表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

後日談、ビッグホーネットとは

昨日に引き続き更新ダヨ(´▽`)

 ユウトからの要請と、ギルドからの緊急依頼と言う事で、俺と安芸は再び冒険者として活動する事となった。以前からあった魔族との交戦は、殆ど無くなっている。故に平和とも言えるが、モンスターの被害のみは別件だ。

 

 モンスターとは。一定以上の魔力により変異した、人類種に仇成す物の総称である。動物型、昆虫型、水棲型、鳥獣型、と多岐に渡るモンスターが、世界中に存在して居る。


 このモンスターの中には、所謂魔物と呼ばれる、スライムやゴブリン、オークやオーガと言った、ファンタジー世界の生物も含まれる。


 ただし、一定以上の知性を持ち、人類種と共存の道を選んだ種族に関しては、この限りではない。この世界ではレベル、経験値の概念があり、森羅万象あらゆる存在は、無限に進化の可能性を備えて居る。


 結果として、魔が差したと言う表現がある様に、人類種や知的生命体であっても、堕ちる事が無い訳でもない。そのようなモノの討伐も、冒険者の仕事である。


 話しが逸れたが、今回のモンスターは、昆虫型のビッグホーネット。その生態は解明されておらず謎が多かったが、俺の知識に照らし合わせるなら、現世日本のオオスズメバチと近い生態系を有している。

 

 オオスズメバチとは、現世日本における蜂の中でも最大最強と言われる個体であり、日本の固有種でもある。その能力は正真正銘の化け物と言っても過言ではない。全長が最大で七センチ程度の大きさで、その行動半径は約二キロメートルにも上る。


 またオオスズメバチは、土中や樹洞と言った、人の手が届かない場所に巣を設営する。ビッグホーネットもこれに倣う様に巣を設営するが、その体躯から設営場所は洞穴の最深部だったり、巨大樹の内部だったりするので、割と人の目に付き易い。


 故に、一般人や農夫、木こりと言った職業の者達が、知らずに踏み込み――餌食となる。そして一度人間、人類種の味を覚えたビッグホーネットは、他のモンスターと同じく絶対に討伐しなければならない対象になる。


 何故なら。モンスターも生存を賭けて狩りを行う。対モンスターでは危険は伴うが……人類種の様に、直接戦う能力がなく、抗う術もないのであれば、最早狩りの対象でしかなくなるのだ。


 そんな凶悪なモンスターが、ビッグホーネット。攻撃力も折り紙付きで、その強力な毒針で獲物の動きを止める。その後に強靭な顎で、仕留めた獲物を唾液を混ぜ込みながらかみ砕き、肉団子にして巣に持ち帰り、幼虫に与える事でその規模を増やしていく。現世に於いて、俺は自前でも駆逐していたからこそ分かる、オオスズメバチの生態系。能力。だから以前の討伐の時に、見誤った。


 この失敗を元に、以前の交戦後、俺は独自にビッグホーネットの生態を調査した。もう二度と、若き命を散らさない為にもと行動を起こしていたのである。実を言うと、現世に於いてとある農学博士さんとの面識があり、自宅に出来たヒメスズメバチの駆除の際に、色々意気投合して話をしていたのだ。


 この時の農学博士さんとの経験があったからこそ、この調査に於いてビッグホーネットの生態系が、現世日本のオオスズメバチに近い物だと断定しする事が出来た。更にその生態系を調べた結果が、推奨討伐ランクの強化、と言う形であったのだ。


「へぇ、そんな事があったのか……」


 と、俺の説明に関心しているのが、息子であるユウトだ。俺達は現在、ミスリル級冒険者の集合地点へと向かっている。ユウトは小型の竜種に騎乗し、俺と安芸もそれに同伴する形になっている。


 小型とは言え竜種とは、一種の最強種族。一応ではあるがこの竜種も、俺の持つ創世神様の加護による庇護下にあり、その能力は並の上位竜すらをも凌駕すると言う、破格の性能を有している。例えるならば、乗用車に大型トラックのエンジンを積んでいる様な物だ。


「あぁ。だから、今回は全力を出させて貰うさ……お前には、父親として戦いの手本を見せた事も無かったが、この際だ。俺なりの戦い方ってのを見せてやるよ」


 余談ではあるが、ユウトの取得した戦闘技術は、安芸と竜騎士カズヤ君仕込みの物。超速機動による戦闘術、竜種との連携による立体攻撃がメインとなるので、この二人が適任とも言えたのだ。


 一方で俺と言えば、所謂座学を教える事となった。モンスターに対する知識を教え込む程度しか出来ず、ユウトも俺の本来の全力を見た事も無い。故に、ビッグホーネットへ怒りをあらわにした時に出した本気の殺意に、ユウトは青褪めたと言う訳である。


「……う、うん。参考にさせて貰うよ。ごめんな、父さん。俺、父さんは弱い、戦えないと思って居た。けれど、あの殺気で分かった……今まで、あれ程強大な――」

「本当のことを言えばな。お前を戦わせたくはない。だからと、進んで稽古も付けなかった。代わりにと思って、己の身を守れるようにと、モンスターの知識を教えただけだからな。けれど、俺の予想を遥かに超えて、お前は強くなった。だがな、絶対無敵、不死身な訳でもない。だから、これだけは言って置く。絶対に無理はするな。命は一つしかないんだ」

「はい!」


 不安げなユウトに言葉を打ち消しつつ、鼓舞をする様に言葉を紡ぐ。そして、それに応えるかのように気合を入れた返事を返すユウト。さて、もう大丈夫か。


「さて、もうそろそろ集合地点か? 作戦の命令、指揮系統はどうなっているんだ?」

「指揮系統はギルドマスターが、個々のパーティは連携しつつ、各パーティリーダーが取るよ。父さんたちは、一応俺の指揮下って事になるけど……」


 そんな風にユウトが口籠るが、分からないでもない。一応書類の上では、俺と安芸はミスリル級冒険者であるが、その実力は最上位のオリハルコン級をも凌駕すると言う物。実際に俺の覇気を目の当たりにしたユウトだからこそ、この様な葛藤に苛まれているのだろう。


「ほうほう。ならミスリル級冒険者、ユウトの実力を拝見させて頂きましょう。母さん、ユウトの成長が楽しみで仕方ないわ……」


 と、ユウトの葛藤を見抜いた安芸が、口角を上げる。正に、ニヤリ……と言う表現が適切だろう。


「や、止めてくれよ!? 本来なら、俺なんかが指揮……」

「えいっ」

「あいたぁ!?」


 安芸の言葉に必死に取り繕おうとしたユウトに、軽いデコピンが放たれる。一応かなり手加減した物である。何故なら、安芸が全力でデコピンをしようものなら、並大抵のモンスターは一撃の元に木っ端微塵となりかねない。熾天使とは、それだけ強力な存在なのだ。


「ユウト、貴方は私達の息子。大丈夫だから、自信を持って。胸を張りなさい」


 安芸の言葉に諭されるユウトは、コクリと頷き、合流地点へと小型の竜種を向ける。そんな俺の目に映るのが、合流地点に集結して居る冒険者達。俺はガルーダに救い出された時から、視力が超強化されている。所謂『鷹の目』って奴だ。


 先に安芸が言って居た様に、今代のミスリル級冒険者の実力を見る目的もある。俺の目に映るミスリル級冒険者達は、間違いなく強者と言っても良いだろう。一部不安が残る者も見受けられるが、そこは俺達が上手くカバーすればよいだけの話だ。

作者である俺は実際に蜂の駆除も行っていますが、自前ではキイロスズメバチまでしかありません。

今回刺されたのは、アシナガバチと言う奴で、キイロよりは危険度は低いが、割と危険なやーつ。

もしも巣を見かけても、決して刺激しない様に。冗談抜きに、酷い痛みと痒みに襲われます。


戦闘は次回に持ち越し。今日中にもう一本行けるか?

無理そうなら明日で!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ