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【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?  作者: ナロー


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14 二十代の青年のように


(もしかして、わたしや他の女性にスクエアさんを取られたくなくて、あんな態度をしてるのかな……?)


 ついそんなことを思ってしまう。リズにした意地悪も、リリアンナにした毒舌も、嫉妬心から来るものなのかと。

 御者が口を開く。


「これにてお三方とリーゼロッテ様の初顔合わせのご紹介は終わりとなります」


 ソファに腰を下ろしたフランソワーズが明るい声で言った。


「それじゃあ、親睦を深めるためのお茶会を再開しましょうか」


 リズがびくりとなる。またあの唐辛子紅茶を飲むようにすすめられてしまうのだ。それぞれの紹介の間に考えてはいたが、やはりなにかしら急用ができたと言って、この場をなんとかして離れるしかなさそうだった。


「というわけで、リーゼロッテ様? ワタクシの注いだ紅茶を……」

「あ、あの、わたしは……」


 フランソワーズにリズが断りの言葉を言おうとした、そのとき、ぴしりと小さな音がして、リズの前にあったティーカップが二つに割れてしまった。注がれていた紅茶もこぼれだしてしまい、テーブルを伝ってリズのほうへと流れてくる。


「あ、え、わ……?」

「あらあら……?」


 テーブルの端に到達した紅茶が、床に敷かれた絨毯へと滴っていく。慌ててそれを避けようとしてリズは立ち上がるが、その拍子に腕をテーブルの端にぶつけてしまった。


「っ……!」

「まあ、大丈夫?」


 ソファに座ったままフランソワーズがリズに聞く。しかしリズが答えるよりも早く、いつの間にそこにいたのか、リズのそばに近寄っていた御者が、少しふらついてしまったリズの身体を支えた。


「え、あ、ありがとうございます……」

「誠に申し訳ありません。どうやらティーカップが経年劣化していたようですね」


 いまになってリズは気づいたが、間近にある御者の顔は壮年の男のものなのに対して、しかしその声はまるで二十代の青年のように若く聞こえていた。他の三人は気づいていないのかと思うくらい、リズは違和感を覚えてしまう。


「腕もぶつけられてしまったようですね。あざになるといけません、いますぐ応急手当てをいたしましょう」

「あ、え……?」

「どうぞ、こちらへいらしてください。申し訳ありませんが、皆様はご歓談をお楽しみください。すぐにメイドを呼んで、割れたカップの片付けと紅茶を拭きに参らせます」


 リズや他の三人がなにか言うよりも早く、御者はリズの手を引いて部屋を出ていく。残された三人の婚約者達は、


「「「…………」」」


 それぞれ感情や思惑の読めない顔つきで、リズ達の背中を見送るだけだった。




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