撮ったんですね? たぶん、まだ世には出てないような小型のカメラを使って」
「「っ⁉」」
二人が、しまったという顔をする。男子が声を荒げた。
「そ、そんなのいまは関係ねーだろーが! おめーが仲良く恋人と一緒にいるのを俺達は見てんだからよ!」
「そ、そーよそーよ!」
そのとき、二人がいる席とは、教室の反対側にいたクラスメイトがおずおずと小さく手を上げて、おそるおそる口を挟んだ。
「あ、あのぅ、実はあたしも昨日、そのお店でお母さんと買い物行ってて、リーゼロッテさんのことたまたま見たんですけどぅ」
クラスメイト達の視線がその女子学生に集中する。その女子は一瞬びくりとなったが、言葉を続けた。
「リーゼロッテさん、べつに全然うれしそうじゃなかったですよ……むしろ疲れたというかうんざりしているというか、恥ずかしいみたいな様子で。だから、あたしも声をかけられなかったんだけど……。お母さんも見たので、聞けばそう言ってくれるし……」
「「「……っ」」」
リズと男女の不良学生が同時に目を見開く。様相としては同じではあるが、リズと二人ではそこに込められている意味合い……感情が異なっていた。
リズは見られていて恥ずかしいものの、これで誤解は完全に解けたという確信を。男女の不良学生は、完全にやらかした、失敗したという無念を。
そして実際、その女子学生の証言によって、クラスメイト達のリズに対する疑惑は完全に晴れたのであった。
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