第4話 雷撃戦
Cー1コロニー群へ接近している戦艦は、既に今までの戦闘でその船体各所に大小の損傷を負っている。しかし、そのエンジンは航行に支障が無いようであり、今尚高い推力を維持してCー1コロニー群へと迫りつつあった。
臨時戦隊は、アムロイ艦の左舷上方から凸隊形で雷撃を開始した。南風をはじめとする臨時戦隊の駆逐艦には艦首部分の両側にそれぞれ三門の魚雷(対艦ミサイル)発射管があり、各艦は旗艦である木枯の下命により三連射撃で雷撃を実施。直ちに左右に散開して退避行動に移った。
駆逐艦5隻により発射された合計90発の魚雷は、レーダー捕捉した標的であるアムロイ艦に殺到した。その殆どは対空火器により撃墜されたが、それでも数発が命中。アムロイ艦は火球に包まれ、撃沈されたかに思われた。
地球連邦政府大統領府や地球連邦軍総司令部では、臨時戦隊やCー1コロニー群から送信された映像に歓声が上がると同時に安堵する空気が流れた。
しかし、火球の中から更に損傷しながらアムロイ艦が出現すると、それまでの歓声は悲鳴へと変わる事となった。
アムロイ艦は反撃を開始。左右に散開退避中の臨時戦隊は次々と被弾。上甲板右舷に被弾した南風は激しい衝撃に見舞われた。艦橋内は衝撃により照明が落ち、赤い非常灯 に照らされる中、警告音が鳴り響く。
友雄は直ちに艦体の損傷状況の報告を命じた。
「機関、損傷無し。航行に支障無し。」
「各部死傷者無し。」
「通信、索敵、共に可能。」
「兵装、主砲使用可能なるも、艦首魚雷発射管損傷。魚雷発射不能。」
艦橋内の三次元モニターには、立体化された南風の艦体が映し出され、右舷の艦首から艦体中央の側面にかけて熱線で抉ったような線状の損傷が見られた。
(航行出来るが、雷撃は出来ない、か。)
南風は魚雷を主兵装とする旧型駆逐艦である。その最大の武器を封じられた南風の取れる行動は限られたものとなる。
「了解した。通信士、旗艦にこちらの損傷状況を報告しろ。各部は損傷箇所の復旧を急げ。」
この時、臨時戦隊はアムロイ艦の反撃により、駆逐艦キャメル、駆逐艦スワメルが撃沈された。更に南風が雷撃不能となり、その戦力は半減していた。
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