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ナチュラルシュート  作者: 秘伝りー
第一章
5/7

ゲームセット

 気がつけば野球部の一員として野球をやって

 いるではないか。困った…


 1アウト一塁、迎えるバッターは琉之介


 初球の甘く入った球を見逃さず左中間に流し

 打ちレフト前ヒット、1アウト一塁二塁で次

 に迎えるバッターは優太


 昔から大きいのを狙っては力んで全く打てな

 かった。琉兄が観に来てくれてる時はいつも


「優太っ優太っオレの声も聞こえないくらい力

 んでんだよ。力を抜けー。あと右手に力を入

 れすぎ、インパクトの瞬間までヘッドを下げ

 るな。違う違うっだから右肩が下がってんだ

 よ。バカは来た球を打ち返すくらいで良いん

 だよ。オレほどじゃないけど野球センスは認

 めてやってんだからさ」


 来た球を素直にかぁ…


 カキーン


 大きく弧を描きセンターはボールを見送った


 主審の声に反応する優太


「君っ君っ」

「はい」

「ホームランだよ」

「ですよね」


 ダイアモンドを周りベンチに帰る優太


「本当に当たればホームランか」

「琉兄のアドバイスが聞こえてきまして」

「??何も言ってないぞ」

「こちらの話でやんす」


 この回に3点追加4回を終わって7ー0

 5回表、さぁこのまま早く終わらせよう


 その頃、敵チームでは


「監督、4回終わって1人も塁に出てません」

「あんなピッチャーいつから居たんだ」

「間違いじゃなかったらアイツ横浜ボーイズの

 エースですよ。奈良では有名な香中ボーイズ

 を一安打ピッチングしてました」

「よしっ」

「監督、何か策でも?」

「帰り支度だっ」

「えっ?」

「だから帰り支度だっ」


 戦意喪失である


 しかしそうは問屋が卸さない


「監督、ピッチャー交代でお願いします」

「どした白石?」

「高校野球が始まるまでは肩肘の負担を考慮し

 て球数を制限してます。合わせて軟球をこれ

 以上投げるのはリスクが高いと言うことです」

「本当に言ってる?よね…」

「はい、申し訳ありません」

「って言われても代わりのピッチャーがな…」

「代わりなら飯塚が投げます。キャッチャーは

 僕がやります」

「白石が言うなら間違いなさそうだな」

「??ん??」

「飯塚ー宜しくな」

「??んん??」

「捕ってやるから防具を貸せ」

「あのなー誰がピッチャーを」

「子供用グローブ」

「そればっか言いやがって」

「弟の大事な子供用グローブ」

「あのなー」

「弟には俺から言っといてやる」

「あーーーやりゃーいいんだろっ」


 なんでこうなるんだ…


 その頃またまた敵チームでは


「監督、ピッチャー交代みたいですよ」

「何?!本当か?よーしチャンス到来っ。あの

 ピッチャーより凄いのは出てこないだろう。」

「監督、みんな帰り支度してますが…」

「アホかっ帰り支度とは何をしとるんだっ試合

 に集中せんかーっ」

「監督が帰り支度って」

「うるさいっ攻めて攻めて攻めまくれーっ」


 投球練習前に球種の確認である


「知らねーぞ。どうなっても」

「井伊塚、球種は?」

「ストレートとスライダーにカーブ」

「基本はストレートで俺の構えた所に投げて来

 い。変化球も使えそうなら使う」

「あのなー俺は端から野球なんか」

「サインは覚えれるのか?」

「お前って本当に淡々と話すよね」

「お前から見て指を下でカーブ左でスライダー

 それ以外はストレートだ」

「それくらい覚えれるわい。馬鹿にするなよ」


 頭を下げる琉之介


「いやー別に怒ってるわけでは」

「何を言ってんだ」

「え?お前が頭下げてオレに謝ってるから」

「弁天学園の監督が居たから挨拶しただけだ」

「ややこしいんだよ」


 高校野球関係者らしき大人が2人こっちを見

 ている。髭にサングラスの男性と小太りに帽

 子の男性。弁天学園の監督は間違いなく前者


「森監督、白石君はここの野球部に所属したみ

 たいですが硬式出身で軟式とは」

「今から新たなクラブチームと言うのも現状で

 は難しいのも事実です。大橋部長」

「はいはい」

「夏の大会が終わりましたら白石含め推薦枠の

 選手を練習に参加させてください」

「わ分かりました。そしたら毎週日曜日、体験

 見学会も兼ねて準備を進めて行きます。希望

 者だけで構いませんか」

「学業や在籍のチームの事もありますので希望

 者だけで構いません」


 ピッチング練習をする優太


 ミットにボールが入る音が大きく響く。球速

 は130km後半は出ている。荒れてはいる

 が硬球なら140kmは出ているであろう速

 い球に両チーム驚きを隠せない。そして弁天

 学園監督らも驚きを隠せない


「森監督、あのピッチャーかなりどころじゃな

 いくらい速いですよ」

「軟式で130km後半?!」

「こんなピッチャーの情報はシニアやボーイズ

 ではないです。ここの中学も県大会で二回戦

 止まりのチームです」

「大橋部長、あの選手を調べといてください」

「わかりました」


 投球練習終了


「思った以上にキレがあるな。スピードは化け

 物級でコントロールは最悪だ。球種も使える

 のはストレートとスライダーだけだな。カー

 ブは練習不足で使い物にならん」

「練習も何も野球はやってないんだよ」

「ストレートだけで攻める、思い切って来い。

 この回を抑えればコールドだ」


 その頃またまた敵チームでは


「よしっ帰る準備するぞ…」

「監督ーまた攻撃が残ってますよ」

「なんであんな凄いピッチャーが続けて出てくんだよー」

「監督ー泣かないでくださいよー」

「もう監督っ辞めるー」

「監督ーーーー」


 かなり緊張している優太、汗の量も凄い


 4年も実戦で投げてないんだよ…


 結果は三者連続四球満塁


 その頃またまたまた敵チームでは


「監督っ監督っ」

「なんだっ支度は出来たか?」

「満塁です満塁ですよ」

「そりゃあんだけ凄いピッチャーなら満塁にな

 るだろう……満塁!?」

「監督どうしますか?」

「どうも何も…応援せんかー何を荷物など触っ

 とるんじゃー攻めて攻めて攻めまくれー」

「監督ーーーー」


 マウンドに行く琉之介


「緊張するタマか」


 情けない

 マウンドで緊張するとは


「端からコントロールは期待していない。投球

 練習ぐらい荒れていても問題ない。化け物級

 のスピードと球のキレくらいしか褒めるとこ

 ろはなさそうだからな。軽く力を抜け、上半

 身だけで投げるな、下半身で投げろ、コント

 ロールを意識しすぎ腕が振れていない」

「うるせーな」

「このチームにお前の球は打てない」

「分かったよ」

「馬鹿は何も考えるな」

「ふぅー」


 コイツの声は何か安心する

 そりゃそうか

 馬鹿は何も考えるな

 琉兄がよく言ってた言葉

 アイツは何なんだ

 了解です

 

 空気が変わった

 帽子のツバを下げ顔を隠した


 ランナーを気にせず

 ワインドアップに切り替えた

 

 全身を使った大きなフォーム


 2球続けてボールだか球速はどんどん上が

 って行く、3球目もボールだが球速は更に

 上がり4球目インハイにストライク,5球

 目インローにストライク…スピードガンは

 ないが6球目は本日の最速であろう真ん中

 ストライクでバッターアウト

 

「ナイスボール」


 三者連続三振


 5回コールドゲームセット


「森監督、満塁以降は別人でしたね」

「あれは本物ですね」

「あんな選手どこに居たんでしょうね」

「とにかく詳細が分かり次第お願いします」

「わかりました」


 

 全国中学軟式野球大会

 奈良予選一回戦突破


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