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かくれんぼの勇気

作者: ぴ。

子供の頃、学校の友達とよくかくれんぼをしていた。自分で言うのも恥ずかしい話だが、僕はかくれるよりも、かくれている友達を探すのが上手かった。もういいかい?かくれている友達に聞こえるように目一杯大きな声を出す瞬間、身体中が熱くなって心臓がこれでもかと音を立てる。あの瞬間がたまらなくすきだった。


社会人になって6年目だった。サヨは僕の前から消えた。小学生の時から仲が良くて、僕たちの友情は大学生になる頃には愛情に変化していた。サヨはあまり多くものを言う方ではなかった。けれど、自分というものをしっかり持っている芯の強い女性だった。


付き合い始めてもう8年が経とうとしていた。テレビで結婚についてタレント同士が議論している時だったとおもう。

「私…仕事辞めちゃおうかな」

彼女の一言に僕の心臓が少し音をたてた。

「サヨの人生だ。すきにしたらいいさ」

僕はそう言ってテレビに目を移した。本心だった。その時はサヨを思って放った言葉だった。

今、思えば僕はその時サヨから逃げたのだ。サヨが僕に漏らしたその一言の本当の意味に気づきたくなかったから。サヨの人生を背負う覚悟が僕にはまだなかったから。


かくれんぼで隠れている人を探すのが得意だった僕は、言葉の裏にかくれている気持ちを見つけ出すのも得意なはずだった。大人になるにつれて、見えているものに目を背けるようになっていた。子供の頃のように向かい合う勇気を無くしていたからだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] どこか気づいていたけれども、気づかない振りをして心に嘘をついたのでしょうか。 [気になる点] そういうオチに持っていくなら、根拠やそう思える説得力が欲しいところです。 [一言] かくれんぼ…
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