桜の見える宿亭
俺たちはしばらく歩いた後に桜の見える宿亭と言う宿屋に泊まることにしました。
だいたいこの町ならどこからでも桜は見えるだろうと言うツッコミを優樹がしたことで興味が湧いたからです。
大きな木をくり抜いてできたような宿の中は凄く綺麗でした。
カウンターの周りが桜に彩られており、見ているだけで癒されるようだ。
「4名様ですか?」
と聞かれたので「そうだ」と返す。
なんか色々と部屋の案内をされたが、俺は安い所を選ぶ。
しかし、一番安い部屋でも1人1500ラピスも取られると言う割高な値段設定である。
最初は高いなと思ったが、実際部屋に案内されるとその値段の意味が分かった。
(なるほど、結構いい宿だな)
完全個室で風呂まで備え付けてあるし、外を見ると桜が良く見える。
「早速汗を流しましょうか、シュナちゃん、ラカラちゃん」
「はい」
「なんだ? 風呂に入るのか?」
ま〜たいきなり風呂かよ。
まあ、女の子の気持ちはわからなくもない。
俺はまた一人で町を回ろうとしていると...。
「兄ちゃんは一緒に入らないのか?」
そうラカラが呟いたので場が凍りつく。
「馬鹿っ! お前! 俺は男だぞ!」
「んっ? でもシュナも男だよな? それにちん◯んも生えてたのを見たし今更だろ?」
なんかラカラが変な事を言い出したので俺が焦り始める。
「シュナ! なんとか言ってやれ!」
「僕は別に和希様と一緒に入っても問題ありませんよ?」
肯定派!!
こうなったら味方はもう優樹しかいない!
「優樹!」
「なに? 和希も一緒に入りたいの? 水着を売店で買って来たら一緒に入っても大丈夫だよ! 昔みたいに一緒に入る?」
「「昔みたいに!?」」
シュナとラカラが妙に反応している!
「お前らなぁ! そりゃあ幼稚園児くらいの時に優樹と一緒に同じ風呂に入ったこともあるさ! でも今の俺は15歳だ! 普通に犯罪だからな!」
そう呟くと「でも同意があれば別でしょ? ここにいる皆は別に和希と一緒に風呂くらい入れるよ」などと返して来たので呆れてしまう。
「ああ! もう勝手にしてろ! 俺は町に出てくるからな!」
俺は女どもの同調圧力などには屈さない。
チャンスを不意にしながらも大事な物を守れた事に俺は安堵するのでした。




