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落雷の軌跡  作者: えな
3/4

2話

小麦粉屋のおじさん

「こんにちわぁ」


 開店直前の店内に声が響く。

 小麦粉屋さんが来る時間帯だ。


 カラミタは手にしていた布巾を下ろし、玄関口へ急いだ。

 扉を開けると小麦粉屋さんが爽やかな笑顔で挨拶する。


「こんにちはオールソンさん。今日もべっぴんじゃの。」


「いつもありがとう。どうぞ入って!」


 店内へ促すと小麦粉屋さんはえっちらおっちらと重い荷物を運び込む。小柄な体型の彼には少々大変そうだ。


「私も手伝うわ!!」


 腕まくりして業者台から荷物を下ろそうとすると、小麦粉屋さんは慌てたように駆け寄る。


「女の子にそんなことさせられないわい。」


 かけていた手を押えられ、キョトンとして振り向く


「こう見えてわしは力持ちなんじゃ。任せとれ!」


 ニカリと笑って力こぶを作って見せた小麦粉屋さんに

 ちょっとだけよと言って再び荷物を降ろそうとするが、またしても止められた。


「か弱い女の子に力仕事させたなんざ

 皆に知られたら笑われてしまうわい!」


 ほら座っとれとばかりに背中を押されては仕方がない。

 大人しく椅子に腰かける。


 50代半ばあたりの小柄な男性にはいささか酷な仕事だ。

 毎度同じようなやり取りをしては「仕事じゃから。」と言われて、いつも手伝わせてくれない。


(頑固なんだから…)


 頼りない足元がすごく心配で中腰になって見守る。

 けつまずきそうになりながらもドカッと荷物を下ろした小麦粉屋さんと、一緒になって息を漏らした。


「ふー・・・近頃商売の方どうじゃ?」


「そうね。結構順調よ…なんせ腕がいいから!」


 ニヤリと笑って力こぶを作ってみせると、小麦粉屋さんはがははと笑った。


「あ、そうだ。おじさんは聞いたかしら?毒物の話。」


「………毒物?」


 物騒な話におじさんは眉根を寄せた。

 近頃街で噂されている件だ。知らないことに少しばかり驚いたが、よく街を出ていた彼は耳にしなかったのだろう。構わず続ける。


「私も最近パン屋の奥さんに聞いたんだけど、

 なんでもお偉いさんを毒殺しようとした人たちがいたらしくてね…使われた毒物が珍しいものだったみたいなの。

 解毒剤がまだ無くって。それで、その解毒剤を作る為に

 毒物を売った業者を血眼になって探してるって噂よ。」


 物騒な話におじさんはゴクリと喉を鳴らす。

 その小心っぷりに思わず嬉しくなって声を潜めて話した。


「一滴でも所持している者を見つけたら、

 その場で首をはねてくれる!って息巻くお偉いさんが、

 ありとあらゆるお店を荒して回ってるそうよ…」


 ひぇっと声を漏らしたおじさんが可笑しくなって、思わず笑ってしまった。


「あははっおじさんったら驚きすぎよ!」


 口をぽかりと開けて見つめてくるおじさんが可愛らしく見えてしまう。そんなに驚かなくてもと思うが、確かに店を荒らされてしまっては、商売上がったりだ。

商売人にとっては生活が掛かっているのだから非常に迷惑な話である。


「大丈夫よ。もしそんな人達が来ても

 私が追っ払ってやるわ!私の大事な店を荒らすような輩、とっちめて表に逆さ吊りの刑よ!」


 ファイティングポーズをしながらおじさんに向き直る。


「だから安心して。ついでに毒を売りさばく悪党なんか見つけたら、ボコボコにして即警備員さんに突き出してやるんだから!」


 おじさんの背中をポンポンと叩くと、ハッとしたようにおじさんは笑った。


「頼もしいのぅ」


「こう見えて私、体術の心得があるのよ!」


 ふふんとばかりに胸を張ってみせると、おじさんは緩んだ顔で私の力こぶを見つめた。


「……そうは見えんがのぉ…」


「ほっ本当よ!力だけが体術じゃないんだから!」


 筋肉の付きにくい体が恨めしい。説得力にかける腕に溜息をつきながら、笑顔になったおじさんを見て、まぁいいかと笑った。


 所詮噂だし、特に気にすることもないだろう。


(そもそもピンポイントでうちに来るはずなんかないわ)


 少し入り組んだところにある菓子屋オールソンは、被害には合わないだろう。

 この時の私は、愚かにもそんなことを考えていた。


 8時の鐘が鳴り響く。


「いけない!もうこんな時間だわ!」


 少しおしゃべりし過ぎたせいで開店ギリギリだ。

 布巾を持ってガバッと立ち上がると、おじさんを見送って小麦粉をすくうカップを探しに、厨房へ走った。

作品をご覧いただきありがとうございます!

始めたばかりで使い方をよく分かっていませんが

感想・評価等頂けると泣いて喜びます!

またの機会にご覧頂けたら光栄です(*^^*)

宜しくお願いします!!

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