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後日談、緊急依頼

蜂に刺されてイライラしているので、蜂をぶっ飛ばすお話が舞い降りました。

 ここは湖畔に佇む一軒家。穏やかな昼下がり、俺は書斎でカリカリと執筆作業を行っている。今日も平和の内に一日が終わるのかと思いながら執筆を続けていたが、俺の魔力探知に反応を確認する。


 この魔力反応は、俺の息子が駆る小型の竜種の物だ。ミスリル級冒険者である息子のユウトは、俺や安芸、マコト君を始めとする、英雄の話を聞いて育ち、早い内から冒険者として活動する事を決めていた。


 当然俺も安芸も、過保護が相まって、この小型の竜種をユウトの守り手として付けたのだ。親としては危険な事をして欲しくない、と言う気持ちもあるが、俺も安芸も、本人の意思を尊重した結果の妥協案であった。


 それが、正に全速力と言う勢いで向かって来る。その為、早期に俺の魔力探知に引っ掛かった、と言う訳だ。


「父さん! 大変なんだ、聞いてくれ!」


 そんな事を考えて居たら、ドタバタ、と廊下を駆け、バン! と騒がしく、書斎のドアを叩き開ける我が息子。我が家に帰って来た長男のユウトはとても焦った様子。一体何があったのか。


「少し落ち付け。一体何が……」

「ギルドから話来てないのかよ!? ああもう! 一人でもミスリル級冒険者の力が居るってのに!」


 落ち着かせようと思った俺を余所に、ユウトはギルドへの不満を零す。そう言えば、確かに冒険者ギルドからは、ミスリル級以上の冒険者宛に手紙が届いて居たな、と思いながら顎を擦る。


「あぁ済まんな。そう言えばメッセージは貰っていたよ。尤も、引退者に近いからスルーしていたんだが……」

「っ、で、でもミスリル級って事実に間違いはないだろ!? ともかく、非常事態なんだ。俺のパーティだけでは手に負えない。頼む、父さん。手を貸してくれ!!」


 ユウトの焦り具合から、本気でヤバい事態だと思い、届いていた手紙の封を切る。俺は速読術を取得しているので、この程度の手紙なら瞬間的に読む事が出来る。軽く目を流した所で、俺はここに来て初めて事態に気付く事となった。

 

「成程な。分かった、俺も行こう。ビッグホーネットの討伐となれば、黙っておれんからな」


 ビッグホーネット。元々の討伐推奨ランクは、最低でもゴールド級以上と言う、自然界におけるモンスタ―の中でも、かなり危険な種となって居る。過去に俺も討伐した事があるが、幾ら強いとは言え、生身の人間が勝てる相手ではないと言うのは、討伐時嫌と言う程理解させられた。


 それもその筈。ビッグホーネットは小さい個体でも、体長は一メートルを超える。その体躯に見合わず高い敏捷性、飛行能力を持つ。その上で質と量を兼ね備えた連携と、強力な物理攻撃に加え、凶悪な毒針を併せ持つ、一種の空中要塞と言っても良い相手だ。そんなモンスターが徒党を組んで襲い掛かって来る、生身の人間には悪夢でしかない存在である。


 過去に対峙した俺は、ミスリル級冒険者として参戦。この時参戦した冒険者は、大半がゴールド級の冒険者だった。彼等と共に戦い、結果としてその場に発生していたビッグホーネットは全滅させる事に成功した。ただしその勝利は、完全勝利には程遠い物。


 正直俺も舐めていた。超重機神として力を振るう訳にも行かず、一介の冒険者として戦う事を決めた時点で、舐めていたんだと思う。俺一人で全てを守れる、とまで言うつもりは無い。だが、俺が最初から全力を尽くして居れば、結果は違ったと言える相手であったのだ。


 そう、冒険者側も無傷と言う訳にも行かず。多数の死者を出したのだ。結果として、元々ゴールド級と言う評価であったビッグホーネットは、ミスリル級以上の冒険者で討伐する事、と言う事例を作る戦闘案件となったのである。


「苦い思い出のある相手だ、今回出し惜しみはしない。ここの所戦いとは無縁だったが、近隣の村や人々の被害を放って置く訳にも行かんよ」


 引退者に近い、と言う事から遠ざかっていた自分に、罰を与えたい。俺がもっと早く手紙に目を通して居れば、この人的被害も減らす事が出来たと思うと、情けなくなる。


「あ、ああ……頼りにしてるよ、父さん……」


 と、闘志に燃える俺の覇気に当てられ、ユウトの顔色が若干青褪める。いかん、殺気が駄々洩れだったか。身内贔屓と言われるかも知れないが、ユウトは強い。今放った覇気は全力の一端とは言え、これでも超重機神と言う、神族の端くれ。この殺気を直で受けて、顔を青褪めさせる程度で済んでいるのだから。


 因みに、俺が超重機神と言う神族の一端である事は、俺の子供たちの中では、安芸との子供であるユウト、ミスティスとの子供であるレイの二人しか信じていない。まぁ、確かにお父さんは神様なんだぞ。と言っても普通は信じて貰える訳もないが。


「と、済まんな。当時の記憶が呼び起こされてな……行けるな、ユウト?」


 青褪めるユウトに声を掛けると、一拍置いてユウトは姿勢を正し、しっかりと俺を見据える。その姿は、既に歴戦の冒険者と言っても過言ではない、自信に満ち溢れた物。


「はい!」


 ユウトの答えを聞き、俺は頷く。本当に立派になったもんだ。さて、では出撃の前に報告をせねばな。そう思いリビングルームで寛いでいた安芸へと声を掛ける。


「安芸、冒険者ギルドの緊急依頼に同行する事になったちょっと出掛けて来る」


 俺は安芸にちょっと出掛けて来る。とだけ言ったが、返された答えは意外なモノだった。


「私を除け者にしないで欲しいな。準備は出来てるからね。忘れた? 私も、ミスリル級冒険者。あの時の事は聞いているから、私も行くわ。ユウトの姿もだけど、今のミスリル級冒険者の実力も見たいしね」


 その言葉に符合する様に、安芸は既に戦闘準備万端と言う所だ。精霊騎士時代から使っていた、新緑のドレスアーマーを身に付けている。やはり、いつ見ても俺の嫁は素敵だ。

 その美貌もスタイルも、俺の眷属となって以来一切衰えていない。ぶっちゃけ、背格好からすればユウトの妹と言われても可笑しくないと言う状態。不老と言うのもある種では呪いとも言えよう。


「か、母さんも来るのか……」


 そんな状況を見て、ユウトは戸惑いの表情のまま呟く。だが、間違いなくこの世界でも最強、最高峰の仲間が増えたのだ。超重機神たる俺と、熾天使たる安芸が加わったのだから。

プロット無しで書いてます。明日以降も適当に書いて上げますのでー(´▽`)

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