スポンサーになろう 優勝賞金1000万。
「優勝賞金はないの?」
ある大物芸能人は嘆いた。
国内マラソン大会で優勝、それも日本人最高記録。
2年前なら1億円だった。
東京オリンピックの予選を盛り上げるため賞金がかけられていた。
彼の嘆きに、ネット民は共感した。
そして、みんなでスポンサーになろうという声が自然と上がった。
その声にゲーム制作会社がアプリを作成した。
ネット民が1円、1ポイントからでもスポンサーになって、
優勝者に賞金を進呈できるアプリが。
それを知ってその大物芸能は、みんなにスポンサーになるよう呼び掛けた。
そして、ネットニュースでも取り上げられ、一気に集まった。
3日目で、200万。
1週間で1000万を超えた。
その日、マラソン優勝者にとりあえず1000万円相当が送られた。
とりあえずというのは、引き続きお金が集まり次第送られるのだ。
1000万円相当というのはT、D、Rなどのポイントも含まれていたからだ。
「まじか~」
賞金を受け取った優勝者は悲鳴を上げた。
「これじゃあ当分練習もできない」
彼は頭を抱えた。
「時間が・・・」
メディアへの出演や取材、
関係者のあいさつ回りではなかった。
もっと切実な問題だった。
「あ~、時間がない。
寄付しよう」
彼はクリックし、5万ポイントを寄付した。
その直後日付が変わった。
「今日は20万・・・」
彼はため息を漏らした。
そう、集まった賞金の多くはポイントだった。
それも期限付きポイントが多かった。
彼はポイントの期限と戦いながら、練習した。
でも、半分くらい医療関係者へ寄付した。
その評判で企業スポンサーがつき、
次のマラソンでも優勝したのだった。