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変人少女は青春の嵐を引き起こす  作者: 最上優矢
第二章 白熱! おもてなしカレー対決

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カレー作り

 彰人が米を水に浸す工程を終え、さあ美味しいスパイスチキンカレーを作ろう、と意気込む凪たち。

 自然と、料理の司令塔は凪が務めることになった。


「あらかじめ料理本のコピーや自分が担当する仕事内容が記された紙を渡してはいるけど……島崎さんは玉ねぎの皮をむいてくれるかな。

 皮をむいた玉ねぎはぼくが切っていくから、玉ねぎ専用のボウルに玉ねぎを順次入れていってね」


「タコ野郎に質問! カレーにタコは入れないんですか~?」

「はい、入れません」

「それは……なぜですか。何か深い理由でもあるんですか?」

「深い理由も何も、想定しているカレーとは別のカレーが出来上がるからです」


「……タコは地球を救うと思いますか?」

「まったく思いません」

「タコパ、してますか?」

「……そんなことはどうでもいいから、さっさと玉ねぎの皮をむいてくれるかな」

「あい」


 桜はヘラヘラと笑いながら、玉ねぎの皮をむき始める。


 扱いづらい後輩だ、と凪は思いながら、今度は「赤髪のクック」こと、叶夢に指示を与えた。


「叶夢さんは主に食器洗いをお願いね。余裕があるときには、おろしのにんにくやしょうがを計量スプーンを使って小皿に出したり、ホールトマト缶の上蓋を開けたりしてくれるかな」

「任せるっス」

「焦らずに、自分のペースでね」

「うっす」


 ハキハキと返事をする叶夢を見て、思わず凪は満面の笑みを浮かべた。

 もっとも、その凪の顔が曇るのはあっという間だったが。


「さて、問題は……彰人くん、きみだよ」

「ほう。問題なのか、おれは」

「うん、それはもう大問題だ」

「なぜか、遠山氏」

「なぜかな。いや、逆に訊きたいんだけど……なぜなの?」

「はて、なぜなのだろう」


 すっとぼける彰人を見て、本気で凪は彼のことを憎く思った。


「……なぜだろう、きみが材料のホールトマトに塩をかけて食べているのを見ると、ぼくはきみを無性に呪い殺したくなるんだ」

「なぜだ、遠山氏。おれたち、親友ではないか」

「人は過ちを犯すものなんだよ、彰人くん」

「ということはつまり……げふっ。――失礼した」

「そうだね、すっごく失礼だ。絶対に許さないからね」

「人は過ちを犯すものだ、遠山氏。だから許したまえ」


 凪は拳を固く握りしめながら、ぎこちなく笑った。


「できれば、一生気に病んでほしいな。……って、あれ? ここにあった残りのホールトマトは?」

「今しがた、完食したところだ」

「よしっ、決めた。……彰人くん、きみはホールトマト缶を買いに行ってくれるかな」

「それは指示か?」

「いや、命令だね」

「いいだろう。……ホールトマト缶、何缶ご所望だ?」

「きみが食べたぶんだけ」

「では二缶だな」


 凪はギョッとする。


「えっ、二缶……?」

「非常に美味だった」

「……さあ、ホールトマト缶を買いに行くこと、早いところ竹原先生に伝えてきてね」

「了解した」


 そう言って、彰人は外出の許可をもらいに審査員席まで行き、美麗から怒鳴られながら、調理室をあとにした。

 邪魔者が消えていくのを確認した凪は、予備で持ってきたホールトマト二缶をスクールバッグから取り出すと、それを叶夢に渡した。


「はい、ホールトマト缶ね」

「……さすがはタコさん、用意周到っスね」


 ドン引きしながらも、感心する叶夢。

 返事をする代わりに、凪は苦笑いを浮かべた。


 さて、と凪は桜が皮をむいた玉ねぎをまな板に置くと、慣れた手つきで玉ねぎを繊維に沿ってくし切りにしていく。


 彰人がホールトマト二缶を買いに戻った頃には、すっかり野菜と肉を切り終えていて、ちょうど玉ねぎやにんにくやしょうがを炒める工程に入ったところだった。

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