プロローグ
「あぁ・・・今日も終わった・・・。」
日々の習慣のサービス残業が終了し車に乗り込みため息をつく。
カチッ・・・ジジ・・・。
運転席に深く腰を掛けて煙草に火を付け、大きく煙を吐き出しながら携帯に目をやる。
「今日来る日か・・・・・帰りたくねぇ・・・。でも・・・帰らなきゃ・・・。」
携帯に残る複数の着信履歴とメッセージ。それは彼女にとって憂鬱な物であり破れないものであった。
「はぁ・・・・。」
軽くため息をつきながらエンジンをかけ車のライトをつけた瞬間、目の前に
老婆が立っていた。
「うわあぁっ!・・・えっ何?」
現時刻は夜の22時をすぎており、老婆がふらつく時間ではないし、暗闇の中軽く微笑み佇んでいる老婆はかなり不気味だ。あまりに突然現れたので思わず声が漏れてしまったが、老婆は微笑んだまま動かず、何故車の前にいるのか、もしくはこの世のものではないものを見てしまったのか不安の中とりあえず声をかけてみようと窓を全開にあけ声をかけてみる。
「あのぉ~・・・・・何か御用ですか?」
「・・・・・い340-おけs・・・-74あくぉ@@。」
老婆が発した言葉を聞き取れず聞き返す。
「えっ?なんて言いました?」
その瞬間眩い光が老婆を包み、視界が奪われていく中老婆の微笑みが瞼に残る。光はあたり一面を包み真っ白の世界が広がり何故かとても暖かく感じた。あまりにもまぶしく暖かい光に包まれ・・・・
『り・・・か様・・・お・・・いしております・・・・』
どこかで聞いたことのある声・・。
たれ目で幼く、微笑む青年の笑顔が浮かび目頭が熱くなる・・・。貴方は誰?・・・どうしてこんなに胸が締め付けられるの?どうして・・・。締め付けられるような想いにさいなまれたまま、意識を手放した。