勇者召喚
光が収まってくると俺と優樹はとある城の中にいた。
「おお! 勇者達よ! どうかこの世界をお救いください」
お決まりの謳い文句を言われた俺はそいつらを睨む。
こいつらは優樹を召喚したんだ。
俺じゃない。
それが1番腹ただしいのだ。
それに俺たち以外にも2人召喚されたみたいだな。
ちょっとそっちの方を見てみる。
「げっ!」
思わずそう声を漏らしてしまった。
なぜならそいつらが俺の知るクズ人間だったからだ。
「いてて...ここは?」
「なんだなんだ?」
「佐藤に石川!? なんでお前達が!?」
「お前は...なついな和希じゃねぇか、それに...うわっ優樹だ」
そう、こいつら2人は小学生の時に俺を虐めていた常習犯だ。
その度に優樹にボコボコにされて泣きながら帰って行ったのを今でも覚えている。
と言うかこんな奴らが勇者? まともなのが優樹しかいないぞ。
佐藤と石川はクズで俺は意気地無し。
勇者召喚で半分以上が使えない人物だとは、召喚した世界も世界だな。
そう思っていると俺たちは王様の場所に連れて行かれた。
〜王謁見の間〜
「勇者様方、ようこそ我クリスティアーノ王国へ! 我が国の代表として私めが皆様を支援しましょう」
などと言いながら俺たちにこの世界の惨状を聞かせてきた。
どうやら魔王と呼ばれる存在がこのクリスティアーノに宣戦布告してきたので急遽勇者召喚を急いだそうなのだ。
戦争まで2週間を切りそうになったので急いで勇者を召喚したと言うわけである。
なんて危機管理能力の低い王国なんだと思わずにはいられない。
そう思っていると王宮魔導使が俺たちの前に水晶を持ってきた。
「「なんだなんだ?」」
と声を出す佐藤と石川。
こいつらはアニメとか見ていないんだろう。
全くこの状況を理解していないようだった。
「水晶に手をかざしてください」
そう言われた俺たちは水晶に手をかざす。
すると目の前にゲームのウィンドウメニューのような物が出てきた。
「なになに? 【弱体術師】? レベルは...1か」
まあレベルが1なのは当然だろうが、なぜに【弱体術師】なのだ?
こう言う職業は勇者っぽくないのだが...。
ふと周りを見てみると俺の職業を聞いていた王宮の者達が渋いをしていたのはなぜだろうか?
そうこうしている内に皆の職業が分かってくるのでした。




