世界観と人物紹介
舞台となるのは地底世界。
かつては地獄と呼ばれた地域。
地上には氷河期が訪れた為、人類は地獄に退避した。
【勢力】
貴族・・・神々と英雄の子孫で特権的立場にある。
その血には強い魔力が流れ、王族は強力な魔力で身を包み、それは一種の結界となっている。銃弾を浴びても簡単には死なず、一般庶民とは別次元の存在だが数には勝てない。
共和主義者・・・貴族の特権的地位を奪い、共和制国家を増やそうとしている。神々や宗教は否定していない。社会主義革命家とは同志ではあったが、徐々に方向性の違いが顕著になってきている。
革命家・・・貴族と対立している社会主義者、共和主義者。
過激な革命家は貴族に力を与えた神々を憎み、宗教をも否定している。
貴族を憎むあまり、貴族と結婚した平民とその子孫も処刑の対象とした為、共和主義者が離れ始めた。
【地域】
◆ルクス・ヴェーネ聖王国
トレバーとシュヴェリーンが出会った地。
君主は聖王と呼ばれ、宗教界の最高権威でもある。
共和主義者が増え、民主的な選挙制度が導入され議会に平民が増えた。
定期的に内戦が起きて王党派と議会派が争っている。
宗教界が足かせとなって技術発展が遅れている為、聖王としても自分の支持基盤を弱体化させてでも改革を成し遂げねば国家が滅ぶと考えている為、議会派に好意的。
王党派は貴族の特権的地位を維持したいと考えている為、場合によっては聖王を自分達の都合のいい人物に挿げ替えるのも厭わない。
◆マルタン共和国
共和制国家だが、旧貴族も特権を無くしただけで土地や財産は残しており富裕層に多い。
旧貴族の魔道具の技術は有用な為、市民も活用して発展している。
かつては革命政府連合と同盟関係だったが、共和国に内政干渉を行った為、険悪化している。
◆リ・ニーネ連邦共和国
社会主義国家。
旧貴族を懐柔し分離工作で弱体化させながら結局、貴族の血を引く者は全て虐殺した。
旧貴族、神々の力に頼らない技術開発を行い、医療や軍事技術は発展し平民の力は強い。
宗教家や旧貴族はマルタン共和国に亡命し発展に貢献している。
◆マヘンドラナ王国
既に滅亡し、革命国家となっている。
反乱に加わった旧貴族は名誉平民となったが、王家滅亡に貢献した七騎士が全員戦死、病死、暗殺で死亡した為、旧貴族も用済みとなり、迫害され、革命裁判で次々と処刑されて姿を消した。
貴族が減り脅威で無くなると革命家の方向性の違いから同士討ちが横行し、貴族の血を引く者の密告が奨励され、嘘の告発で政敵を殺害する手段が確立された。これは一般庶民にも流行して財産を奪い合い、国力が落ちた。
旧貴族の男子は鉱山奴隷となったり、女子は救貧院や洗礼院で働かされ革命教育により洗脳されている。財産も地位も平等な筈の革命国家だが、旧貴族は人間とされていない為、奴隷制がありリ・ニーネと違ってまだ革命の混乱期にある。
この国には地上へと繋がる門があったが、王家の一部にしか知らされていなかった為、その知識は失われた。
【人物】
◆トレバー(ヴァッシュヴェイン)
マヘンドラナの元王子、21歳。
浅黒い肌で筋肉質、武神を守護神としている。
大雑把で気まぐれ。
裏切者の元家臣への復讐も終わったが、王国を取り戻す気は無い。
弟達は皆殺しにされたが妹はまだ生き残っている。
民を憎んでもいるし、自分が大戦中の庶民の苦しみを理解しなかった事に自責の念もある。
どうにもならない鬱屈した想いを抱えこみ、あまり深く考えないようになった。
こうした経緯から享楽的、刹那的な性格になっていく。
パララヴァ一家とガンビーノ一家を比較してガンビーノの方がマシな人物だった為、用心棒を続けていた。
Vibhīsana(羅刹天ヴィビーシャナ)のアナグラムが名前の由来。
作中では戦死した傭兵の名を借りて名乗っている。
本編後の逃亡生活ではまた別の偽名を使う。
◆シュヴェリーン・カース・アーモロート
盲目の女性、25歳。
トレイドールでパララヴァ一家のチンピラに襲われた所をトレバーに助けられ、すぐに惚れこんで結婚した。ネリーからは”アーモロートの魔女”と呼ばれる不死の女王ではないかと疑いをかけられている。
この女性は両手両足を牛裂きで引きちぎられ、首を切断され目を繰り抜かれて処刑された。
アーモロートには処刑されても失敗して死ななかった場合、神の意思の現れとして無実になるという慣習があり解放された。
ただし”一生目が見えなくなる呪い”と”嘘を言えなくなる”呪いをかけられた。
シュヴェリーンはウェルスティア神の治癒の奇跡が使えるとされているが、これはトレバーがそう言っているだけで、彼女は自分が神術を使えるとは言っていない。
彼女の本来の力は死霊魔術である。
生命の神秘を探求した彼女の力は治癒の力としても現れた。
現在の彼女の目的はザカル・フージャ古王国に行く事にある。
合理的な性格で必要と思った行動を取る、そこに一般人の倫理観は影響しない。
一般人と感覚が違い常識も異なる事を理解しており、擬態する必要性を理解している為、常に合理性を優先するわけではなく、トレバーの意見を尊重する。
◆ネリー・トレイドール・ラ・ヴァル・レンヌ・ディヴォー
トレイドール領の一人娘、20歳。
聖王国の貴族は洗礼名と聖王から与えられた称号が付属する。家名はトレイドール。
貿易に従事する者、裏切者が家名の由来。
トレバーにはパーティで擁護して貰ったり、大戦中に命を救われ、領土を取り返して貰ったりして恩を感じている。彼が祖国を失ったのは自分と聖王国のせいだと考え、またこの国には将来が無いと思い、旧貴族とも協調して発展していく穏健路線の共和国による連邦国家形成を目指す結社に入っていた。それこそが自分達の理想郷で目指すべき社会だと感じ、全てを賭けていたが失敗した。
トレバーとはかつては身分違いの恋として、領主の娘としては彼の素性がバレて王政復古を目指すのではないかとあらぬ疑いをかけられるのを避ける為に最初から一緒になる事は考えていなかった。
愛してはいるが、それより彼に尽くす事を生き甲斐としている。
ハーマンには一家の資金を個人的に投資して貰ったり、組織の長として経済や行政、人心掌握術を学び、目的に必要な悪事の教師として何かと勉強させて貰ったので今では気に入ってしまった。
人格は最低だと考えているのだが、こんな情勢の社会を生き抜くにはもっとも頼りになる男性でほのかな恋愛感情まで感じている。ハーマンにも見透かされていて、ちょくちょくからかわれていた。
父とハーマンは同じくらいの年齢で、篤志家で地元の名士ではあるがマフィアのボスであることも知られている為、交際は許されていない。
父に隠れて以前から付き合っており、共和制国家になって父の束縛から外れれば真面目に結婚相手として考えていた。遺恨ある大使の方は今でも軽蔑している。
基本的に打算的な行動を取り、武力としては必要としているが、パートナーとしてはトレバーを必要としていない。




