呪い除去
「ここがフォルトさんの書斎なんだね! 本がいっぱいで凄いなぁ〜」
優樹が何か言っているが彼女はそこまで本を読むようなタイプではない。
どちらかと言えば体を動かす方が好きな娘だったからな。
そんな事はどうでも良いので俺は早速【聖水】の合成に入る。
聖水と聖水で【上・聖水】。【上・聖水】二つで【聖水・特】ができる
「まずはこれだな、飲んでみてくれ」
「これを飲めば良いんだね?」
優樹は俺の手から【聖水・特】を取って飲み干した。
「飲んだけど...うっ?」
優樹が突然その場で倒れる。
「どうした優樹!?」
「なんか...体が熱い...」
まるで風邪をひいたみたいに体温が高くなっているのが分かった。
「誰か! 誰か来てくれ!」
俺の言葉に優男が入って来た。
「和希様!? どうなさいましたか!?」
「優樹が倒れた! 回復出来る者を斡旋してくれ!」
「小鳥遊様が!? 分かりました! 直ぐに教会からシスターを収集します! 和希様はそこで小鳥遊様の様子を見ていてください!」
「分かった! 出来るだけの事はする!」
俺は汗をかいている彼女の顔をタオルで拭きながら【特薬草】で回復させておく。
「なんかHPが下がって行くな。状態異常【呪い】か」
HPが徐々に減って行く【呪い】が発動しているみたいだ。
しばらくすると教会から送られてきたシスター数人と何故かあの時の神父までやってきた。
「きたか! すまないが容体を見てやってくれ!」
俺の言葉に神父はギロリと俺の事を睨むように見てきた。
「なんだよ?」
「いえまさか【回復術師】様に【呪い薬】を使うとは思いもしませんでしたよ。【弱体術師】」
「...はっ?」
「私の売った聖水はアイテム偽造で【呪い薬】にして置いたのですが、まさか使用用途が【回復術師】様だったとは盲点でした。【弱体術師】がそれを服用すれば手を煩う事なく始末できたと言うのに...」
その言葉と同時にシスター達が俺に魔法を放ってきた!
「【風魔法】!」
「なっ!?」
いきなり攻撃されたので回避が遅れてしまう。
その攻撃をまともに受けた俺は復帰するのに時間がかかった。
その瞬間を疲れて優樹を連れて行かれそうになる。
「待てっ! 優樹を連れて行く気か!?」
「当然ですよ。【弱体術師】なんかにそそのかされて可哀想な【回復術師】様を私が救うのです」
大層なことを喋る神父の姿に俺は怒りを覚えるのでした。




