アルセージの領主
〜港町アルセージ〜
俺と優樹は何故かアルセージの領主の館にいた。
見回りの兵士は優樹が声をかけると快く通してくれたのだ。
そしていま応接室のような場所に通されてから20分ほど経った頃...。
「これはこれは小鳥遊様...。本日はどう言った要件で?」
突然顔の整った優男が現れた。
恐らくこいつがここの領主なのだろうが若いな。
大体25〜30歳程度と言ったところだ。
「ええ、しばらくの間でいいから私と和希をこの家に匿ってくれないかしら? ちょっと面倒事を起こしちゃってね...」
その言葉にピクリと反応する。
「それではそちらの方が【弱体術師】である...」
今度は俺がその言葉に反応する。
(【弱体術師】...またその名か!!)
そう思っていると...。
「和希さんですか?」
「...えっ?」
こちらの世界で俺の事を弱体術師と分かった上で名前をちゃんと呼んでくれた人はこの人が初めてだろう。
カリュート村の受付嬢は仕事だから省くとこいつが初めてだという事になる。
「そうそうこれが和希! 私の友達よ!」
ハイテンションな優樹に優男は微笑む。
「分かりました。他ならぬ小鳥遊様の頼みです。このフォルト謹んでお願いを受け取りましょう」
彼の様子を見ていた俺は優樹にこう呟いた。
「おいおい、お前この優男に何をしたんだ?」
「ええ、ちょっとフォルトさんの娘さんが病気状態になっていたから私の魔法でちょちょいと治してあげたのよ」
(つまり俺は優男にとって娘を助けてくれた【回復術師】の友人であると...。だから妙に受け入れがいいのか)
そうしていると応接室のドアが開いて麦わら帽子を深く被った金髪で清楚そうな少女が姿を現した。
「お父様! 小鳥遊様がいらっしゃったと聞きましたが...」
「あっ! シュナちゃん!」
金髪の少女が優樹の手をとって外に出ようとする。
「遊ぼっ!」
「こらこらシュナ。あまり小鳥遊様を困らせるんじゃないですよ」
「でも前にあった時に私が元気になったら一緒に遊ぼうって約束してたのですけど...」
しょんぼりしている彼女見た優樹は笑顔でこう呟いた。
「ああいいよ! 約束しちゃったし今日はシュナちゃんと遊ぶ事にする!」
「良いの!?」
「勿論!」
「おいおい優樹、俺たちは一応追われている身なんだぞ?」
「ああ、大丈夫大丈夫。流石に1日目から潜伏先が分かる訳ないでしょ」
「それはまあ...そうだが...」
「じゃあいこっかシュナちゃん」
「うん! 小鳥遊様!」
「ちょっと待て! 俺も行く!」
俺は奴らの後を追ってついて行くのでした。




