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(41)先(さき)

 物事をやっていて、そのさきがどうなるか分からないと、不安定でおぼつかないから安心出来ない。安心できないと当然、疲れることになる。^^ 流行性の病気が蔓延まんえんしているというちまたの報道を知れば、その先が不安になり、疲れるのは人の常である。誰だって見えないやまいこわいが、その先がどうなろうと気にせず、なろうとままよっ! と心太ところてんのように太い心の持ち主は疲れることがまったくない。今日はそんな先の話だ。^^

 とある繁華街である。一人の老人が、いつもの時間にいつものコースを、いつものように歩いている。

「妙だなっ? 人の気配がしない…。いつもだとザワザワ人が通るんだが…?」

 老人はあたりをキョロキョロと見回しながらを進めた。そのとき、交差点の信号が赤に変わり、老人が立ち止まっていると、そこへ別の老人が、これまたいつものコースをいつものように散歩して現れた。二人は予期せず出食わしてしまったのである。^^

「おおっ! やっと人に会えましたっ! これで、ひと安心です。お宅はっ?」

 先に立ち止まっていた老人か感嘆かんたんしながらそう言った。

「えっ!? 私ですか? いつもの散歩ですよ、ははは…」

「なんだ、そうなんですか? 実は私もです…」

「それにしても、人が通りませんなっ!」

「はい! 例のアノせいでしょう…」

「ああ、なんとかいうアノ?」

「はあ、たぶん、そのアノだと…」

「人が多いと気疲れするもんですが、少ないのも、ですな?」

「はい、いないのも疲れます…」

「この先も、そうなんでしょうかな?」

「さあ、どうなんでしょう。私は余り先のことは考えないようにしています。先は疲れますから、ははは…」

「ははは…私もです。先は疲れます」

 二人は先のことを考えない気分で横断歩道を横切った。

 先を考えても疑心暗鬼となり疲れるだけで、それでどうなるものでもない。だから、考えない方が懸命なのかも知れない。^^


                  完

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