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ジュノンの家庭教師


「この娘達は、誰なの?」


ジュリアーノが、声を上げている。


「ジュノンの為に、呼び寄せた僕の娘達だけど…」


学校へ行きたいと懇願し続けるジュノンの為に、家庭教師として呼び出した僕の娘達。


「娘?シュウ、結婚していたの?」


驚いたような顔をしているジュリアーノ。


「違う世界ではね。この世界では、未婚の遊び人を自負している」


「私の為って?こんなに妹がいたんだ…」


戸惑っているジュノン。


「言っておくけど、ジュノンの方が妹だ。たがが、100歳ぽっちで、アネキ面はしない方が良いぞ。因みに、全員永遠の18歳だけどな、過ごして年数は億超えだからな」


「何?その桁数は…」


唖然とするジュリアーノ、ジュノン母娘。


「紹介をしておく。まず、黒髪の娘は実子で、セーラだ。残りは養女、もしくは弟子になる。紅髪はアリスで養女になる。普段はセーラのメイドをしてもらっている。金髪はリトルで養女。ハーフエルフでジュノンのエルフ系の魔法の先生にする。グリーンブロンドはフィアナで、僕の騎士団の副長の娘だ。ジュノンと同じハーフハイエルフで、ハイエルフの魔法の先生にする。セーラとアリスは、家事全般の先生だ。何か、質問はあるかな?」


「シュウの騎士団って、何?」


ジュリアーノに訊かれた。


「たいしたことの無い騎士団だよ。オーガニックドラグーンを名乗っている、この円形都市国家の騎士団だ」


「まさか、あの鬼畜な…騎士団?」


顔面蒼白で震えているジュリアーノ。


「お母様、どうしたんですか?」


ジュノンがジュリアーノの豹変ぶりを心配している。


「オーガニックドラグーンって、男は瞬殺で、女子供は玩具にする鬼畜集団って、噂があるの」


そんな噂があったような。まぁ、実害が無いからスルーだな。


「まさか、あの騎士団の団長って…」


「ジュリアーノ…世の中には知らない方が良いことがあるんだよ」


ジュリアーノに抱きつくと、身体を硬くししている。髪の毛を弄ると、彼女のパーツの一部が勃起してきた。こういう行為に反応するのか。覚えておくか。


「ジュノン、お前、家事も戦闘もダメだから、ハイエルフとして鍛えながら、家事をたたき込む。いいな?」


「えっ!学校は?」


「必要無い。まず、種族として、お前を鍛えるからな」


ジュノンが凹んだようだ。コイツ、学校へ何しに行くつもりだったんだ?




---ジュノン---


学校へ行き、友達を作りたかったのに…見た目妹である姉達から、アレコレと仕込まれていく。が…


「エルフ文字もハイエルフ文字も読み書き出来無いんですか?」


フィアナさんからの視線が射るように痛い。


「人間の国で生まれ育ちましたから…」


エルフ、ハイエルフの集落になんて行ったことが無い。生まれてから、人間の国から出た事が無い。なので、エルフ文字とかハイエルフ文字と言われても、見た事も聞いたことも無い。人間の乳母に育てられ、人間のメイドに身の回りのことをして貰ったので、人間の言葉なら完璧であるのだが。


「そこからかぁ~。これは強敵だな」


頭を抱えるフィアナさん。


「じゃ、私が幼少期の時につかっていた教本で教えていきますか」


リトルさんが、古びた本を取り出した。傷んだ箇所には補強を入れて居る。きっと彼女の思い出の詰まった本なのだろうな。大切に扱い、エルフ語を習うことになった。


お母様は、セーラさん、アリスさんに家事をたたき込まれていた。特に料理らしい。冒険者次代を含めて、料理はしたことが無いらしい。基本ハイエルフは、エルフをメイドにして、知恵を授ける仕事をするそうだ。


「そんなぬるま湯だから、この世界のエルフ、ハイエルフは数を減らしているんじゃないの?」


と、フィアナさんからきつい一言が投げつけられた。この世界のエルフ、ハイエルフは、戦う術を持たず、隠れ里で暮らして居るそうだ。お母様の様に、魔法に長けた者は、冒険者になる為に、里から外へ出るそうだが、大抵は、捕獲され奴隷にまっしぐらだそうだ。お母様の場合、勇者パーティーの目に止まって、メンバーになれたことで、そういう災難からは逃げられたようだけど。


「お父様の娘なんだから、戦え無い以上、家で働きないさいね」


セーラさんの言葉はきつい。


「長女なんですか?」


「私?五女よ。三女と四女は戦争で命を落としているの」


なんか聞いちゃダメなことを訊いたようで、アリスさんが、セーラさんを優しく抱き締めている。


「私…一度、殺されているの」


え?


「首をへし折られて…即死…でも、お父様にもう一度生きるチャンスを頂いたの」


殺された…


「私はチャンスを貰えたけど、姉二人は貰えなかった。四女のお姉様は転生することを望んだ。三女のお姉様は、私の妹を助けるタメに魂を捧げたの。あなたには、そういう事になって欲しくないのよ。戦え無い以上、外には出ないで!お父様を悲しませないで!お願い…」


こんな私に頭を下げるセーラさん。学校へ通わせないのは、私の身を案じてのことのようだ。それだけ、この世界は危険なんだと教わった。平和な世界と思っていたが、そうじゃないそうだ。


「この世界は、構造が腐っているの。本来、世界を見守るはずの神が、世界に干渉して、世界を歪めてしまったのよ。勇者と魔王を異世界から召喚して、地上の混乱ぶりを見て、愉しんでいたの。もう、その神はお父様が始末したのでいないけど、この世界には神がいない…それはそれで異常な状況なのよ」


学校では習えない裏情報を教えて貰った。お父様の本来の仕事を知った。『神殺し』…理を破り、私利私欲に走った神々を始末する掃除屋らしい。掃除した後、世界を見守りつつ、世界が安定して推移するように、世界の進むべき道を模索するそうだ。現在は模索中であるとか。


「お父様の騎士団には『神殺し』のライセンス持ちが複数いるの。そのことを危惧している神々が、あのような根も葉も有るような無いようなことを流しているの」


根も葉も一部有るらしい。遊び人だもんなぁ。


「女子供は弄ぶんですか?」


「多少はねぇ…性癖が破綻しているから…でも、心の清らかな女性は、すくい上げている。養女、養子だけでも1万はいるし」


未だ見ぬ、姉兄は1万人くらいいるってことか…


「子育てが好きだから…子煩悩なんだ、性癖が破綻しているのが大問題なんだけど」


セーラさんが微笑んだ。初めて見た彼女の笑顔…かわいい…


「だから、ジュノンには、死んで欲しくないの。これ以上、お父様に哀しみを与えないでね。あれ以上性癖が壊れたら、マズイんだからね」


心配するポイントはそこなんですね。




---リンドベル---


アイズと共に、剣技を学んでいる。アイズは俺の姉さんらしい。俺もアイズも、家庭の事情で、捨てられたそうだ。だけど、俺達の父さんは、俺達をすくい上げてくれた父さんだけである。


「ベルはナイフ二刀流にしよう。アイズはレイピアだ。お前達二人はツーマンセル、二人で1ユニットだ。ベルは、シーフ、アサシン辺りを極めろ。アイズは剣士、侍だ。いいな」


「「はい!」」


色々な武器の扱いを習い、その結果を父さんに披露したら、俺達の方向性を示してくれた。指示されたギルドへ向かい、スキルや技、修練を極めていく。


「余裕があれば、魔法も習っていけよ。攻撃魔法ではなく、回復魔法や補助魔法がいいかと思う」


俺もアイズも魔法使いとしての素質は少ないそうだ。だけど、使えない訳では無く、体内に保持出来る魔力の量が少ないそうだ。なので、簡単な少ない魔力で発動する魔法しか使えないようだ。


「魔力が少なくても、問題は無い。体内に貯められないなら、体外に集めれば良いんだ。魔法使いは自然界に存在する魔素を吸収し、魔力に変換して血液に溶かして保有している。それが出来無い、お前達は、体外に集めて変換すれば良いんだ。『魔素魔力変換術』を教える。以前教えたオーラや気などと合わせて利用すれば、魔法使いよりも魔法戦がうまく出来るぞ」


父さんに戦闘の幅を広げてもらっている。アル姉さん、シャー兄さんも、父さんの助言で、ハンターとアサシンをマスターしたそうだ。


「戦えるレベルになったら、お前達は王都の学校に潜入して貰うからな」


ジュノン姉さんが行きたい場所、学校…俺達が通うことになるのか。


「ジュノン姉さんもですか?」


アイズが質問をした。


「アイツはダメだ。あの王国に狙われている。危険が大きすぎるんだ。まして、アイツは戦え無いしなぁ」


何かするときは、まずリスクを考えろと、父さんは言っていた。ジュノン姉さんが学校へ通うってことは、リスクが大きすぎるんだろう。


「アルとシャーも潜入させる。だから、肩に力はいれるなよ」


そうは言うが、力は入ってしまうよな。




---シュウ---


王都の娼館へ行き、オーナーのティオと会う。


「なんか、情報は入ったか?」


アマゾネスの為、肌の露出の多い衣装を身に纏っているティオ。


「ベッドの上で、会話するか?」


「すぐ昇天しちゃうからダメだ。行為は話が終わった後だよ」


アマゾネスは女王様プレイが得意な分、逆に奴隷プレイをさせると耐久力が無いせいか、直ぐに達して仕舞う。僕のプレイスタイル的には、面白みが少ないのだ。


「まぁ、そんなことはあるかぁ…はぁ~」


娼館の女王様が、ため息を吐いた。ここの店員全員が情報集めをしてくれている。あぁいう行為中って、ポロっと本当の事を漏らしやすいのだ。特に自慢したげな貴族や高官達ってね。


「マクレガー公爵家だよな?う~ん、特に怪しい情報は無いぞ。この国の貴族にしては真面な部類だ」


真面?正規の後継者を2名も消す貴族がか?


「その二人は、本当にマクレガー家の者なのか?」


ソファーでまったりとしているティオ。アマゾネスにしてはちっぱいである。剣を振るうのに、胸がジャマにならないメリットがあるそうだ。普段から付け胸という防具を着けているんだが、メリットを消しているのでは?


「ベルの入っていた篭には、マクレガー家の後継の紋章が入っていた」


空間収納庫から、紋章を取り出し、ティオに渡した。


「う~ん…これ、本物だよな。これが無くても、大丈夫なのか?」


「あぁ、娘しかいないからな。娘が後継者の場合、紋章はいらない。問題は孫に男の子が出来た場合だな」


男子が後継者となる場合、後継の紋章が必要になる。そこに名前を刻むと、後継者と認められるのだ。この紋章には、新たな後継者の名前は刻まれていない。リンドベルの本名を刻む前に、父親は消されたのだろう。


「問題は本物の顔を誰も知らないことだ。本物に仕えていた者達は消されたようだ。引退した元公爵夫婦も消されている。今、領地の屋敷にいるのは、ニセモノだよ」


『人物鑑定』スキルで、確認済みである。先代の公爵夫婦、現在の公爵夫婦、公爵家の娘、総てニセモノで、マクレガー家の分家筋の者達である。


「たぶん、公爵家の娘と、分家の息子を結婚させて、分家が本家になるんだろう。そして、その際に、後継の紋章を作り替える手筈なんじゃ無いかな?」


作り替える場合、本来であれば、先代の紋章を元に作り替えるのだが、作り替える工程は非公開であり、本当に作り替えたのかは分からないのだ。


「手の込んだことをするねぇ。メリットは何だ?」


「なんだろうな。どうせ、ちっこいことなんじゃないか?本家筋の者を抹殺したいとか」


って、言っても、残っている本家筋はベルとアイズだけのはずだ。あの二人は死んだことになっているし。はて?



ティオの元を去り、奴隷商をしているラインバッハの元を訪れた。


「おぉ、シュウ。カラクリが見えて来たぞ」


「本当か?」


サムアップして頷くラインバッハ。


「完全に乗っ取った後、新公爵家の次男を王女の婿にして、王国を奪う気だ」


「こんな国、価値ってあるのか?」


「分家筋は、ジュリアーノが隣国に逃げた事を知らない。王国を手に入れて、ハイエルフ達の隠れ里の場所を聞き出し、ハイエロフの量産をする計画のようだ」


淫乱化したハイエルフであるハイエロフ、それは高額取引になる。表立って、ハイエルフを淫乱化させることは禁じられている。だが、王家、公爵家が、褒美として高額で売る場合、罪にはならない。この国は亜人差別のある国であるからだ。表立って活躍したハイエルフは、流石に売れ無いが、里にいるハイエルフなら問題外である。出所を不明にすれば良いし。最悪な展開として、ジュリアーノ主導で、ハイエロフの人工製造を始めたなんて、あるかもしれない。人間は実に欲望に忠実な生き物で、欲に溺れた人間は無責任で、他人に責任を塗りつけるのはお得意であるから。




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