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異世界ヒーローと勇者  作者: ポン太
4/4

ギルド

其の四


「言ってしまわれましたね、」

ナターシャ姫が寂しそうに呟く、

「ああ、ちょっと寂しくなるな、」

「取り敢えず俺は今から、ギルドに登録しに行ってくるよ、」

「それでは私がご案内差し上げます。」

ザバスがそう言って、ギルドまでついて来てくれた。

全くと言っていいほど、城から出た事が無いので、とてもワクワクする。

何やら、あちこちで、屋台の食べ物のいい匂いがする。


登録も終えてひと段落ついたらまた後日、買い食いしながら街を探索するか、

そう思っているとゼバスさんが、ヒロ殿、この建物のちょうど裏あたりがギルドですと教えてくれた。

目の前の建物の反対側、ギルドの前ぐらいまで来ると、いかにもハンターというような出で立ちのギルドメンバーがあちらこちらでたむろしている、

其の中の数グループが、こちらをジッと見ていると、巨人像のハンター集団の一人がこちらに声をかけて来た。

「よう、あんたら、ギルドに、依頼に来たのか、」

ああ、成る程、ゼバスさんや俺の格好は、ハンターらしくないからそう思うのも仕方ないかと納得していると、


「依頼内容によっちゃあオレたちアースフットが受けてやってもいいぜ、

なんの依頼か教えろや、」


「いえいえ、依頼ではなく、こちらのヒロどのが、ギルドに登録に参ったのですよ、」


「はあ? ギルドにコイツが登録だと、父兄同伴でギルド登録かよ、

何処のお坊ちゃんだよ、」

ハハハハハ、周りのギルドメンバー達が声高に一斉に笑い出した。


「ゼバスさん、こういう輩は無視するのが一番ですよ、後々面倒ですから、」

「なんだと、おい、聞こえてんだよ、若造が、それじゃあ俺が登録する前にお前の腕を見てやるよ、」

やっぱりお約束通り絡んできやがった、


「チョットー、 やめときなさいよ、あなたBランクでしょ、」

突如、横から割り込んで、助け舟を誰かが出してくれた。

振り向くとそこには、猫耳の女が立っていた。


「あんた、Bランクなんだから、新しい人には優しくするニャン、」

「ああん?何言ってんだ、だから俺も優しく手ほどきしてやるって言ってるんだよ、そんなこともわからねえのか、ニャーラさんよ、

どうやら、ニャーラと言うのが彼女の名前らしい、名前もニャンコっぽいな、


「まあまあニャーラさん、こちらのデカブツさんが闘いの手ほどきをしてくれるんだからいいじゃないですか、勉強させてもらいますよ。」

にこやかに俺はそう言うと、

「ほらみろニャーラコイツよくわっかってんじゃねーか、」


「アンタやめといたほうがいいニャン、この人かなり強いニャン、」

ニャーラが辞めるように俺をさとす。


「いえ、せっかくなので、楽しませていただきます。」

「ええ〜っ、アンタばかニャン。ホント強いよコイツ。」


「楽しむだと、えらく威勢がいいじゃねえか、後でションベンちびるなよこのクソガキが、」


俺は巨人族に向かい、

「いいから早く来いよ、木偶の坊、」そう言うと、

顔を真っ赤にして巨人族が向かってくる。まさに赤鬼のような面立ちだったので、吹き出しかけてしまった、

巨人族は、俺に駆け寄りハンマーーを振るってきた。そのハンマーの金槌の部分は俺の身体くらいある大きさだった。

ズドーンっと大きな音がして、俺の立っていた場所がクレーターのように陥没した。辺りには土煙が舞い上がる。

後方から兄貴〜やりすぎですよ〜死んだんじゃないですかあ?

仲間の声が聞こえる。


「イヤーやり過ぎちまったみたいだ、イヤーやベー、殺しちまったか、金槌の先端壊れちまったよ、俺強すぎだな〜 ゲハハハハ、」

巨人族は汚らしい笑い声を上げる。


「誰が死んだって、」

くぼんだクレーターからする声に皆んなが一斉に振り向く。

そこにはヒロの拳によって、粉々に砕かれた金槌の破片が所構わず散らばっていた。


「なんだよ、Bランクって言うから少し期待したのに、騎士団長の方がまだマシだったぞ、Bランクって言うのは聞き間違いか、これじゃあBランクじゃなくて、低ランクだな。」

売り言葉に買い言葉、巨人は気が狂ったように俺に殴りかかってきた。その手をサイドにステップバックして、手を掴んでひっくり返してやった。ズデーン、チョット気分が乗ってきたのでここで俺が大声で、

「お前ら全員まとめてかかってきなよ、相手してやるぜ、」

日頃から文字の読み書きばかりで少しばかりストレスが溜まっていたのでちょうどいい捌け口だと思い乗りに乗って言ってしまったが誰も、その気がないようだった。


巨人は立ち上がりざま俺にタックルを決めようとしたけど、屈んで、体を俺が丸めると前のめりに巨人が転がった。

「ホント弱いなお前、ペーペイからやり直せよ、」

そう言うとさらに巨人は怒り出し、そばに止めてあった馬車を持ち上げた。

持ち上げた瞬間彼は口から泡を拭いて倒れた。

すかさず俺は、巨人の腹に右拳を撃ち込んだのだ。

巨人は痙攣を起こしている。そう人は、腹に強い衝撃を受けると息ができなくなり痙攣を起こす。


周りのギルドメンバーは 目を剥き口をアングリとさせて、固まっている。

ゼバスさんは、散々見ている光景なので、

すまし顔で、

「ヒロ殿それでは、ギルドの中に入りましょうか、」

そうこれを急かせた。

「ええ、では、まいりましょう。」

ギルドの中に入ると、後ろから、ニャーラが後を追ってきた。


「ニャーニャー、今のなにをしたんニャ、」

「軽く腹を殴っただけだけど、」

「それはないニャン、軽く殴って、白眼を剥いて倒れるなんてありえないニャン、」

「ホントにチョット軽く殴っただけなんだけど、」

「ウニャーン、絶対ありえない何かしたはずニャン、まあいいニャン、そう言うことにしておくニャン、」

リアルでニャンニャン言葉で言われると変な感じだなあ、とちょっと笑みが洩れた、


ギルドの中に入ると、ゼバスさんが、受付で、こちらの方の冒険者登録をお願いします。と言ってくれた。

「はい、わかりました。それでは、此方の書類をよく読んでから、お名前のご記入をして下さい、」

受付嬢から、書類を渡されるが手に取ってみると、やはり、分からない単語がちらほらとあった。

ゼバスさんが簡潔に内容を説明してくれ、書類に俺はサインをした。

書類を受付に渡すときに、思わず、

「ギルドのメンバーの方は皆んなこの書類読めるんですよね、」と、そう尋ねると、


「いいえ、そんな事ないですよ、半分近くが読めてないかと思います。」そう答えてくれた。


「それでは、此方の水晶に手をかざして下さい、」

バレーボールくらいある水晶に手をかざすと、水晶玉が、、、、、


全くなんにもおこらなかった。受付嬢が、こっこれは、思わず彼女は息をもらす。

「適正ゼロ、ウワービックリです。こんな事ってあるんですね、」

「そんなに珍しい事なのか?」

「ええ、どんな人でもほんのチョットは玉が光るものなのです。

ここのギルマスなんか、目が潰れるくらい光りますよ、」

「で、光らないと何かあるの?」


「はい、残念ながらギルドには入会出来ません、」

「マジで、」

「はい、マジで、」


ゼバスさんが横から「困りましたなヒロ殿、と言う。」

「そうですね、どうしましょう。」と考え込む。


「残念ですが、お引き取りを、」

受付嬢にそう言われて帰ろうとした時、

ギルドのドアが開きざま、

「外で、アースフットのベルデが、倒れてるんだが、誰がやったんだ、アイツの仲間がギルドに入っていったって聞いたぞ、」


「ああ、俺がやった、」


「誰だお前は、」

「お前こそだれ。」


受付嬢が、「アワワ、ここのギルマス、クチラドです。」

「そう言う事だ。俺はここのギルドマスター、クチラドだ。」

「そうか、俺はここに冒険者登録をしに来て、玉が光らないから今まさに追い返されている者だ。」

「ルナ、どう言う事だ。」

受付嬢はルナと言うのか、


「はい、適正検査で、魔抜けでした。」

「ほーっ、ベルデを倒して、間抜けとは面白い、いいぞ、俺の権限で、Dランクからと言うのはどうだ。」

「クチラドさん、本当にいいんですか?」

ルナが尋ねる。

「玉が光らんでも、それだけ強けりゃかまわんさ、」

「はあ、わかりました。」

ルナは渋々俺の登録を始める。


「すごいニャ、魔抜けで、いきなりCランクからニャンて、聞いたことないニャ、」

ニャーラが俺のすぐそばではしゃいでいる。

「お待たせ致しました。こちらがギルドカードになります。それと、会員の注意事項がこちらです。簡単にギルド契約事項を聞かれますか?」


「いや、勉強がてら後で読ましてもらうよ。」

「そうですか、私も5年ほどギルドで働いていますけど、魔抜けの人がギルドに入会されるのは初めて見ました。しかも、Cランクからなんて、本当におどろきました。長生きするもんですね、」

多分彼女は、あの長い耳からすると、エルフってやつだな、

見た目は俺と変わらないけど、いったい何歳なんだろう。


「さて、えーっと、ヒロでいいのかな?」

そうギルマスがはなしかけてくる。

「ええ、そうです。」

「ギルド入会時の特典なんだが、」

「はい、何かいただけるんですか?」

ギルマスは笑みを浮かべ、

「ああ、俺と軽く手合わせだ。」

すかさず受付嬢のルナが、「やめたほうがいいですよ、ギルマスもとS

ランクだったんですから、」

思わず俺に笑みが浮かぶ。Sランク、どれ程強いんだろう。

もうワクワクしてきた。

ギルマスがこれとルナの間に入り、「そう心配すんなよ、本気でやるわけないから」そう言った。

「それではお願いします。」

俺の隣のザバスさんや、猫耳のニャーラがキランと目を輝かせた。


ギルドの地下に研修場があったのだが、上のギルドとは考えられない程の広さが広がっていた。研修場では何人かのギルドのメンバーが、練習をしていたが、ギルマスの姿が見えた途端に空気がピリっとしたようだ。

急に研修場が静まり返った。


「悪いな皆んな稽古中に、ちょっとここ借りるぞ、」

クチラドがそう言うと、皆んな練習を中断して、隅に歩いていった。

「何か始まるみたいだぞ、」

「なにがあるんだ、」

周りがざわめく中、ニャーラが嬉しそうに「ギルマスとヒロが闘うニャ、」

そう言った。ザバスさんはニャーラの隣でワクワクしている。

「えーーーっ!」

「ギルマス戦うのー、」

研修場に来ていた皆んなが驚きの声を上げる中、受付嬢のルナや他のギルドスタッフ達もある待って来ていた。


「さあ、ヒロ、早速始めようか、好きな武器をそこから選んでくれ、」

「いえ、俺は、このままでいいです。」

「ウン? 君は格闘家なのか、無手で本当にいいのだな。」

「はいそうです。俺は体術を使うのでこのままでお願いします。」


「では、始めるニャ!」

知らぬ間にニャーラがジャッジをしていた。

ぬけめないニャン、って俺はネコ語で呟いてみたら、

微かに聞こえていたらしく、目を丸くして、耳をピックっと動かしたのを俺は横目で見ていた。


「よそ見とは余裕じゃないか、」ギルマスはそういい俺に切りかかってくる。

悪くない太刀筋だ。しかしBランクの巨人と余り変わらないな、多分まだまだ手加減している感じがする。

俺は危なげなくよけ、ギルマスに「本気でいいですよ、その程度ならさっきのデカいのと大して変わらないですから、」

「すまん、すまん、手を抜き過ぎた。じゃやあ、ちょっとだけ本気を出すよ、」

ギルマスがそう言うと、あたり一面空気が震えた。


“ドン!”


凄まじく土を蹴る音が聞こえギルマスの姿が消えた。

ギルマスのいた場所は、少し地面がえぐれていた、瞬間ギルマスは俺の背後に周り、剣を首筋から切りつけた。

ヒュンと剣が空を切る音が響く、その速さは、殆ど音速に近かった。

だが、そこには俺の姿はなく、既にギルマスの背後を取っていた。


「なっ、」


ギルマスはすぐさま踵を返し俺から距離を取る。


「いやあ、驚いた後ろを取られるなんて、魔王と立ち会った以来だぞ、怖い怖い、これは本当に本気を出さないといけないみたいだね、」

「ええ、それでお願いします。」


「十影剣!」ギルマスの姿が再び消えたかと思ったらいきなり十人程のギルマスが俺の前に現れた。

十人のギルマスがすごい速さで俺に向かってくる。

へー、これがスキルってやつなのかな、

エアースラッシュ!俺は手刀で空気を切りカマイタチを飛ばした。十人のギルマスは消えたと同時に俺の背後に気を感じる、俺が振り向くとギルマスの剣が上段から俺の顔を斬り付けるが、

人差し指と親指でその剣をつまんでしまった。

「くっ、俺の剣を掴むだと、信じれん、しかもビクともしない、剣が抜けない、この身体にどんな力が、」ギルマスが呟くとほぼ同時に、ギルマスは剣を握ったまま地面に押し倒された。


「なんだこれは、どう言う事なんだ。」ギルマスがまた呟く、

研修場にいる者達は、驚きの余り声が出せないでいる。

このパターンにもいい加減慣れてきた。


「クチラドさん、俺の勝ちですね、」

そう言って俺は手を離す。

依然、研修場は静まり返ったままであった。

皆んなが見守る中、俺とザバスさんは帰路に着く、はずだった、


「おい、ニャーラだっけ、なんでついてきてんの?」

「だって、ヒロ、チョー強いニャ、」

「俺これから城に戻るだけだぞ、ついてきても何にもないぞ、」

「ええっ、ヒロって王子様なんニャ?」

「ワケねーだろ。」

「だってお城に帰るって、」

「そんなこと言ったら城に住んでるのは皆んな、王子様とお姫様しかいないじゃないか。」

「そうだニャー。」

ああこの子も、ジングループか、


「とにかくもう城に着くからまたな、」

「ちょっ、ちょっとまつニャ、」

「なんだよ、」

「今度はいつギルドに来るニャ、」

「まだ考えてないよ、」

「そうなのかニャ、今度一緒に依頼を受けて欲しいニャ、」

「ああ、わかった、考えとくよ、」

「絶対一緒に依頼を受けるニャ、約束ニャ、」

ニャーラはそう言って、俺たちを見送った。


「ヒロ殿宜しかったんですか、」

「ゼバスさん、いちいち皆んな相手にしていたらキリがないですよ、まあ、縁があれば、一緒に依頼を受けるかもしれませんが、」








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