幻影の罠
ラカラが触った黄金の金箔が剥がれて毒キノコが姿を現す。
「ほらっ! やっぱり罠じゃねーか! 分かってねぇよなお前!」
俺はラカラに説教垂れながらも毒ガスが充満しきる前に脱出を試みる。
「マップは頭の中に叩き込んでいます! こちらへ!」
シュナが相変わらず有能っぷりを発揮してくれたおかげで事なきを得たが、ラカラは完全にトラブルメーカーになりそうな気がしてきたぞ...。
それでも【隷属者】として育てるとどのように成長するのか気になるし、実験の内容次第では優樹にも活かせる事も出てくるかもしれないと考えると、やはり彼女を捨てるのは勿体無いと思う。
「なんとか逃げ切れたが、ラカラ。言うことがあるよな?」
「うっ...ごめんなさい」
彼女がそう呟いたのを見ると頭にそっと触れる。
頭に触れた瞬間ビクッとしていたので怒られると思っていたのだろう。
「よく言えたな」
それだけ呟いて俺はすぐさま【幻影龍】の素材を使って新たな武器と防具を作ることにした。
次の戦争まであまり時間がないのだから少しでも強くなっておかなくてはならないからだ。
「後1週間程度か...」
そう考えると少ないがそれだけあれば備える事はできるだろう。
残り5日程度はラカラのレベル上げに勤しみ、最低限25くらいにはしておきたい。
佐藤と石川がどのくらい強くなっているのか分からないが、俺たちも強くなっておいて損はないだろう。
何故かぽ〜っとした表情のまま俺を見ているラカラを放っておきながら方針を決めていくのでした。




