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果物 完熟果実の皇帝盛 注文

 ルシコフ・ポルスターは一人怨嗟の声をあげていた。

 志を共にする仲間たちが次々と討たれていく中、あたり一面に漂う死の薫りを掻い潜りながら、ぎりぎりの瀬戸際生き延びる事に成功していた。

 彼の周りには他に誰も居なかった。

 仲間は生き延びることが出来たのか、それとも皆死んでしまったのか、それすら判明しないまま、彼は這う這うの体でアジトから抜け出し陽光に照らされひび割れた荒野の中を、孤独のままに這いずっていた。


 こんなはずではなかった。

 計画は完璧であったはずだ。

 意思無き死者たちを操って、国を転覆させる為だけに技を磨いてきた卑死操団(ひしそうだん)が、勇者を旗印に掲げているとはいえたかが冒険者たちの集団に敗れ去るとは考えられない結果であった。

 よほど上手な先制攻撃を決められたのか、あるいは内部に裏切り者でもいたのだろうか。

 敗因は何であるかと頭を巡らせるポルスターだが、結局何が原因であったのかが判らずに、怒りと不満と独りよがりな正義――彼らにとって、という意味ではあるが――を掲げ、水や食事にも飢えたまま、朝な夕なにあてもないまま彷徨い続けていた。


「はぁ……はぁ……糞っ、許さんぞ冒険者ども、許さんぞ勇者シャレンドラ……ッ!」


 彼の肉体は限界を迎えつつあったが、その憤怒と意志がくたびれ果てた身体を無理矢理に動かしていた。

 それはある種の呪いである。

 仲間たちを無残に殺されたから()()ない、たった今自分を襲っている理不尽に対する怒りが、痩せ衰えていく命の灯をかろうじて繋ぎ止めていた。


 死霊使い(ネクロマンサー)の幹部として、死に長らく触れ続けてきた影響なのであろうか。

 彼は限界を迎えていたにも拘らずしぶとく生き延び続けるどころか何やら強烈な死と荒廃と滅びの気配を嗅ぎつけて、人跡未踏の妖しげな秘境に向かって真っすぐに突き進んでいた。

 その行動を天の視線から観察出来るものが居れば、皆が首をかしげてこう言った事だろう。


「どうしてその様な無茶な道無き道を進むのだろうか」

「野生の食物が豊富な場所や、水源地に脇目も振らないのは何故であろうか」

「彼は一体、どこを目指しているというのであろうか」


 その答えには、もう間もなく行きつく事だろう。

 そう、死と荒廃と滅びの影は、もうすぐそばにまで迫っていたのだから――……

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