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宴会

 〜エトランゼ城中庭〜


 その日エトランゼ王国は歓喜に沸いた。


 行方不明となっていたアルシェ=エトランゼが城に帰還した情報とそれを手助けしたのが【弱体術師】と【回復術師】であると言う事実を王自らの声で発したのである。


 ちなみに【勇者】が今回の件に関与していた事は王以外には黙っていた。


 王自身その事実を聞くと信じられないと言う顔を浮かべながらも姫自身が嘘なく全て答えたからだ。


「それならば【勇者】はこの件に関わっていないと言う事にしておいた方がいいだろう」


 と王様なりに考えた結果がそれだった。


 ちなみに姫さんもそのような方向に持っていって欲しいと俺たちにお願いしてきたので仕方なく承諾した。


 佐藤の名声が地に落ちる様も見てみたい気がするが、それよりも今の俺に必要なのは悪名と冤罪の緩和である。


 佐藤に仕返しをするのは後でいい。


 豪華な食事に踊り子達の見事な踊りで俺たちをもてなしてくれる。


(この世界に来てからこれだけ豪華な食事にありつけたのは初めてだな)


 それはまさしく俺が見たこともないような料理の数々だった。


 あれは肉でこれは魚。


 そしてこれは...なんだ?


 皿に盛られているのだが若干浮いている茶系の球体に目が行く。


 近づいて見てもやはり若干浮いているので興味が沸いた俺はそれを摘んでみた。


 摘んでみると若干冷えていてなんとなく肌触りが良い。


 それを口に運んでみると食べ慣れたアレの味がした。


「これ...チュコレートだ!」


 若干ザラついているが間違いなく俺の大好物の甘味だ。


 俺が躊躇なくそれを掴んで食べていると王様が声をかけてきた。


「ほほほ、それがお気に召しましたかな? 【弱体術師】様」


「ああ、これはなんて言う食べ物だ? できれば売って欲しいくらいだ」


「それはレイアンタールと言う食べ物ですよ。非常に美味な甘味を含んでいるのですが何せ希少な物でしてね。一粒500ラピスはするお菓子ですよ」


「なっ!? 一粒500ラピスだと!?」


 正直に言おう! 高すぎると!


 具体的に言えばアーモンドチョコレート一粒が500円程度と言えば分かりやすいだろうか?


「500ラピスか...」


 しかしながら機械もないこの魔法社会で現代日本と同じくらいの質のチョコレートっぽい物を作ってくれた事には感謝しよう。


「このレイアンタールだっけか。後で少し売ってくれないか? 勿論定価でいい」


「分かりました。手配しておきましょう」


「助かる」


 少々高い出費にはなるがこのくらいは良いだろう。


 他にも甘味の目白押しだったが、流石にレイアンタールほど目ぼしい物はなかったな。


 でもさすが王の宴だという規模の甘味には出会えたのでなかなか良かったと思っておこう。

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