あとがき
ここまでお読みいただき誠に感謝でございます。
こちらは「肥満術師の暴食浪漫 - 信じて休暇に送り出した魔術師が、三か月間音沙汰無しの件について -」のネタバレなどを含んだあとがきとなっております。
もしも本編を読了せずにこちらのページを開いてしまった場合は、ブラウザバック等を行って、まだお読みでない部分から読み直してから閲覧してくださいませ。
★ このお話のきっかけ ★
この物語を作るきっかけとなったのは、いわゆる追放モノと呼ばれるジャンルに対し、Twitter上で誰かしらがあれこれと話題に出しているのを拝見した時、つい一発ネタで自分が呟いていた内容が発端となっています。
追放されてしまった魔術師がデブになってしまい、そんな彼を訳あって連れ戻しに来た仲間たちを、あの手この手の食の誘惑で懐柔し、自分のシンパとして洗脳してしまったり、好物を片手に相手に無理矢理下劣な取引を持ちかけて、諦めさせようと働く……という、追放された奴がやっぱクズだったんだなと思わせる類の話を呟いていました。
それを転用したのが今作です。
ただし各話のタイトルをフルコース料理に当てはめて改変し整えた結果、当初の「昔の仲間を飯で釣って籠絡or攻略しながら大食い仲間を増やす」というコンセプトから離れてしまう結果にはなりました。
もしフルコースに合わせず思うがままに書いていた場合、主人公に操られた結果太り気味になってしまったアイラとか、焼肉いこーぜと三日に一度は誘ってくるバシュターナなんかの話になっていたことでしょう。
あれ、そっちのほうがバランスが良かったかも……?
>作品名について
なるたけテンプレ感のある長文を考えたのですが、追放という文章を付けるのは何か違うなあと撤回。
「嫌じゃ嫌じゃ! 絶対に痩せとぅない!」という台詞を最後に言わせようと思い、そのようなサブタイを付けたものの……これもなんだか違和感があるなあと、二日目にして今のサブタイに変更しました。
〇〇した件について、というサブタイって、やっぱりテンプレですよね?
>プロット
無いです。ただし登場させる順番だけは即決めました。
フルコース料理の名前だけをとりあえず決め、それにあったキャラクタを配置し、最後の落ちにスカルドラゴン殺しと疲労困憊からの看護展開だけを用意し、そこに至るまでの道筋は全部アドリブ先生にお任せしました。
なので大分無茶苦茶です。一話あたり一万文字を三分割、と考えてた部分もあっという間に破られました。
何も考えないと文字数ばかり増える。これが悪い作家の見本です。
★ 各話の簡素な注釈について ★
>メニュー
所謂キャラ紹介。ついでにコース料理も暴露して、全十一話構成だと読者に誤認させる。
実際はアフターコースが加わるので十二話です。
騙されおったな!
>食前酒 ロモニー村名物のタルモニ酒
追放される枕の部分。からの三か月ワープを挟んで仲間たちのお散歩パート。
第一話という事で主人公の言動&外見を不快感マシマシにする采配。
>前菜 麦餅の果実と魚卵乗せ
魚卵を食うとかゲテモノか!? という台詞を吐かせようかと思ったのですが不採用。
それよりもアイラの気絶芸&叫び芸を優先です。それと、被害妄想も。
>スープ リンゴ酢と具沢山の野菜のスープ
バシュターナ登場、からの村人を怒らせてしまっての大逃走。
目の前で馬鹿にするのはあきまへんで~!
>魚料理 魚介の酒蒸し~中サダラ王朝期の辛口仕立て~
突如古い王朝が生えてくる。どうせ滅んでいるしと大雑把に設定。
もっとねっとりじっくり早食い勝負を描写したかった……。
>肉料理 ガッツリ鹿肉ハンバーグ
淫乱スケベダメオヤジ登場。シーズン的に梅雨的な描写を入れてみる。
この辺で完全に本来のコンセプト(仲間を飯で篭絡する)からずれました。
>ソルベ 春待ちの雪解け時に見た七色の雫風ソルベ
アイラ再登場、からの突如生えてきたシャルベット子爵という謎の存在。
この辺で一瞬だけ元のコンセプトに戻りかける……かけたはず。
>ロースト 特製鴨肉の焦がし甘口炙り肉
アイラも欲望にクッしてしまうお話。
次第に性格の悪さを発揮していくモラルであった。
>生野菜 豆と緑黄野菜を中心とした柔らかな味わいの精進定食
いい加減に誤解を解いてい置くべしと、正論吐きつけウーマン役としてペス召喚。
会談の場所に選ばれた店には申し訳ない事をした。
>甘味 三刻金貨五枚分の無制限甘味天国
エンダールマプトゥルマレハスシャジハズとはすなわちエンダールマプトゥルマレハスシャジハズであって他の果物と何一つ都市手に使わぬ比べる事さえおこがましい本当の果実でありエンダールマプトゥルマレハスシャジハズなのだ。
>果物 完熟果実の皇帝盛
エンダールマプトゥルマレハスシャジハズ売り切れました。
詫び骨として卑死操団の残党を呼び寄せます。
>飲料 汗と涙に捧げる黄金の薬水
プロレス回。デブが殴り合いをするというコンセプトは当初から考えていたものである。
逆に言うとこれまでの描写はここの為に存在している様なもの。
>アフターコース 〆はやっぱり駅蕎麦で
酔っ払いがお店を出た後の二件目コースと言えばバーやカラオケ、キャバにラーメンと駅蕎麦屋かなと。
作者は外飲みをあまりしないので店チョイスは平成イメージ。馬車駅の「駅」部分を推していく。
因みに殴られた方々はちゃんと生きてます。死んでてもアイラが生き返らせるから大丈夫。
★ キャラクタに関して ★
>モラル・フリーガン
主人公。デブ魔、肥満術師。最終話にしてこっそりタイトル回収済。
それなりに有能だった才覚をドブ……贅肉に埋もれさせてしまう駄目な役どころ。
興味を引いた何か一つの事に集中してしまう悪癖を持ち、徹夜続きで魔導書を読み更けながら日中大呪文を連発して魔力が枯渇してしまうという大ポカから物語がスタートするダメ人間。
ある意味での元ネタは作者の親戚の大伯父さん。バブル時代に徹夜続きの夜遊びに耽りすぎて、意識朦朧からの大ポカをしたと親族の間で語り継がれてしまっている。
作者は「しっかり食事が採れて背丈がデカくて体重がある化け物の様な体格の人間はめちゃんこ強いに決まってる」という確固たるイメージを持っている為それを忠実に再現した。
イメージ的にはサル(シャレンドラたち)の中に混じっている一頭のヒグマである。
しかもこの熊、呪文の類が使えるんですよ。絶対強いに決まってる。
因みに目からビームを発射したり口から火を吹いたりしながらキ〇肉バスター等を放つという案もありましたが少しだけ削りました。
>シャレンドラ
一人称僕のおとこ……おんな……どっちだろうの勇者様。
装備が万全であれば遠近対応のスーパー万能勇者様なのですがお忍びの為未実装。
ただしスーパーデブデブ肥満術師のモラルと比べてしまうと下位互換。
執筆当時Twitterの創作界隈でなぜか走れメロスの話題が少しあった為、作者もそれに乗っかる形に。
作中やたらと出てきた「シャレンドラは激怒した」の文章などが特に顕著。
モラルを誰よりも信頼し、誰よりも執着しているちょっと痛めなヒロイ……ヒロイン? として扱った。
次回があればもうちょっと真面目に活躍する。
>アイラ・シーラ
そういえばこいつ作中フルネーム描写された事ねえな? と気づいてしまった作者がSANチェック。
生真面目で心優しく献身的ではあるのだが、口が悪いて君はもしやシルバーマン?
初見のモラルに気絶芸を繰り返したり変な妄想を広げたり甘味の誘惑にクッしたりと、実はメンタル面に不安が残る。
これが一般的な冒険活劇の類であれば頼れるヒーラーとして活躍したりヒロインピンチ演出できたりしたのにね。
>ココカラ・ペス
打って変わって苗字・名前共に呼ばれ続けた読者混乱枠担当サムライガール。
前衛職で返り血を浴びやすい癖に潔癖症という七面倒くさいキャラ。
正論担当……とまではいわないものの、比較的まともな事ばかり言うポジション。
そんな彼女も最後の最後でやらかすのであった。
>矛槍のバシュターナ
前作ミストレスに出てきたタコ足女のスコルトのリブート版キャラクター。
蛮族出身のスケスケ衣装に身を包んだ破天荒痴女ガール。アクセサリー過多でもあり、戦闘中はきっとじゃらじゃら煩いこと間違いなし。
この手のキャラは非常に出しやすく、話も回し易い為多用しがちですがほどほどに抑えました。
作中パーティのメイン火力のはずなのに、スカルドラゴンに碌にダメージを与えられなかったのは相性の問題です。
>タルタドポス
ドスケベ親父。みんなのヘイトベアー担当親父。とりあえずこいつが悪いんじゃないか枠担当親父。
血筋の関係もあり高等教育を受けているため地力は非常に優れた駄目親父。
だけど普段の色狂いとセクハラ三昧の為信頼度は底値割ってしまっている屑親父。
しかしそんな親父にも誰にも語る事のできない辛い過去があったのだ!
>ナインティー
おしゃべり担当とか書いてたけど言うほど喋ってないなと後悔しているキャラ設定。
口調もブレブレでキャラ造形に関してはもうちょっと考えておいた方がよかったなあと猛省。
実はプロレスシーンにおける実況担当という事でモラルの次に生まれたキャラクター。
ただしその実況も大分割愛されてしまう。無残。
>ナイントゥー
きちんと一度もしゃべらなかった偉い子! それ故存在感が空気な上に登場回数も少ない。
もみあげハゲ頭の修験者衣装というとても目立つ外見だが、最後のやらかし以外割と有能ポジ。
寡黙を通り越したキャラクターがここぞという時だけ短くしゃべってくれるのが好き。
それはそれとしてこいつが居なければモラルは相打ちとなって死んでいたに違いない。
>クーラ
あたし年収最低千二百万以上で家事もしなくていいしエステやヨガに通える奥さんになりたいの。
というネットに転がるタイプの結婚願望が強い女性……とまではいかないものの、割とアレに造形された村娘。
モラルからすればポッと出ポジという事もあり、描写上色々と扱いが悪い。
実は金の面ではタルタドポス、不干渉なATM係としてはナイントゥーが結婚相手に最適だぞ?
>ルシコフ・ポルスター
作中最大の加害者にして最低の被害者。卑死操団の二級死霊使いさん。
幹部クラスでは無かった為指揮能力・作戦立案能力共に乏しく、力押しの戦略しか練れなかった。
モラルの対比キャラクター。食事抜き飲み物抜きのガリガリ虚弱な半死人という見た目がつらい設定持ち。
食事を碌に採っていない奴が元気もりもりお相撲さん(仮)に勝てる訳ないだろ!
>スカルドラゴンズ
雨ざらしの中大変劣化してしまった幼い竜の骨によって産み出されたホネホネドラゴン。
この物語の竜は小神と殴り合えるガチな強者と設定してるので、生後二年の竜の骨でも超強い。
世界中の農作物に酸アタックを続けていれば三年たたずに世界大戦を起こせていた。
主であるルシコフが人類同士で殺し合えーな思想を持っていなかったのが運の尽き。
>エンダールマプトゥルマレハスシャジハズ
この物語の真ヒロイン。たった数節しか出ていないというのに作中キャラの心をもぎ取った。
それは木に成るでもなく蔓状のものに生えるでもなく土の中に育つわけでもなく、春夏秋冬全ての季節に実を付けることが無い。
皮は分厚くとも薄くともなく特別変わった手触りをしており刃物を使えば容易に剥けて、妙なる薫りを解き放つ。
これらの条件下で推察すると、恐らく水中栽培されているマンゴーとアボカドのあいの子的な何かかな?
★ 設定資料 ★
>魔術師の命名則
弟子は師となる魔術師の名前を姓に取るというシステム。
モラル・フリーガンの場合は師匠の名前がフリーガン・〇〇氏であり、さらにその師匠となる人物の名前は〇〇・××となる。
また魔術師の級位に関しても法則がある。
平時にて百パーセント呪文を扱えれば三級、同時に二つ以上使えれば二級、四つ以上を行使できれば一級という塩梅。
モラルは二級なので2~3つの呪文を同時に扱える(例:空を飛びつつ火球を放つ)
>卑死操団
死体を操ってそれに労働させればいいじゃない、というある種のオートメーション思想から生まれた集団。
思い付いただけならば倫理は兎も角として理想は理解できるのだが、こいつらの場合他人の許可を得ずに勝手に故人の墓を荒らして操り出したから大問題。
諸々の経緯の結果、俺たちが国を乗っ取って死者の帝国を作ってやるんだ、という危険思想に染まってしまったという話。
因みに死霊使いの開祖ポルスター・カシム・ナイレシアは弟子が勝手に馬鹿をしでかしたその日のうちに夜逃げした。
>造死神ヒビュ=イコラ・カシム
開祖ポルスター・カシム・ナイレシアを擬神化したような空想上の神。
崇め方が歪かつ信仰度や逸話の類が足りないため、神としての個を確立できていない。
★ 最後に ★
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
このようなハチャメチャな設定でやりたい放題書かせていただいた本作ではありますが、皆様方の娯楽の一つにでもなれたとしたら幸いでございます。
また、本作の執筆にあたり参考としました資料の方も、活動報告にて記載させていただきます。
今後も茜丸大悟の作品を応援していただける様精進して参りますので、これからもどうかよろしくお願いいたします。
それでは最後に嘘予告を流しまして……さようなら!
★ 次回予告 ★
財布を持ち忘れていた挙句全裸で馬車に乗れるはずも無かったモラルは一時村の牢獄にぶち込まれてしまう。
わいせつ物陳列罪は豚箱行きよ! そんなー!!
そんな感じで豚小屋生活を送る事になってしまったモラルだが、ちょうどその頃ロモニー村と販売提携を結んでいる隣の漁村シャクトンの海底にて、不可思議な明滅と定期的な海底地震が発生し続けていた。
不審に思った我々冒険組合は海底調査派遣団を発足、水呼吸の呪文を扱える術師を中心に海底深く送り込んでみる事にした。
すると一体どういう事であろうか! 全く見たことも無い不気味極まる造形を施された海底ダンジョンが形成されていたではないか!
全く誰も踏み入れた事も無いであろう海底ダンジョン、その存在に冒険者たちは湧き上がる。
だが、そんな彼らに覆いかぶさる不気味の影……そう、海底の覇者ともいえるクラーケンが彼らの血肉を奪いにやって来たのであった!
あわや、冒険者たちは半壊してしまう。
生き残った彼らと村の漁師たちの意見を照らし合わせると、もともとこの海域にはクラーケンの目撃情報は皆無であったはずなのに……とどうにも雲行きが怪しくなる。
こういった不可解な現象には無造作に冒険者たちを放り込むわけにもいかなくなる。
そうだ、誰だって命は惜しい。冒険に胸をときめかせるのは男の子の特権だが、無茶を承知で命を危険に晒す訳にもいかないのだ。
だが調査は行わなければならぬ。訳の判らない状態にしておく訳にもいかないのだ。
しかしこういった場面に適したうってつけの人材がちょうど付近に滞在していた。
そう、勇者だ! 勇者シャレンドラとその一行だ!
王族貴族その他もろもろから毎度無茶な依頼を押し付けられている無鉄砲な国家のつかいっぱしり略して勇者の面々ならば、きっとクラーケンをブッ殺し海底ダンジョンに居る危険な怪物どもをブッ殺してくれるに違いない。
そうすれば残りの雑魚どもを安全ぬくぬくブッ倒しながらお宝は冒険者組合が独り占めよぉと絵空事を描いて彼らに任務を押し付ける。
なんたる無茶ぶり! だがシャレンドラたちはこれを受け入れざるを得なくなる。
なにせ豚小屋にブッこまれたままのモラルを保釈する方法が何でか知らないけどこれしか無いって行政が強権振って無理やり言いくるめてきたからだ!
ファッ〇ン国家、許さねえ! この恨みはすべてクラーケンの奴にぶつけて憂さ晴らししてくれる!
こうしてモラルたちはゲソ焼き天国をはじめとする海底グルメダンジョンレースに参加する為、調理道具と油を買い占め夜の海底へとダイビングするのだった。
「肥満術師の暴食浪漫おかわり! - 待ってくれ、我だけ水に沈まないのだがどういうことだ!? -」こうご期待!




