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【フェイク・アルシュ】

「帰って来ませんねラカラ」


「ああ、危ない目に遭ってないと良いが...」


 俺たちは宿屋で彼女が帰って来るのを待っていたが帰ってこなかった。


「様子を見て来ましょうか?」


 そう呟くシュナに俺はこう答えた。


「いや、良い」


 俺の言葉に優樹が声を荒げる。


「和希!? ラカラちゃんはもう仲間でしょ!? 探しに行こうよ!」


「優樹...」


 幼馴染にそう言われると頭が痛くなってきた。


「...ああもう! 仕方ないな。探しに行くか」


 既に夜12時が過ぎている。


 もう寝てしまいたいと言うのに面倒だな...。


 俺は重たい体に鞭を打ち外に出る。


 しばらく町の中を歩いていると人気のない裏路地で


(あれは...佐藤?)


 俺を見つけた佐藤がニヤリと笑いその場にアイテム袋を置いて行った。


(なんだ?)


 果てしなく嫌な予感がするのだが、俺たちはその袋の中身を確認した。


 すると...。


「むぐぐ!!!?」


 見慣れない青髪の女の子が出て来た。


 しかし身なりは妙に良いな...。


 そう思いながら彼女の拘束具を解くと...。


「兄ちゃん!」


 といきなり俺に抱きつかれた。


「わっ!? なんだ!? 俺にお前の様な知り合いは居ないぞ?」


「何を言っているんだ兄ちゃん! そんな事よりも大変なんだ! 【勇者】佐藤とこの国の騎士団長が繋がって兄ちゃんを嵌めようとしている!!!」


 知らない奴にそう言われてもな...。


「ああそうか、そんな事よりもお前がアルシュって奴か?」


「兄ちゃん!? 何を言って...」


 そう言いながら目の前の少女は店の外壁鏡を見た。


「えっ...? どうなってんだこれ!?」


 自分の顔や髪を触る少女は急に叫びだした。


「誰だこれ!? こんなの私じゃないぞ兄ちゃん!!」


「そんなもん俺が知るか!! 大体誰なんだお前は! 本当にアルシュって奴なのか!?」


 こんな知性のかけらもないような奴が姫様だなんて世も末だなと思っていると...。


「私はラカラだ! ラカラだよ兄ちゃん!!」


「ラカラ...?」


 確かに言動そのものはラカラの物だが、声質が違うし見た目は全く違う。


 見た目だけなら品性の塊なのに喋ったら全くあいつと同じでガサツだ。


「ちょっと待てよ...」


 俺はメニュー画面でラカラのステータス画面を表記した後に1発目の前の少女を殴ってみた。


 すると...。


「ラカラのHPが減った!」


 俺が殴ったのと全く同じタイミングでHPが減った事で目の前の少女がラカラであることが確定した。


「お前...、本当にラカラなのか!?」


「だからそう言っているだろう! ってそんな事よりも大変なんだよ! この国の...」


 そこまで彼女が言いかけた時だった。


「こんな所にいらっしゃったのですか! アルシェ様!」


 と言う声と共に純白の鎧に身を包んだ騎士が俺の目の前に現れたのは。


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