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規格外な遊び人

なろうに、初投稿なので、キーワードが違うかもしれない(^^;;


目の前で、勇者が魔王へ最後の一撃を放った。魔王が光の粒子に分解されていき、勇者パーティーは魔王の討伐に成功した。


セントラル王国の王子である勇者、鮮やかな緑髪をなびかせるハイエルフである賢者、盾役をこなし続けた騎士…そして、僕…


遊び人である僕の役割は、囮になること。これって結構重要らしい。騎士への攻撃を減らし、勇者と賢者への攻撃機会を失わせないこと、これが僕の任務であった。


長かった魔王討伐の旅が終わり、凱旋パレードをしながら、城へと帰る三名。僕はこっそりとパレードから抜け出し、彼らの勇姿を群衆と共に見守っている。この後、王子と元カノである賢者の結婚織が行われるだろうから。そんな物…僕としては見たかない。ちっぽけな僕のプライドの問題であるのだ。



あれから幾月か流れ、新たな魔王と新たなる勇者パーティーが戦っている。僕の目の前には、愚かな神が青白い顔で震えていた。


「どういうことかな?」


僕の問い…


「適材適所で召喚した結果だよ。なぁ、今までに無く、ドラマチックだと思わないか?」


魔王である女性…その目の前には彼女の兄だった勇者が、驚愕な表情をしている。召喚する直前まで、二人は愛し合う行為をしていたそうだ。それなのに、こんなオチって…


「義兄さん…どうして?」


「俺にもわからない。なんで、お前が魔王なんだ…」


血の繋がらない兄妹を召喚し、魔王と勇者に仕立てた神。何がドラマチックなんだ?これのどこに救いがあるのだ?僕には分からない。取り敢えず、目の前の愚かな神をミンチにして、彼らの行く末を見守る。


兄が妹に抱きつき、全身が燃え始めた。勇者とは言え、人間が魔王に触れれば、オーラ濃度の違いで、燃えてしまう。


「義兄さん…殺して」


「わかった」


聖剣を魔王の背中に突き刺し、自分の背中まで貫通させた勇者。魔王は聖剣の力で灰になっていく。勇者は魔王のオーラで燃えて炭化し、やはり灰になっていく。


やがて、二人は完全に灰となり、灰の山の上で踊る様に飛び廻るの2つの魂となった。僕はそれらを優しく抱き締め、器に収めた。



夢うつつでベッドで寝ていると、息子であるシャーロックが僕を揺すっていた。


「父さん、ハイエルフの女性が訪ねて来たよ。どこで、引っ掛けたんだ?」


ハイエルフ?ナンパした覚えは無い。僕はエルフ系が苦手であるから。


「品行方正…娼館でしか遊んでいないけど…」


娼館にはエルフ系は居ない。主に、アマゾネスか人間である。


「お父さん…お父さんの娘って名乗っているけど…」


困った顔をしている娘であるアルセーヌ。


「娘はアルだけだ。なんかの間違いだろ?」


アルとシャーに抱きかかえられて、客間に連行される僕。寝間着なんだけど…全裸で無い

から、問題無い?じゃ、いいか。


客間には、あの時の彼女がいた。あり得ない。あれから、随分と経ち、尚且つ、あれから

若返っているように見える彼女。


「ジュノン?」


元カノの愛称で呼んでみた。


「そうです。お父様…会いたかったです」


見知らぬハイエルフの娘が、僕に抱きついて来た。う~ん…知り合った頃の彼女ソックリ

である。彼女の娘であるのは間違い無いのだろう。だが、僕は彼女とやっていない。アイ

ツは王子と結婚したはずである。


「お前の父親は王子だろ?いや、王になったか」


「あぁ、育ての父は既に他界しております」


人間の寿命って、50年くらいだっけ?


「お前、王女で無いのか?」


「人間と同じ土俵には、いられません。何しろ寿命が違うから…私、王位継承権無いんですよ」


笑顔のジュノン。元カノのジュリアーノは、自分の愛称を娘に相続させたようだ。


「現在、育ての父は、英霊となって、母の従属になっています」


勇者が死ぬと英霊になるのか…で、元ダンと従属契約か…


「はっきりさせようか。僕はお前の母親とはやっていない」


「お父様って爆睡派ですよね?」


小悪魔調の笑顔を浮かべるジュノン。なんか、嫌な予感がする。爆睡派である僕は、大抵のことでは起き無い。オチを悟ったのか、シャーとアルが苦笑いを浮かべていた。


「母は、魔王との戦いの前日…夜這いをしたそうです」


寝ている僕とヤッタのか?なんか、とっても損した気分なんですが…凹んでいる僕を尻目に、シャーとアルが、ジュノンを彼女の部屋へと案内している。既に同居を認めたらしい二人。なんてことだ…この世界では、まだ未婚なのにコブ3つになってしまった。



ジュノンによると、ジュリアーノは勇者との結婚ではなく、セントラル王家と契約を結んだそうだ。賢者としての知恵と知識を、王家の為に捧げる契約し、今年で契約年数が満了するそうで、ジュノンを僕の元へ、説明役として先に送り込まれ、ジュリアーノは引き継ぎ業務と残務整理で、ここへの合流はまだ先のようだ。


「お父様のお仕事は何ですか?」


「通り縋りの遊び人だけど…」


ジュノンの顔から血の気が失せていく。母親に聞いていないのか?


「ジョブは?」


ジョブはジョブクラスと言い、専門的な上級職に就ける資格のような物だ。


「ジョブは大賢者と大司教だけど…」


本業と真逆のジョブクラス…いや、僕もなんだかなぁ~って感じである。


「はぁい?」


理解不能になったらしいジュノン。因みに、アルとシャーの仕事はハンターであるが、ジョブはアルが魔王で、シャーが勇者だったりする。


「とりあえず、ジュノンは、メイドをしてもらう。家事をアルに習え」


「はい…」


自信が無さそうな元王女様。家事をしたことが無いのだろう。だけど、遊び人である僕も、ハンターであるアルとシャーも、家にいないことが多いのだ。お外で働く経験の無かったジュノンに、家を任せるのが一番だと思う。



いきなり呼び出された。現場へ急ぐと、黒ずくめの者達の前に、息が絶え絶えの女性が、何かを護っていた。僕は女性に近づき、シャーとアルが、黒ずくめの者達を狩り始める。生気が失せ始めている女性を抱き締め、彼女の状態を確認するも、もう虫の息のようだ。


「お願いです。坊ちゃまを…」


僕に篭を差し出して、息を絶った女性。篭の中には、布にくるまれた男児と何かの紋章が入っていた。訳ありの子供ってことか…


「父さん…」


心配そうにシャーが覗きこんだ。


「人間は醜いなぁ…神もそうだが…」


僕は篭をアルに手渡し、女性の亡骸を土に埋め、鎮魂の祝詞を唱えていく。


「お父さん、この子はどうするの?」


「お前達、弟が欲しくないか?」


二人の返答を待たずに、男児へ僕の加護と恩恵を授ける。


「お前の名前は、リンドベル。愛称はベルにする。健やかに真っ直ぐに育てよ」


ベルに永遠の18歳の呪いを掛ける。この先、どんなに歳を重ねようと、ベルはアル、シャーと同じに、永遠に18歳として生きて行ける不老不死なる呪いである。因みに僕は永年の17歳である。ジュノンにも掛けようと思ったのだが、既に彼女の年齢は二桁では収まらないようなので、永遠の200歳にしてあげた。


「さて、帰るか…」



「その子はなんですか?」


ジュノンに訊かれた。


「拾った。名前はリンドベルにした。愛称はベルだ」


「拾った?子犬とか子猫レベルですか?」


「ジュノンは、幼い弟は嫌いか?」


はっとしたジュノン。欲しかったようだ。


「そんなことは無いです。お姉ちゃんとして、ベルの面倒を見ます!」


ベルをジュノンにまかせ、散歩へと出掛けた僕。





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