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第9話 神聖隊の襲撃

 神聖隊がパララヴァ一家のアジトを突き止めるのは難しく無かった。

表向き自警団として活動しているので道を聞けばすぐにわかった。


白銀の装甲に身を包んだ彼らは仲間が連れ込まれたという拠点を突き止めてすぐに襲撃を開始した。


「なんだ、お前らは」


異様な風体の男達に入口の警備は「止まれ」と命じた。

次の瞬間開いた口が閉じる前に大きな針がその喉に刺さる。


ぎょっとして同僚に視線をやった隣の男は横を向いたまま頭を壁に激しく打ち付けられて頭蓋骨は砕け壁に血と脳漿を巻き散らかした。


彼らは二手に分かれ一隊はそのまま屋内に突入し、さらに出入り口を確保する人員を残した。もう一隊は裏口、屋上、周辺道路の交差点の配置についた。


パララヴァ一家の者達はそれぞれ武器を持って一階に駆けつけたが装甲に傷一つつける事も出来ずに撃退された。二階からは武器庫から銃を取り出した者達が狙いつけてまちまちに発砲するも滑らかな白銀の装甲を貫通することは出来ず弾かれていく。


「おい、その辺にしとけ」


トレバーは神聖隊にもパララヴァの一味にも話しかけた。


「てめえ、その声はトレバー!どういう了見だ!」


今頃トレバーがいたことに気が付いたハーマンが後ろから声をかけた。


「守ってやるから引っ込んでろ!おい、てめえら不祥事を聖王家に報告されたくなかったらいったん引き返しな。この件は領主が預かった。遺体も仲間も返してやる」


突入部隊は無言でトレバーにも巨大な針を発射した。


「くそっ」


慌てて躱すが完全には避けきれず、ヘルメットで軌道が逸れてダメージは無かったが正面から受けたら危なかった。


「やるってんなら相手になる。警告はしたからな」

「トレバー!これ以上犠牲者を出すな!」


ネリーは難しい指示を出した。


「無茶苦茶言うな!」

「この街ごと潰されたらお前だって困るだろうが!」


視界を邪魔するだけになったヘルメットを脱ぎ、舌打ちしつつも出来るだけの努力をするしかない。上階から飛び降りながらハルバードを思いっきり神聖隊のヘルメットに叩きつける。

バイザーにヒビが入っただけで中身は無傷だが脳震盪くらいはおこしたかもしれない。

その神聖隊の男の腕を取り、もう一人に向かい大針を発射させると装甲を貫いてある程度傷を与えた。


難しい注文を出したネリーも彼が発射機構を熟知しているとまでは思わなかった。


トレバーはさらに腕を取った男を盾にしたまま三人目に突撃する。

仲間を盾にされて即座に反応できなかった三人目は盾代わりの神聖隊ごとタックルで押し倒された。

四人目は猛烈な振動音を立てる短剣を抜いて仲間の窮地を救いに行く。

その短剣はフルプレートのアーマーをやすやすと切り裂いた。

この短剣を防ぐ方法は無く、トレバーは必死に躱すが避けきれず負傷が増えた。


トレバーは距離を取り、斬られて外れそうになった籠手を抜いて投げた。

一瞬だが出来た隙に、拳銃を取り出して撃つ。


「あの野郎!俺の銃を!」


いつの間にか盗まれていたハーマンの銃だった。

他の神聖隊も起き上がり始めたがパララヴァ一味も援護射撃を加えて戦闘が再開されている。


四人目は腕をクロスさせて銃撃を防ぎながらトレバーに突撃する。

今度はトレバーは逆に自分から接近して距離を詰めた。

慌てて短剣を振り下ろした四人目は動きを読まれ、腕を捻られ、背中に回られて関節を極められた状態でさらに膝裏を蹴られて膝をつく。


”ここまでだ!”


神聖隊は声を出さず、念話で連絡を取り合っていた。

トレバーは彼らと同じ言語で介入し再度戦闘中止を呼び掛けた。

今や四人目は短剣を奪われ、ヘルメットを剥がされ、高速振動する短剣を喉元に突きつけられている。


”これ以上、騒動を大きくするな。お前達の仲間は娼婦を買って暴行を加えた。ここのチンピラ共は彼女の庇護者で、報復を加えた。吊るされた男は現地人を舐めて油断し過ぎた。自業自得で不祥事を大きくした。領主は全ての証拠を握っている。聖王に神威裁判を開いて貰ってもいい”

”・・・貴様は何者だ”

”ただの用心棒だ。捕えている男は明日にでも街外れに放り出す。お前達はそいつに懲罰を加えるなり保護するなり好きにしろ。こちらの記録は抹消させる”


しばらく沈黙が流れてから承知したと返事があり、彼らは引き下がった。


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